ピアノステージ

Vol.01-1 Stage+人(すてーじん)(1)小原 孝さん

2006/07/31
Stage+人(ステーじん)1
Stage+人(ステーじん)1

 小原さんにとって、国立楽器(東京都国立市)は、すでに何百回も行っているリサイタル活動のスタート地点でもある。初リサイタルを開き、デビュー当時の思い出が詰まったこの場所で、ステージにまつわる様々な話をうかがった。


初リサイタルの秘話
Stage+人(ステーじん)1
「デビュー当時の小原さんは、叙情的な演奏が多かったという記憶があります。その頃から、彼の音楽には一貫性を感じます。演奏会でもCDでも、<自分が表現したい音楽><弾きたい曲>に忠実なんでしょうね。舞台袖に戻ってきて、その場で「今日のアンコールはこの曲でいこうかな」なんて決めることもあるんですよ」。そう語るのは、国立楽器代表取締役・中谷孝司さん。

初リサイタルは、大学院を修了した1986年のこと。先生から,リサイタルを開くように勧められたのがきっかけです。自分で構成したプログラムは、大学院で弾いてきたメシアンを中心に、プーランク、シューベルト、モーツァルト・・・自分の好きな曲ばかり並べました。一晩のリサイタルを通して演奏するのは初めての経験だったので、初リサイタルを終えた後は、未知の世界へ一歩踏み出したような充実感がありましたね。
 その後間もなく、クラシックだけでなく、テレビやラジオなど芸能界の仕事も始めるようになって、除々に「ただ弾くだけの演奏会より、いろんな人に楽しんでもらえるようなコンサートができないか」と考えるようになりました。それが<お話つきコンサート>です。今は確立してきたこのスタイルも、当時は、演奏よりもおしゃべりのほうが緊張しちゃってね。時には台本を書いて、話す練習もしましたよ(笑)。


遊びで弾くピアノからコツをつかむ
Stage+人(ステーじん)1
5月7日、後楽園ステップのトークコンサートに初登場。部分練習のコツやクラシックとポピュラーの比較など、実演を交えて指導された。

 実は昔から練習曲が大嫌いで・・・(笑)。家では1度も弾かないで、先生の前で1回だけ弾いてマルをもらうって決めていた。そのおかげで、初見力がついたよ。1回しか弾かないっていうことは、集中力を必要とするからね。練習しない分は、遊びでポップスを弾く時間にあてていた。僕が学生の頃は、テレビやラジオで聴いた曲を「いいな」と思ったら、耳で聴いて弾いて楽しんで・・・ポップスが遊びのひとつだったね。エルトン・ジョンやビリー・ジョエルのような、ピアノを中心に活躍するアーティストを聴くことが多かった。ポップスをうまく弾くためのコツは、誰かに教わったものじゃないし、自分で遊びながら弾くうちにつかんだと思う。だから、遊びでピアノを弾くことも悪くないんじゃないかな(笑)
 きちんと楽譜どおりに弾く(クラシック)と、楽譜から飛び抜けて弾ける(ポップス)の両方が弾けたら、きっと、自分の楽しみや表現力がさらに増すと思うよ。


小原孝先生
小原 孝 おばら たかし
ピアニスト。1960年3月17日生まれ、A型。大のコーヒー好き。日本スイミング協会第6回ベストスイマー賞受賞の経歴を持つ。NHK-FM『弾き語りフォーユー』パーソナリティー。10月15日には東京オペラシティコンサートホールでリサイタル『逢えてよかったね』を開催。
小原孝のピアノサロン
http://www2.odn.ne.jp/~cau57200

Vol.1 INDEX


2006年7月31日発行
Stage+人(すてーじん)(1)
クラシックとポップス
コツをつかんで、表現力倍増!!
小原 孝さん
ピアノのある生活(1)
『相手に思いを伝えること』
それがピアノと授業の共通点
金子 一朗さん
<ピアノが好きな子>を育てる3つの秘訣
今日は、どんなやり方で練習する?
角野 美智子先生
ステージが育てる不思議な力(1)
ステージは子供を写し出す鏡なのです
江崎 光世先生
Enjoy Stage!!
弓削田優子先生&祐貴くん親子
根津昭義先生&栄子先生夫妻
ステージえとえとら
学校コンサート/丸ビルコンサート
目指せ、ステージの達人(1)
ピアノを弾くまでの自然な動きとは?
林 苑子さん

ピティナ編集部
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