Vol.07-3 フランスのバロック音楽~クラヴサン曲
フランスのバロック音楽は、宮廷音楽の環境から、ロココ調の性格を持ち、和声法に支えられた旋律と伴奏による古典派のスタイルに近いともいえます。 |
ラモー/タンブーラン
~クラヴサン曲集より (出版:Musikverlag Doblinger 出典楽譜:Meister Melodies15) タンブーランは、胴長の太鼓と想像してください。たたくと皮の近くに張った弦がビヨヨーンと鳴る感じです。(民族楽器で、オペラにも登場しました)下声部のミが繰り返し響く中、2拍子の踊りのリズムやヴァイオリンのメロディーがきこえてきます。
3回のテーマ(譜例A/B/C)に続くエピソードは次第に長くなり、自由な変動で終ります。踊り&メロディーの奏法を変えるとよいでしょう。 ※ラモーは、パリのノートルダム大聖堂のオルガニスト。彼の著書「和声法」は、古典派機能和声の礎になりました。 |
A 1~5小節 |
B 29~33小節 C 59~62小節 |
F.クープラン/恋のうぐいす
~クラヴサン曲集より (出版:音楽の友社 出典楽譜:クラヴサン曲集(安川加壽子編)) ゆったりと感情をこめて、でもテンポ感をもって。優雅なフランス曲の雰囲気が求められます。(譜例A)1拍と3拍に装飾音。両手の頭を合わせ2小節フレーズの流れを作ります。弱拍でもたれないように。(譜例B)ヨーロッパの5月、ナイチンゲールのルルルルリールリル・・と歌う恋の歌は、ソプラノ歌手のよう。ここのファミファミ・・の繰り返しは、はじめは静かに、次第に興奮するように大きく細かく。最後はトリルのようにつながるところは、小鳥の鳴き声にそっくりで、春の喜びを表現しています。 ※クープランは、25歳からヴェルサイユ宮殿でルイ14世に仕え、230曲の小品を発表。著書「クラヴサン奏法論」はJ.S.バッハにも大きな影響を与えました。 |
A 1~8小節 |
B 18~22小節 |
ダカン/かっこう
~クラヴサン曲集第一巻より (出版:Musikverlag Doblinger 出典楽譜:Meister Melodies15) 右手の16分音符の動きの中に、左手の「かっこう」の音型が聞こえてくるテーマ。ホ短調(譜例A)→ト長調(譜例B)→左右逆転(譜例C)→音型逆転→ロ短調で繰り返されるロンド形式です。鍵盤が浅く軽かったクラヴサンとはちがい、ピアノで弾く場合は指先のコントロールが求められます。テンポが狂いやすいことに気をつけ、各部をつなぐメロディックなカデンツで転調を感じましょう。
※ダカンは、クープランやラモーに続くフランスの作曲家で、宮廷や大聖堂のオルガニストとして活躍。絵画的描写な作品を残しました。 |
A 1~4小節 |
B 32~36小節 C 66~69小節 |
Vol.7 INDEX
2008年6月30日発行 |
特集 現代ピアノで探るバロック音楽の世界 |
イタリアのバロック音楽~二部形式ソナタ |
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フランスのバロック音楽~クラヴサン曲 |
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ドイツのバロック音楽~ポリフォニー |
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