Vol.05-1 Stage+人(3)倉本 裕基さん
|
CDデビューは、1996年、34歳のとき。「『霧のレイクルイーズ』は、この時まさに天啓のように浮かんだ曲です。これは一生に一度のことで、神様に助けていただいたと思っています。」 以後「自然」や「ロマンス」をテーマに作られた美しい旋律と透明な調べは、韓国で爆発的な人気を博し、ドラマや映画でも多数使用される。韓流スターたちが倉本ファンを公言したことをきっかけに、日本でもブレイク。2005~2006年には国内で110回以上のコンサートを開催。「ピアノは趣味としては楽しみ、演奏家としては試練、作曲家としては苦行(笑)。聴き手の目の前で音楽を紡いでいくことは、私にとっては試練でもありますが、音楽の響きを通して充実した心地よい時間を共有できれば嬉しいですね。」 東京オペラシティでのピアノコンサート(2007.11.22)は、叙情的な音楽をメインに、ユーモアたっぷりのトークを交えて楽しく展開された。「リラックスして聴いてもらえる作品を心がけている」という言葉どおり、今までに培われた様々な音楽のエッセンスが、さり気なく上質の心地良い倉本ワールドを生み出していた。 ピアノを始めたのは6才のころ。「習い始める前から、耳から入ってきた流行歌を両手で弾いてましたね。家庭の事情で小6のときにピアノを手放すことになりましたが、転校先の中学にオーケストラ部があり、チェロを担当。様々な弦・管楽器も経験し、朝と放課後にはピアノも好きに練習させてもらえました。ここで本当に音楽を楽しめたことが自分の音楽の原点となっているのです。」 その後東工大の理学部応用物理学科に進学すると同時に、レストランやホテルのラウンジ、バーなどでピアノ演奏のアルバイトを始める。市販の楽譜でそのまま使えるものは殆どなく、レパートリーを増やすには自分でアレンジするしかなかった。「学生といえど、現場ではプロとして扱われますから、弾けなければ次の仕事は来ない。ある意味正しい社会ですよね。」ここでの武者修行と、20~30代にあらゆるジャンルの音楽を習得したことが、今日の倉本ワールドの豊かなバックグラウンドとなっていることは間違いない。 (取材・文 さどはら知子)
|
Vol.5 INDEX
2007年11月30日発行 |
Stage+人(3) 聴くものを心地よい安らぎの世界へ誘う 情感豊かな倉本ワールド 倉本 裕基さん |
Stage+人(4) ロン・ティボー国際コンクール優勝! 「過去の再現ではなく 現在(いま)を創造したい」 田村 響さん |
|
音楽の仕事風景(2) [音楽]×[ビジネス] 音楽で培った感性は、企業の中でも活きる 南部 靖之氏(パソナ社長) | |
ピアノのある生活(4) 医学界とピアノ教育界で生涯現役の原動力を探る 日野原 重明先生(96) 藤沢 克江先生(90) |
|
ステージあらかると 「トークコンサート祭」 |
|
グランミューズ通信 コンペ選曲ランキングほか |