モチベーションの下がらない人はいません。縦軸をモチベーションの高さで横軸を時間だとすると(下図)、普通の人は、モチベーションが下がったとき、次のモチベーションを上げるまでしばらく間が開くんですよ。ところが、いつもモチベーションが高いといわれる人は、モチベーションが下がっても、またすぐに上げられるんですね。下がってもすぐに持ち上がれる。それを、遠くから見ているとモチベーションが上がったままに見えるんです。ですから、どれだけ長くモチベーションを保てるかではなく、「何回上げられるか」が問題なのです。しかもそれを「自分の力で」。ここが非常に大きいポイントです。
モチベーションをすぐに持ち上げるには、「変えられるもの」にエネルギーを注いでください。人間の活動でいうと、思考・行動は変えられますが、感情・生理反応はそう簡単には変えられない。
時間なら「過去と未来」、
人でいえば「他人と自分」。過去や他人は変えられませんが、未来と自分は変えられる。たとえば、子どもとぶつかって悩んでいるときや、自分が落ち込んだときは一回立ち止まって、「変えられるか?変えられないか?」という軸で考えるといいと思います。また、子どもから学校のことを相談されたら、子どもの横に座って一緒に考え、どうがんばっても変えられないものだったら「忘れたら?」とか「しばらく横に置いておいたら?」という答え方もいいのではないかと思います。『北風と太陽』の話と同じです。北風でコートを無理やり脱がせたとしても、寒くてまた旅人はコートを着てしまう。結局その繰り返しです。しかし旅人が暖かいからコートはいらないと思えば、もう着ることはない。モチベーションというのは、最終的には内発的に自家発電できるかどうか、ということなのです。――悩んだら「変えられるもの」に注力せよ――子どもにもそういう発想を植えつけていくことを意識してほしいですね。