Vol.02-5 目指せ、ステージの達人(2)杉谷昭子先生
![]() 杉谷昭子先生 |
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各人の曲の仕上げに要する時間をあらかじめ知っておき、新しい曲は、本番の日に向けて、仕上げるまでの時間を逆算して計算しましょう。
例えば、曲の難易度、所要時間から割り出し「3ヶ月かかる」と判断した場合、他の曲や本番の予定、学校の試験の時期など諸条件を考え、多少長めに時間をとっておかないと、本番直前になって「あと1週間あったらもっといい演奏ができるのに!」などということになります。だいたい思ったよりも長くかかるものです。他の物事と重複して進めてゆくわけですから、一度やり始めてもまた、そのたびに《ピアノ》と《ピアノ以外のこと》でウエイトをかけ方を変え、それを数回重ねて本番を迎えることになります。このように一度手間をかけ、途中で他のことをして少し休憩して眠らせ、再び取り上げてみると、客観的に取り組むことができて、なかなかいいものです。
そして何段間かにわけて進めてゆくと同時に、ひとつの段階において猛烈に熱をもって練習することが必要です。だいたい人間は詳しく始めないと熱さないところがあり、やり始めると今度は止まらなくなるものです。最初はあまり好きになれないような曲でも、本気でやり始めるととても好きになったりします。
問題は早く絶好調の状態になれることです。それには、初見の訓練も日頃からやっておいて、早くその曲を理解し、弾けるようになることも大切でしょう。楽譜を見ただけで、「このようなイメージで弾きたい」という考えが浮かぶと、習得も早くです。それは経験と努力によって得られます。何段階か経験して、本番の1ヶ月前には仕上げて、小さな練習会でどんどん公開演奏します。人の前で弾いて得るものは大切です。平生練習で苦労したところが案外うまくゆき、練習で失敗したことのないところが失敗したりするものです。そのような小さな本番を少なくとも3回は重ね、重要な本番にのぞむように私はしています。今回申し上げたことが少しでもお役に立てば、嬉しく思います。
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Vol.2 INDEX
![]() 2006年11月30日発行 |
![]() 様々なホールやピアノとの出会いがインスピレーションを生む 関本 昌平さん |
![]() 教室の日常に仕掛ける大小さまざまなゴール ジェーン・バスティン先生 |
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![]() 目指すのは「時間・空間を超えた教育」 宮澤功行先生&陽子先生 |
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![]() 忙しいほうが、自分自身もピアノも充実しますね 太田健介さん |
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![]() Q&A~「本番までに準備できることは?」 杉谷昭子先生 |
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![]() 「ピアノの歴史と構造」編 岳本恭治さん |