ピアノとコーチング

第22回 スキルアップするためには?

2008/11/13
第22回

先月お届けした「コーチのコンピテンシー」の情報はいかがでしたか?
ピアノ教師としての仕事の基準、または、生徒さんやお母さんとの関わりが少し明確になってきましたか?
今月は、「スキルアップ」をテーマに、自分の学習への取り組みを見つめてみましょう。

コーチの資格を取ってウキウキしていた私は、3年後の更新時に、決められた学習時間勉強した証明を提出しないと、資格を失ってしまうと知ってびっくり!
資格は、永久にキープされるわけじゃないんです!

今まで私が取ってきた、音大の卒業資格をはじめ、ヤマハやカワイのグレード、PTNAの指導者検定は、「合格は永久証明」でした。
それが当たり前だったので、「厄介だな~。時間もお金もかかるし・・・」と思わず唸ってしまいます。

しかし、思い返すと、上の資格を目指すうちは頑張れても、ゴール手にした途端、すっかり安心!
そのままにしておくと、その力が少しずつ衰えていくことなど夢にも考えたことがありません。
音楽の成長が止まっていた!という恐ろしさにはじめて気づいたのです。
私は、急に怖くなり、落ち着かない気持ちになりました。

コーチの資格更新は、年齢や諸事情は考慮してくれません。
ですから、合格と同時にこの資格を一生キープするためには、学びの坂道を登る覚悟を決めなければいけません。

途中で、挫折するのも頑張るのも自己責任。
気を張っておかないと一から取り直しになってしまいます。
現に、うっかりして、必要な学習時間が満たされずに、最初から資格を取り直すことになったコーチもいます。

ちなみに、私の持っている国際プロフェッショナルコーチの場合、3年間で40時間以上の学習を求められます。
それは、3つのカテゴリーに分かれ、機関の出した証明書と英文のリストにまとめた証明書も一緒に提出する厳格なものです。

◆ セクション1 コーチのコンピテンシーに関するコースの証明。
         アメリカのコーチ大会コース参加証明。24時間以上
◆ セクション2 コーチの実技演習、ツール、スキルに関してのコースの証明。
         16時間以上
◆ セクション3 自己学習の証明。6時間

第22回

それ以外に、認定プロフエツショナルコーチの資格も持っているので、こちらも40時間の実践を含めた学習証明が必要です。
合計80時間、多岐に渡った学習の継続を求められます。

実は、このような事を書いたのは、理由があります。

ピアノの先生のクライアントさんとのセッションをしていて、「ピアノ教師としての力を付けたい」という目標を持っているのに、もやもやしている先生がとても多いことが気になっています。
既に、コーチングを希望されるクライアントの先生の多くは、グレードを目指していたり、レッスンを受けたり、熱心にセミナーに通われています。
でも、どうも「力がついてきている」という実感がないまま、新しい学びと刺激を求めて、あれもこれもと取り入れてしまう傾向があります。
その結果、成果を出す前にどんどん自分自身で忙しくしてしまい、優先順位がつけられなくなっているのです。

私は、コーチングで、頭と行動の整理のお手伝いをしています。
まず、私は、クライアントさんが何のためにどのような力をつけたいのか、ハッキリさせます。
そして、それを1年・3年・5年単位のプロジェクト計画を立て、成果を出していきます。

憧れの先生のセミナーだから。
面白そうだから。
ブームだから。
時間の都合がいいから。
お友達に誘われたから。

などの理由で、勉強をスタートさせても本質を掴むことは出来ません。
また、私自身もコーチに言われてハッとした事ですが「セミナー行者」になってはいけません。
1つのセミナーで学んだ事を学びっぱなしにしない。
とにかく実践してみる。
誰かに話したり、教えたりして、学びを深める。
実践した事を継続し、さらに進化させ、自分のスタイルにしていくことを心がけてみてくださいね。


第22回

● さて、この度、DVDで観るピアノレッスン革命~生徒に寄り添うコーチング・ピアノレッスン(監修:青木理恵)が発売となりました。
ストリーミングがアップされましたので、もしよろしかったらご覧ください。
http://www.yamaha-atoss.co.jp/ap/?mod=m02&act=a02&iid=1156

私が、コミュニケーションを大切にする先生、寄り添わず一方的に指導する先生を一人二役で演じています。
また、4人の生徒役の子ども達相手に、4つのタイプと優位感覚別の指導をするシーンもあります。
レッスンやご家庭での毎日の練習のヒントにしていただけたら嬉しいです。


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