第01回 マズルカ第1番(4つのマズルカ Op.6より 第1曲 嬰へ短調)
** 第1回 マズルカ第1番 嬰へ短調 Op.6-1 **
作品6のマズルカは1830~32年作曲。ポーリーヌ・プラーテル伯爵令嬢に献呈。ショパンがポーランドを離れたばかりの頃の作品。
演奏されることは少ないようですが、リズムの特徴が飾ることなく生かされた、青年ショパンの情熱がほとばしる逸品です。4曲中3曲には非常に濃厚な色彩の短調を用いており、それらのハーモニーをピアノで実際に響かせたときには、身震いするほどの美しさを感じます。
リズムやメロディ、構成が明快で、特徴を捉えやすい作品だと思います。
メランコリックなメロディが舞うクーヤヴィアク。ドミナントで始まりすぐに3度転調、そして半音階で下降しながら寄り添うハーモニーは、静かだけれどうつろいやすいショパンの心に似ている気がします。アウフタクトで開始した3拍目にアクセントが置かれ、緩やかにスイングしていきます。そして、1拍目でかかとを力強く踏み鳴らし大きく動く部分は、憂鬱な調性の作品に情熱的なアクセントを加えています。
中間部では対照的なマズールが現れスケルツァンドに。メロディには民族楽器の音か、細かく刻むかかとの音のような前打音が付き、音域も広がって跳躍が多くなるなど、技巧的にも鮮やかな場面となります。
東京音楽大学付属高校、同大学ピアノ演奏家コースを経て、2002年同大学院修士課程修了。在学中、特待生奨学金を得る。1997年モーツァルテウム音楽院サマーアカデミーに奨学金を得て参加、A.ヤシンスキ氏に師事。2000年卒業演奏会、讀賣新人演奏会に出演。ロンドン英国王立音楽院に奨学金を得て短期留学。2001年第25回ピティナ・ピアノコンペティション特級金賞グランプリ受賞。2002年日本フィルハーモニー交響楽団と共演。2004年、2005年アンサンブル信州in宮田と共演。これまでにヤマハ銀座店、越谷にてリサイタル開催。ピアノを神野明、加藤一郎、加藤恭子、播本三恵子、倉沢仁子、C.ベンソン各氏、室内楽を土田英介、迫昭嘉各氏に師事。現在、東京音楽大学ピアノ科助手。ピティナ主催「学校クラスコンサート」、ヤマハ主催「ピアノ名曲コンサート」で活躍中。