ハイドンの世界

第18回 ソナタ第7番 Hob.XVII/D1 ニ長調

2007/07/26
SONATA No.7 Hob.XVII/D1 Tema(Var.1-3)-Menuet-Finale

この曲は第1楽章が変奏曲になっていて、16小節の小規模なテーマが3回変奏されます。拍子は一貫して4分の2拍子、さらに全てニ長調で書かれていますが、全てのヴァリエーションが異なる性格になっていて、とても面白い作品です。2楽章は少しおっとりとした雰囲気のメヌエット。そこから一転して、今度は賑やかで対話のような旋律が多い最終楽章が始まり、華やかな雰囲気のうちに終わります。

ハイドン・ひとことメモ
「第18回 ハイドンとモーツァルト その5」
 前回のひとことメモでは、モーツァルトがハイドンを自宅に招き、ハイドンからインスピレーションをうけて書いたハイドン・セットと呼ばれる弦楽四重奏を演奏したところまでを書きましたが、それから5年後、モーツァルトは35年の短い生涯を閉じます。モーツァルトの死を知ったハイドン(この時58歳)は、次のように言っています。
 「私は親しい友人達を胸に抱く為に帰郷するのを子供のように楽しみにしています。ただ、偉大なモーツァルトが死んでしまった事がもし本当なら―もちろん私はそんな事は望みもしませんが―、彼を胸に抱けないのが残念でたまりません。後世は百年たってもこれほどの才能を再び得る事はないでしょう。」
ハイドンとモーツァルトについて、5回に渡りここでご紹介してきましたが、このふたりの作曲家が運命的に出会い、お互いの音楽を高めあってきたという点で、音楽史上でも重要な出来事のひとつだと私は思います。
 また、第13回の連載でもとりあげた名曲「アンダンテと変奏曲」は、このモーツァルトの死を悼んで書かれていると言われています。
ソナタ第7番 Hob.XVII/D1

第1楽章 ♪試聴 
第2楽章 ♪試聴 
第3楽章 ♪試聴 

前山 仁美(まえやまひとみ)

1987年3月22日生まれ。
1996年 ピティナ・ピアノコンペティションB級奨励賞。1998年 第15回教育連盟ピアノオーディションA部門入賞、同入賞者演奏会出演。2000年 ピティナ・ピアノコンペティションD級銅賞。2001年 第17回かながわ音楽コンクールユースピアノ部門中学生の部第1位、総合第2位、神奈川新聞社社長賞受賞。トップコンサートにて神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演。2003年 第1回カワイ主催ロシアン・ピアノスクール in 東京受講、受講生選抜公開演奏会出演。2004年 第5回ショパン国際ピアノコンクール in Asia、アジア大会奨励賞。第9回浜松国際ピアノアカデミー受講。ピティナ・ピアノコンペティションG級金賞、併せて東京都知事賞、讀賣新聞社賞、ヒノキ賞、王子賞、洗足学園前田賞受賞。第2回カワイ主催ロシアン・ピアノスクール in 東京受講、受講生選抜公開演奏会出演。2005年 フランスのMoulin d'Andeにて行われたマスタークラス受講。アメリカにて行われたジーナ・バックアゥワー国際ピアノコンペティションYoung Artist部門第6位。第3回カワイ主催ロシアン・ピアノスクール in 東京受講、受講生選抜公開演奏会出演。
2006年 ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、聴衆賞受賞。併せて文部科学大臣賞、讀賣新聞社賞、ミキモト賞、王子賞、三菱鉛筆賞受賞。

幼少の頃より現在に至るまで江口文子氏に師事。モスクワ音楽院にて、パーヴェル・ネルセシアン教授に師事。これまでに、佐藤俊、日比谷友妃子の各氏に師事。

ハイドンの世界:http://j-haydn.blogspot.jp/

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