ハイドンの世界

第13回 アンダンテと変奏曲 Hob.XVII/6 ヘ短調

2007/07/21
ANDANTE CON VARIAZIONI Hob.XVII/6:

1793年、ハイドンが61歳の時に作曲された大規模な変奏曲です。自筆譜には表紙に「ソナタ」と記されていますが、1799年の初版には「クラヴサンあるいはピアノ=フォルテのための変奏曲」と書かれています。静かに始まるヘ短調の主題Aと、美しく愛らしいヘ長調の主題Bが交互に2回演奏され、もう一度主題Aが戻った後は激しいコーダが続き、最後は足音が遠くへ消えていくようなピアニッシモで終わります。
ハイドンのクラヴィーア曲の中でヘ短調を使って書かれているものはこの曲のみで、曲からにじむ静かな深い悲しみや、昔を思い出すような穏やかで自由なメロディー、そして突然襲ってくる感情の昂りを表現しているようなフレーズは、ハイドンが作曲する曲にしては珍しく、ロマン派以降の後世でもよく聴かれてきました。この曲はモーツァルトの死を悼んで書かれたという説がありますが、私が初めてこの曲と出会ったときも、何となく曲からそのような印象を受けました。この曲は今まで何回も弾く機会がありましたが、弾くと胸の中には昔のことが静かに思い描かれ、断じて昔には戻れないある種の儚さと、虚無感でいっぱいになります。

ハイドン・ひとことメモ
「第13回 ハイドンの性格 その2」
(前回の続き)
─ 合理的な家計を考える人だった
自分がお金に困った時はお金を得るためにしゃにむに働きますが、いったんまとまった額を手にすると、それを他人にも分けてやりたいという気持ちになり、しばしば召使いたちを呼び集め、お金を与えていたそうです。

─ 謙虚で、恩義に厚い人だった
少年時代から、自分に示された親切に対してはきちんとお返しをし、たくさんの縁者たちの事も忘れなかったということです。

─ ほかの音芸術家たちの悪口を言ったことは一度もなかった

─ 若い頃は恋愛に対して極めて感じやすかった。老齢になっても女性に対しては大変に愛想がよかった
アンダンテと変奏曲 Hob.XVII/6

♪試聴 

前山 仁美(まえやまひとみ)

1987年3月22日生まれ。
1996年 ピティナ・ピアノコンペティションB級奨励賞。1998年 第15回教育連盟ピアノオーディションA部門入賞、同入賞者演奏会出演。2000年 ピティナ・ピアノコンペティションD級銅賞。2001年 第17回かながわ音楽コンクールユースピアノ部門中学生の部第1位、総合第2位、神奈川新聞社社長賞受賞。トップコンサートにて神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演。2003年 第1回カワイ主催ロシアン・ピアノスクール in 東京受講、受講生選抜公開演奏会出演。2004年 第5回ショパン国際ピアノコンクール in Asia、アジア大会奨励賞。第9回浜松国際ピアノアカデミー受講。ピティナ・ピアノコンペティションG級金賞、併せて東京都知事賞、讀賣新聞社賞、ヒノキ賞、王子賞、洗足学園前田賞受賞。第2回カワイ主催ロシアン・ピアノスクール in 東京受講、受講生選抜公開演奏会出演。2005年 フランスのMoulin d'Andeにて行われたマスタークラス受講。アメリカにて行われたジーナ・バックアゥワー国際ピアノコンペティションYoung Artist部門第6位。第3回カワイ主催ロシアン・ピアノスクール in 東京受講、受講生選抜公開演奏会出演。
2006年 ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、聴衆賞受賞。併せて文部科学大臣賞、讀賣新聞社賞、ミキモト賞、王子賞、三菱鉛筆賞受賞。

幼少の頃より現在に至るまで江口文子氏に師事。モスクワ音楽院にて、パーヴェル・ネルセシアン教授に師事。これまでに、佐藤俊、日比谷友妃子の各氏に師事。

ハイドンの世界:http://j-haydn.blogspot.jp/

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