1.概要

1.概要

ピアノフェスティバル vol.62 武久源造の鍵盤づくし
2008年8月31日(日)
第1部12:30-14:00(12:00開場)
第2部14:40-16:10
第一生命ホール
(都営大江戸線:勝どきA2出口徒歩8分)
一般¥8,000/会員¥6,000/学生¥3,000
※自由席 第1-2部通し券のみ
演奏予定の作曲家
バッハ、スヴェーリンク、モーツァルト、クレメンティ、ベートーヴェンクープラン、スカルラッティ
講座内容
◎チェンバロを詩ってピアノを演奏することの意味
◎トリル、フレーズィング、スタッカートなどの指示について
◎音の減衰、和音の重ね方、フォルテピアノ、運指法による影響、ノン・レガートなど
◎作曲家と楽器製作者のコラヴォレーションによる音楽の変遷

※休憩時間にロビーに使用楽器の内1台を展示予定です。

17cフレミッツ イタリアンヴァージナル イタリアンチェンバロ
18cフレミッツ
クリストフォリ ツンペスクエアピアノ ジャーマン2段チェンバロ
ジルバーマンピアノ
当日使用楽器一覧
◆イタリアン ヴァージナル:16世紀ヴェネツィアのモデル
◆イタリアン チェンバロ:一段鍵盤17世紀のモデル
◆フレミッシュ(フランドル地方の様式)二段鍵盤チェンバロ:18世紀のモデル
◆ジャーマン二段鍵盤チェンバロ:18世紀モデル
◆クリストーフォリ考案の最初のピアノ:18世紀初頭のフィレンツェ
◆ジルバーマンによるドイツ初のピアノ:18世紀中期フライベルク
◆ジョン・ツンベによるスクエアピアノ:18世紀末ロンドン
◆ヴァルターアクションのピアノ:18世紀末ウィーン
◆近代のピアノ スタインウェイ社:
  20世紀アメリカ(参考)
!繊細な構造のため、気候等の影響でチラシ・ポスター掲載の楽器と異なるモデルと交換される可能性があります。
!使用楽器は当時の楽器の忠実な複製、あるいは現代の演奏環境事情にあわせて、一部をアレンジされた復元楽器です。
!使用されている写真はイメージ画像です。必ずしも当日使用楽器とは一致しません。
武久源造
 作曲者達が意図していた音とはどんな音だったのか、その音が持つ身振りやタイミングはどんな波を起こしていたのか。現代の楽器を扱う上でも、その作曲者が使用していた楽器を見聞きし、演奏や指導のヒントにできれば、我々はまた一歩音楽に近づけるのではないだろうか。一人でも多くの方が、作曲家と楽器と演奏の結びつきに、より深い理解と共感を覚えながら音楽を構築して頂けるよう、演奏を交えて詳しく解説したいと思う。(武久源造)
武久源造/鍵盤楽器奏者
東京芸術大学大学院音楽研究科修了。チェンバロ、ピアノ、オルガンを中心に各種鍵盤楽器を駆使して中世から現代の幅広いジャンルで様々なレパートリーを持つ。特にブクステフーデ、バッハなどのドイツ鍵盤作品の解釈には内外から支持が寄せられている。また、作曲、編曲作品を発表し好評を得ている。楽器製作についても造詣が深く、楽器の構造的特色を最大限に引き出す演奏が、製作家からも高く評価されている。91年「国際チェンバロ製作家コンテスト」(米国・アトランタ)、また97年・第7回および01年・第11回「古楽コンクール」(山梨)、ほか多数のコンクールに審査員として招かれる。ソロ活動と共に、00年に器楽・声楽アンサンブル「コンヴェルスム・ムジクム」を結成、指揮・編曲活動にも力を注ぎ、常に新しく、また充実した音楽を追求し続けている。02年から毎年、韓国からの招請による「コンヴェルスム・ムジクム韓国公演」を行い、両国の音楽文化交流に貢献している。91年よりプロデュースも含めおよそ30作品のCDをALM RECORDSよりリリース。中でも「鍵盤音楽の領域」(Vol.1-6)、チェンバロによる「ゴールトベルク変奏曲」など多数の作品が「レコード芸術」誌の特選盤となる。02年、著書「新しい人は新しい音楽をする」(アルク出版企画)を出版。05年より鍵盤楽器の新領域とも言えるシンフォニーのピアノ連弾版に取り組む。06年NHK第一ラジオ「ときめきカルチャー」コーナーに年間を通して出演。現在、フェリス女学院大学音楽学部及び同大学院講師。
楽器製作者、協力者
久保田彰チェンバロ工房、深町研太、Keith Hill、かやの木山(調律)、栗田夏子(調律)
ピアノの歴史
音楽史の上でピアノの歴史は約300年といわれる。天才クリストーフォリの先進的な試みは、すでにチェンバロの最盛期に行なわれていたことになる。一方でピアノ音楽の成立はモーツァルト、ハイドンの時代を待たねばならない。モーツァルトが自身のピアノを購入したのは1780年代であるから、ピアノという楽器の最初の80年程はどのような地位と扱いを得られていたのか、ほとんど知られることはない。現代のピアノのような鉄骨フレームの鎧をまとうのは19世紀中頃であるが、実質的にその時点でピアノはほとんど完成期に達していた。ピアノの歴史300年の実体とは、初期約80年がほとんど謎の空白時代、中期100年程に集中的にありとあらゆる試み、絶え間なき改良に次ぐ改良、特許の洪水に武装され、後期100年余りで商業的な量産技術の熟成とクオリティの均質化、結果として弱小メーカーの淘汰による大メーカーの企業的独占体勢が築かれたのである。「8台の楽器による鍵盤音楽500年」は、その空白の時代80年に焦点を絞る世界的にも稀有なレクチャーコンサートである。反骨、無頼派の鍵盤奏者「武久源造」によるナビゲーションは、無謀ともいえるこの企画にこれ以上の適役はありえない。8台もの鍵盤にどのようなアプローチをもって自身の表現の糧を見出すのか、見届けなければならない。(2008年3月 鍵盤楽器製作家 久保田彰)

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