今月、この曲
過ぎゆく春のなごりを惜しんでいるうちに、新緑の季節がやって来ました! そこで今回はこの季節にぴったりの緑萌ゆる素敵な色彩の表紙に引き付けられる「ピーターと狼」をご紹介しましょう。
この楽譜は全音楽譜出版社からピアノ絵本館6巻として出版されており、プロコフィエフが作曲したオーケストラのための原曲がナレーションと共に17曲のピアノ連弾曲に編曲されています。今年2月の発表会で私の生徒たちが全曲を演奏し大好評でしたので、その中の1曲である「さあ、動物園へ出発だ!」について詳しく書いてみます。
まず、本来は2人がそれぞれ両手で弾く連弾譜を4人4手(片手×4人)に分担します。そこまでならあまり珍しくはないのですが、それを低音から高音に向かって次々とパート移動できるように工夫しました。そして、各自の担当部分ごとに色分けしたパート譜を小学3年生から中学2年生9人に割り当てて次々にリレーのバトンタッチのように弾いていったのです。聴衆が視覚的にも納得できるように9色のポロシャツを着用する工夫もしました。
基本的には4~8小節ごとに担当パートが上行し、抜けると再び低音から参加するので何回も演奏チャンスがやって来ます。それだけではなく、弦楽器の担当パートも選び出してヴァイオリンとチェロにも参加してもらったことで、更にバージョンアップした出来栄えになりました。
参加した生徒たちは口々に「楽しかった!!」と大喜び。ふだん孤独に弾いているピアノとは違い、最大5人(自分以外のピアノ3人+弦楽器2人)での音のチームワークの大切さを学ぶことができたようで私の目論みは大成功に終わりました。
この楽譜は、オーケストラの演奏(原曲)を聴きながら美しい絵本をめくっていくだけでも充分楽しめますが、やはりその音楽的イメージをピアノ連弾に吹き込むことにより、更なる飛躍をもたらすことができるでしょう。
さて、生徒たちとお客様の笑顔に会えるよう、次回の発表会は何を目論みましょうか......?