今月、この曲
「手紙~拝啓十五の君へ~」
卒業。そして新年度にむかって誰もが次のステージへと進みます。既に「おとな」と呼ばれる年齢になってしまったとしても、卒業シーズンにはきっとたくさんの想い出がつまっているのではないでしょうか。
今回は「手紙~拝啓十五の君へ~」を取り上げてみました。おすすめする楽譜はピアノソロ用の中級アレンジです。イントロから続く美しい旋律は歌詞の切れ目以外で音が切れてしまわないように注意し、中間部のビートを刻む部分はノリよくしっかりとアクセントを感じて弾きましょう。
この曲は2008年のNHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲として書き下ろされました。アンジェラ・アキさんが弾き語り用にセルフカバーしてリリースされたバージョンは、耳にしない日はないほどのヒットとなりました。美しいメロディと人々を勇気づける歌詞は、これから時を経ても色褪せない曲として歌い継がれていくことでしょう。
15歳と言えば青春ど真ん中で、子どもとおとなの中間地点。周囲から「まだ子どもなんだから」と言われたすぐ後に「もう子どもじゃないんだから!」と言われて傷ついた、そんな経験は誰にでもある記憶ですよね。どんなことでもできる気がして夢に溢れて、同時に脆く傷つきやすい年頃でもあります。たとえ他から些細にみえるようなことでも、あの頃の自分は本当に真剣に悩んだものです。
「おとなになる」とは、諦めてしまうことが多くなる、ということなのかもしれません。でも本当はみんな諦めたふりをしているだけで、おとなだって悩みながら一所懸命に生きています。おとなたちがそう見せないのは単に経験値の差だと気づく頃には、自分ももう「おとな」と呼ばれる歳になっているんですけれどね。
でも、だからこそ、今まさにその年代を精一杯生きる子ども達に「あなたたちはたくさん悩んで、思うまま進んでいいんだよ!」と伝えてあげたい。この曲を聴くたび、心からそう思います。
そして今、おとなになったあなたにも。
Keep on believing!