FACPペナン大会 参加レポート

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2016/10/07
FACPペナンレポート

FACP(アジア文化交流促進連盟)がマレーシア・ペナン市で8月27日~29日まで開催されました。

FACPは、元々は日本・台湾・フィリピンのクラシック音楽演奏家マネジメント会社の交流会で始まったグループでしたが、第34回になる今回は、アジア各国の舞台芸術に関する大学、マネージャー、オーケストラ、ホールの各関係者が集まって情報交換を行う場になっており、ピティナの福田成康専務理事が、ガバナー(理事)として参加しました。

理事FACP(アジア文化芸術交流促進連盟)のガバナー(理事)再選
日本からのガバナー(理事)5名が再選され、ピティナの福田成康専務理事と、団体会員の昭和音楽大学下八川共祐理事長が選ばれました。

今回のペナン会議は、2008年にペナン市がユネスコに世界文化遺産として登録されたのをきっかけに準備が進められ、毎年8月に開催している「ジョージタウンフェスティバル」に絡めてペナンでの開催が実現しました。Dr. Joe Sidekは、同フェスティバルの運営責任者でもあり、FACPカンファレンス2016にも尽力されました。ペナンで最高のホテルを会場に、会議開催、豪華なディナーやランチ会、市内観光、飛行場とホテルとの送迎付などがある一方、各国参加者は参加料280ドルで参加ができます。FACPは、持ち回りでホスト国によるこうした開催が特徴です。

会議の様子 会議の様子
参加の国と地域

日本
韓国
中国
台湾
香港
フィリピン
タイ
マレーシア
シンガポール
ニューヨーク

参加履歴 参加履歴
 

会議は概ね学会のスタイルで、今年のテーマは「聴衆育成と音楽教育」。発表者の国籍バランスと内容の質の維持の両面を維持し、ヴァラエティに飛んだ内容となりました。

理事基調講演
基調講演

Prof. Hardy Yong Xiang(北京大学副学長アートマネジメント研究者)

パネル・ディスカッション「アート・マーケティングと聴衆育成」
  • Ms Cindy Lim(シンガポール交響楽団マネージャー)
  • Ms Atchara Tejapaibul(バンコク交響楽団専務理事)
  • Mr Yong-Feng Li, Taipei (台湾Paper Windmill劇場)
  • Prof. Eui-Shin Yi(ソウルサイバー大学文化芸術学科主任)
  • Martin Lopez(マニラSinag Tala Managementディレクター)
各スピーカーによるスピーチより
1
Ms Lynn FC Yau(香港 CEO, Planning & Arts Learning)

演劇を通して人を育てているのが印象的で、外部の団体がどうやって学校と連携しているのかの参考となるものでした。全て学校の先生が教育するのではなく、芸術教育はこういった外部団体に任せる流れが今後主流になってくるのではないでしょうか。参考リンク

2
Prof. Hardy Yong Xiang(北京大学副学長)

伝統芸能の観客・聴衆は減少傾向にあるが、伝統芸能の価値は、儀式的価値・デモンストレーション価値・経験価値の3つがあるので、それぞれの価値を認識することで価値づけができるかもしれません。伝統芸能にイノベーションを加えて価値を高めることも有効となるでしょう。
中国の伝統芸能を国家戦略として位置づけられるのかどうかの判断の基礎となる研究と思われ、日本でもこのような包括的な研究者が期待されると思います。

3
Prof.Yukari Ishino(早稲田大学 石野由香里助教)

芸術を生かして人を育て、資質を高めるためのリベラル・アーツとしての舞台芸術の観点からのスピーチとなり、演劇を通じた実演付き・参加型の発表となり、会場が盛り上がりを見せていました。(早稲田大学HPでの紹介)

4
Prof.Asako IShida昭和和音楽大学 石田麻子教授)

各種演奏を5分間ビデオで紹介・音楽、バレエ、音楽マネジメント教育の様子を紹介しました。学内のテアトロ・ジーリオ・ショウワやイタリアの校舎など設備の充実も紹介。上海で行った交流オペラ制作の様子がビデオで紹介され、留学生が過去数年で5倍に増えたことなどを発表しました。

5
Mr.Junji Ono(東京交響楽団 大野順二楽団長)

N響・読響・都響など資金が潤沢なオーケストラ団体と通常のオーケストラ団体と収入構成を示しながら、日本のオーケストラ業界について紹介しました。

ピティナが関わる意義

まず、アジア各国舞台芸術関係者との情報交換をすることで国際的な視野が広がることです。また、今後、ピティナに縁の深い演奏家が海外で活躍機会を増やすきっかけになることも願っています。
次に、舞台芸術とは、ピアノといった器楽に留まらず、オーケストラ、バレエ、古典芸能なども含まれますので、ピアノに集中しているピティナの視野を広げることにつながります。さらには、文化庁など日本国政府関係者との連携・交流にもつながります。2014年のFACPかわさきレポートはこちらには文化庁からの助成金を得て開催に至りました。

日本人同士の交流も日本人同士の交流も
日本人同士の交流も尾崎有飛さんと福田専務理事
日本人同士の交流も尾崎有飛(特級グランプリ)さんが出演
FACP日本の設立

今年6月、日本国内においてFACP日本が設立されました。

アジア各国との文化交流の促進、舞台芸術の世界への発信、アジア各国・世界各国の舞台芸術関係者、教育機関との関係強化、アジア各国での日本のアーティストのビジネス確立、国際的な舞台芸術に関わる人材の育成への貢献、アジア圏の音楽・芸術を学ぶ学生のエクスチェンジ(留学・インターンシップ等)の推進などを目指し、活動をスタートいたしました。

取材・レポート:福田成康(ピティナ専務理事)


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