2015年度にはステップ参加者数が過去最多の45,356名、地区数は530地区、また継続表彰100回受賞者は11名に達した。「「続けること」そのものが目的ではなく、昔はなんとも思わなかった曲の美しさに気づけるようになるなど、成長の過程にある発見や楽しさを拾い集めてきた結果として「継続」があったと感じます」(長瀬朋子さん・グランミューズ会員、324号p12)。会報連載には「ステージに出るたびにステージにが好きになる」(286号p42-43)や「こんな参加者発見しました」(323号p20)など、ステップ参加者同士の交流をうながしたり、お互いに学びのヒントになるようにな工夫も盛りだくさん。今年20周年を迎えるステップ、累計参加者数は49.2万人を超えている。
ステップの合間に行われるトークコンサートは、すっかり定番となった。2015年度には全体の約半数に迫る246地区で実施された(326号p13グラフ)。入場無料でピアニストによる演奏を鑑賞できるほか、日常の指導のヒントも満載。地域にも開かれたミニイベントとして各地で人気である。
2014年にはWeb限定掲載課題曲も始まり、年度途中でも随時課題曲に追加されるようになった。大人気曲『レット・イット・ゴー』(「アナと雪の女王」より)、『ようかい体操第一』(「妖怪ウォッチ」より)などはその一例。また2013年より「今年の1曲」がスタート。「ふるさと」「赤とんぼ」「夏の思い出」など、日本で古くから歌われている唱歌を対象にしている。ソロや連弾など様々なアレンジとレベル設定で、多くの参加者に親しんでもらえるように工夫されている(321号p12)
近年団体登録が増えつつある。総勢39名のリコーダー演奏や、地元中学校の吹奏楽部員によるフルート演奏、2歳~小6までのグループがゴスペル合唱とキーボードオーケストラを披露したりと、オリジナリティあるステージが各地で好評を博している(311号p13)。団体登録ではないが、最近はコンチェルト体験ができるステップも増えつつある。
音楽業界の活性化だけではなく、社会とつながるために、ステップが橋渡しの役割を担うこともある。その一つとして、ステップが市町村の公的事業として採択される事例が登場。「ピアノを教えるだけでなく、地域に根ざした活動を大切にしたい」(松本教子先生・おおさか鶴見ハナミズキステーション代表・315号p21)。また中部国際空港内ホールでの開催事例は、音楽のステージはどこでも開拓できることを示唆してくれる(318号p13)。
学校もますます身近な存在になりつつある。教科書に載っている曲を使ったトークコンサートコンサートや、学校で習った曲をピアノで演奏する参加者も多い。参加者アンケート「音楽の授業で習った中で好きな曲」で1位に輝いた「BELIEVE」は、ステップ応用1の課題曲になっている(321号p13)。またステーションが、土曜日の課外授業をプロデュースすることも。埼玉県教育局「芸術文化ふれあい事業」にステーションとして登録していたところから派生したもので、戸沢睦子先生ほか所属会員数名が、ピアノ演奏、朗読劇、歌の鑑賞など、それぞれの得意分野を生かしたプログラムを実施した。
「良いホールで演奏したい」という声に応えるべく、2010年よりホール特別設備費が設けられ、2015年度には約4分の1の地区で導入された。ホール選択の幅が広がり、新たな地区を立ち上げやすいというメリットも。また時間帯指定パスも好評で、よりきめ細かく参加者のニーズに対応できるようになっている。
ステップ20周年を迎え、ステーションにも世代差が出てきた。そこで会報連載では、ベテランステーションのノウハウを新規ステーションに伝授している(323号p18、324号p21)。またステップ翌日にアドバイザーを囲んで、課題曲の研究成果を発表する「アフターステップ」を行うステーションもある。「ステージとは演奏だけでなく研究発表もできる場所。ステーションが組み合うことで、ステップ運営に幅広い地域活動を」と、ステーションの役割がますます拡大していることが伺える。(戸沢睦子先生・311号p12)。なお10回以上の開催実績をもつステーションが製作できる「ご当地シール」は、今や名物になっている。