<ピティナ50周年を振り返る>1990年代~指導者育成

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2016/07/08
ピティナ50年を振り返る
指導者育成編
◆ 指導者育成編
①委員会発信型の多彩な企画
210号p16--17中央上写真

会員の声で作る組織ピティナ。その最たるものが委員会活動だろう。企画委員会ではピティナ・ピアノフェスティバルを毎年企画、実施レポートも充実している(「バッハ・インヴェンションとシンフォニア」182号 p52-61)。演奏研究委員会では課題曲録音などに関わるほか、支部コンサートやおさらい会で連弾やアンサンブルの1パートを委員が受け持ち、ともに音楽を楽しみましょうという提案も(173号p50)。また新教育法開発委員会では「即興表現の効果的な指導法について」(182号p68-69)の寄稿など、各委員会で独自の議論が交わされた。こちらは当時の委員会一覧表(211号p82-83)。

②ピアノ指導のレパートリー広がる~古楽からポピュラーまで、関連領域も
206号p22チェンバロ

ピアノ指導においてどこまでをレパートリーとするのか。コンペを通じて四期の考え方は定着したが、それ以外は?この頃から、古楽へのアプローチ(「フォルテピアノの誕生と古典派音楽の語法について」小倉貴久子先生、206号p22-29)やポピュラーへの関心(「ポピュラー活用法講座」佐土原知子先生、206号p40-43)も出てきた。またペダルの踏み方や響かせ方、楽器構造の知識など、演奏する上でピアノという楽器を深く知る必要性も実感されてきた頃(「ペダルの踏み方」173号p26-27「楽器の構造について」203号p26-27)。さらに音楽療法や楽器製作など、音楽関連分野への注目も高まってきた(「ノードフ・ロビンスの音楽療法」169号p28-29「ヴァイオリン製作者~満州国で知ったストラディバリ」161号p61-63)、「篠笛制作」(159号p24--28)。

③21世紀へ向けて~本質的な音楽教育、ピアノ指導とは?
179号p4対談写真

21世紀があと数年に迫った1990年代半ば以降、会報にも「21世紀」の文字がよく登場するようになった。20世紀の来し方を振り返りながら、21世紀をどういう時代にしたいのか、社会はどうなるのか、その時代に生きる音楽家はどうあるべきか、といったテーマがよく取り上げられた。特に1990年代に登場したステップや生涯学習により、ピアノは一生続けるものという考え方が広まったことは、21世紀に向けて明るい将来像を抱くきっかけになっただろう。いくつか当時の特集記事ご紹介したい。

・特集「効果を上げる!レッスン継続法」210号p4-17
これからの社会に即した生涯学習を考える
羽田会長を始め、大学、楽器メーカーなど、音楽業界関係者6名による会議

・対談「ピアノ指導の本質を考える」 藤井一興先生×福田靖子先生(179号p4-7

・対談「ピアノ音楽教育の未来を考える」
ペーター・ラング先生×赤松憲樹氏(154号p28-31
「現代音楽を今取り上げることは、非常に大切だと思います。好き嫌いの次元の問題ではなく、どうしてこういう音楽が出てきて、どういう流れになっているのかが重要だと思います」(ラング先生)。

④21世紀へ向けて~学校とともに考える
184号p10大学画像

音楽大学や学校は、21世紀社会における音楽をどう捉えていたのか?各大学での取り組みを紹介する連載「音楽大学トップインタビュー」が1994年に始まった。(第1回:国立音楽大学184号p10-11)。また新学習指導要領が策定され、それに沿った音楽教育のあり方を模索した記事もある。「リズム遊び、ふし遊び、音遊び」(低学年・表現) 、「そのよさや楽しさを感じ取る」(低学年・鑑賞)、「表現形態を選んで学習できるよう」(高学年・表現) を21世紀を読み解くキーワードとして取り上げているのが興味深い(特集「21世紀求められるピアノレッスン創造~学校教育と社会教育の接点からのアプローチ」213号 p5-19)。

⑤21世紀にへ向けて~上級を育むには?
211号p19の二人

1970~80年代は「初級はいいけど上級は...」という意見がよく見られた。1990年代には、上級はどのように指導したらよいのか、上級に到達するには小さい頃からどのように学んだらよいのか、21世紀を牽引する音楽家はどうあるべきか等、より大きなテーマに取り組むようになったことが伺える。「21世紀に向けて特級改革!」(211号 p20-21)、特集「プロフェッショナルな演奏家を育成する」(211号p4-21)、「自立して解釈・表現できるようにさせる系統的指導法」(秋山徹也先生、211号p25-27)。"プロフェッショナル"の定義も年々変化していることが分かる。なお1999年度より、特級グランプリには褒賞として日本フィルとの共演機会が与えられた。

⑥21世紀にへ向けて~ IT活用
204号p48 杉谷先生とPC

20世紀末の大きな社会的変化といえば、インターネットの登場だろう。ピティナではすでに、コンペ結果速報、課題曲紹介、先生紹介ページなどを展開していた(203号p48-49)。一個人が自由にインターネットを使いこなすのはまだ先になるが、すでに先取りしていた先生方もいる。会員番号1番の杉谷昭子先生は、ファンとのコミュニケーションに活用していたそうだ(「私のインターネット活用術」204号p48-49)。

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