コンペ創設から10年以上が経ち、毎年参加するピアノ学習者が増えるとともに、継続参加に対する意識も高まってきた。いかに前年までの経験を踏まえて良い演奏につなげるか、コンペに参加することでどう成長するか、といったテーマが出現するようになる。「コンペティションの継続活用術」はそれを象徴する特集である(188号p2-13)。また特集「審査公表&採点結果を活かす~生徒を伸ばすための的確な対応 」 では、140名の指導者アンケートをもとに指導法の向上について論議された(204号p4-20)。
1992年度より邦人作品が全級の課題曲に!「過去15回のコンペでは100曲以上の邦人作品が課題になりましたが、今回からさらにスポットを当て、参加者全員に邦人作品を弾く機会が与えられます。・・この機会に参加者には邦人作品に関して大いに関心を持って頂き、作曲家の先生方には子供達が音楽を好きなってくれるような魅力ある音楽をたくさん作って頂くようになれば、作曲家と演奏者の結びつきも深まるでしょうし、演奏者のレパートリーの拡大のみならず、幅広い視野を提供するのに役立つことでしょう」(164号p28)。そして作曲家自身からも大いに学ぶ(166号p14-17)。
コンペティション創設20周年を記念して、1997年度にコンチェルト部門が創設された。連載「ピアノコンチェルトの魅力」ではアンサンブルの塊としてその手ほどきが与えられ(211号p62-64)、また「ピアノ・アンサンブルって楽しいな」では普段のレッスンからピアノ連弾を取り入れたり、アンサンブルを知るためにコンチェルトを活用する事例などが紹介(213号 p24-26)。 同部門は2015年に2台ピアノコンチェルト実施を経て、2016年にコンチェルト部門としてリニューアルされた 。デュオとともに、コンチェルトへの注目も再燃している昨今である。
コンペティションの拡大普及に伴い、入賞者への注目も年々高まってきた。結果特集ページでは入賞者の顔写真を大きく掲載したり、入賞者がその軌跡を語ることも(「入賞までの軌跡を語る」206 号p32-33)。また初めて指導者賞を受賞した指導者への初々しいインタビューも登場(184号)。入賞者ビデオの販売も始まった。なおコンペ運営や規定に関して、創設当初より会員の声を反映する姿勢は変わらず、コンクール事業担当者連絡会で6時間におよぶ議論が交わされた、などの記録も残っている。ピティナのキャラクター募集も(写真)。
全国各地の支部では、コンペの準備・広報・当日運営・入賞者記念コンサート開催など、コンペを軸に様々な活動を展開。支部独自の褒賞を充実化させたり、メディア報道に力を入れたり、円滑な運営を目指してノウハウが積み上げられていった。会報には、地区予選での受付、集計、聴衆など、様々なシーンが寄稿された。また支部便りに寄せられる活動報告もますます充実してくる。