「理想的なショパン楽譜」シンポジウム発表
正会員の岡部玲子先生と指導会員の多田純一先生が、日本音楽学会の定例研究会で行われるシンポジウムで発表をされます。岡部先生のテーマは「理想的なショパンの楽譜」について。このシンポジウムは10/5(土)PM2:00より東京音楽大学で行われ、どなたでも無料で入場することができます。なお日本音楽学会には、ピティナも団体会員として登録しています。
※内容のご案内
日本音楽学会 東日本支部 第19回定例研究会
理想的なショパンの楽譜とは?―21世紀の資料研究から見えるもの―
コーディネーター | 加藤一郎 |
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パネリスト | 岡部玲子、加藤一郎、武田幸子、多田純一 |
日時 | 2013年10月5日(土)PM2:00~4:45 |
会場 | 東京音楽大学 A館 地下100会議室(アクセス) 東京都豊島区南池袋3-4-5 Tel:03-3982-3186 池袋駅徒歩15分、目白駅徒歩15分、雑司ヶ谷駅徒歩5分、等 |
タイムスケジュール
時間 | 内容 | パネリスト |
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PM2:00~2:05 | はじめに | 加藤一郎 |
PM2:10~2:30 | ショパンの作曲過程と手稿譜 | 武田幸子 |
PM2:35~2:55 | ショパンの死後の出版楽譜 | 岡部玲子 |
PM3:00~3:30 | エディション研究によるショパン受容の考察 | 多田純一 |
PM3:25~3:55 | 理想的なショパンの楽譜とは -演奏者の立場から- | 加藤一郎 |
PM3:50~4:05 | 休憩 | |
PM4:00~4:45 | ディスカッションおよび質疑応答 ※無料、申込み不要、非会員参加可。 |
<要旨>
様々なエディションが出版されているフリデリク・フランチシェク・ショパンFryderyk Franciszek Chopin(1810-1849)の楽譜は、原典版が主流となる20世紀後半以降、約半世紀に渡り「どのエディションが良いのか」「どのヴァージョンが正しいのか」ということが議論され続けてきた。現在では「ショパンの最終的な意図」を確定することはできず、複数のヴァリアントが認められることについては概ね共通認識となっている。
21世紀に入り、ショパン作品に関する資料研究は急激な進展が見られる。2001年に行われた国際学術ショパン学会では「資料の全体性」および「作品の全体性」のどちらを優先するかという校訂の方法が明確にされた。一方で、ほぼ同時期に「パラダイム手法」という方法が 提案、実践された。また、資料の分類では「放棄された自筆譜」という分類が共通認識となったのもこの頃のことである。PWM社による『ナショナル・エディション』に加え、21世紀に入ってからはペータース社とヘンレ社が新版を出版しはじめ、ショパンの楽譜は新たな局面を迎えている。さらに2010年のショパン生誕200年に向けて様々なプロジェクトが実施された。資料研究に関わるプロジェクトは主に次の3点である。
- 『ショパン手稿譜ファクシミリ全集』の順次刊行。
- ウェブサイトChopin's First Editions Online(CFEO)が立ち上げられ、すべての初版が示された。
- ウェブサイトOnline Chopin Variorum Edition(OCVE)が立ち上げられ、小節単位で様々なヴァリアントを比較することができるようになった。
これらのプロジェクトにより、入手することが困難であった一次資料の多くはユーザーが直接確認することが可能になっている。しかしながら、多くの情報を入手することが可能になるにつれ、それらの情報をどのように使用(あるいは選択)するのかという事が問題となってくるのである。
本シンポジウムでは、資料研究の歴史的変遷を踏まえつつ、大きく資料研究が進んだ現在にはどのような問題点と課題が見られるのかを考察する。理想的なショパンの楽譜とはどのような楽譜なのだろうか、現状のショパン研究に対する認識に一石を投じたい。