先日ピティナでは石黒加須美先生・本多昌子先生を講師に迎え、新入会員向け交流会を開催しました。今回は石黒先生のメッセージと日頃のピティナ活用法をご紹介します。また世代の違う3名の先生方にピティナ入会後の感想を伺いました。入会されたばかりの方も、長年の会員の方も、ピアノ指導者という仕事の魅力と可能性を改めて感じていただければと思います。先生の数だけドラマがあります。一人ひとりにフィットする形でピティナをご活用いただければ幸いです。新しい季節、一歩先に進んでみませんか。
◆新入会員インタビュー | |
子どものやる気を出させるために(田澤敦子先生) | |
自分も生徒も意識が変わった(島村依公子先生) | |
コンペ参加者から指導者へ(岸田 典子先生) |
※このインタビューは3月に行われた「新入会員交流会」の基調講演をもとにしています
新入会員の皆さん、ピティナにようこそ。皆さんにまずお伝えしたいことは、「女性にとってピアノの先生ほど素敵な職業はない」ということです。(男性の方はごめんなさい!)というのもピアノの先生というのは、一日の内のほんの数時間教える時間を捻出することで、思った時にいつでも、何歳からでもなることができる。そしてその時の自分の人生のスタンス、家庭の状況にあわせてブランクや場所を問わず柔軟に仕事ができる。定年がないので、何歳になっても夢いっぱいやりたいことができる。こういったことは他の職業にはなかなか無いことです。皆さん、この機会にぜひ「ピアノ指導者」という職業について改めて考えてみませんか。
私自身を紹介する時に、いつも最初にお伝えしていることは、「私は音高・音大を出ていません」ということです。ピアノは大好きで、小さいころから大人になるまで大変厳しい先生に習っていましたが、普通高校、普通大学に進学しました。なぜならピアノの先生には絶対になりたくない、どうしても専業主婦になりたいと思っていたからです。結婚後主人の意見もありアルバイト程度にピアノの指導をしてはいたのですが、当時の自分を振り返ると、「どうせ私のところになんかいい生徒はこないわ、教えるのもこんな程度でいいんだわ」って心のどこかで思っていたんです。「音大出の学歴もないし、私がどれだけピアノを弾けるか周りの人は知らないし」って、甘えていたんですね。
結婚後4年かかってようやく娘を授かりました。ピアノを大好きな子に育てたいと思い、近所でもこの先生なら、と思う先生に娘を預けました。その先生のところで、当時3歳だった娘は半年間でバイエル80番まで進んだんですね。「この子は天才!将来が楽しみ」って思いました、親ばかですから。でもそこでうちの娘が「ママ、ピアノ辞めたい、あの先生のところに行くのはやだ」って言い出したんです。それを言われた時には心臓が止まりそうになりました。私は娘を通して、指導者は全ての責任を負うんだ、子どもではないんだって、そう気づかされたんです。この日が本当の意味のピアノ指導者として、出発点となりました。いい先生になるにはどうしたらいいのか、一生懸命勉強したいと思うようになりました。
私たちは演奏はできても、教えるノウハウを習う機会は全然ないですよね。また全く同じ感性や体の生徒もいません。想像を絶する程のいろいろな子ども達が、私達のところに来てくれる、その子ども達に対応するだけの引き出しを私達は持っているだろうかって思うんです。その引き出しって持てば持つほど楽しいんですよ。「えーまだ持たなきゃいけないの~」ではなくて、「こんな教え方もあるの!こんな感覚もあるの!」と好奇心を持って楽しんでいただければ、きっと皆さんはピアノ指導者という素敵な職業を一生の仕事とし、一流のプロフェッショナルになれると思います。ピアノと一生の友達になれる、その一生の友達を通して、プロフェッショナルになれる。こんな素敵なことはないんじゃないでしょうか。
「ピティナに入会しても、支部やステーションに参加するのには躊躇してしまう」という声をよく伺います。一方ステーション代表者はステップを通した仲間作りがしたくて、ステーションを立ち上げた先生ばかり。どうぞ軽い気持ちで飛び込んでみてください。一人ではないと思える安心感、感じられるはずです。
お気軽にお問い合わせください。
全国の多数の楽器店がピティナの支部として、各地のピアノ指導者の輪の拠点となっています。お近くのお店に足を運んでいただければ、きっと新しいヒントが見つかるはず。またピティナ・メールニュースにはセミナー情報はもちろん、コンペ・ステップ・コンサートなど、ピアノライフを充実させる情報が満載です。
今年で37回目の開催をむかえるピティナ・ピアノコンペティション。間もなく全国で予選の開催が始まります。生徒と指導者が一丸となり、音楽・人間に真摯に向き合う姿。一緒に挑戦してみたい方も、コンクールはまだまだ...という方も、一度その世界を覗いてみませんか?
お申込み受付中です。
ピティナ・ピアノステップはピアノを始めたばかりのお子さんから、受験生、大人の初心者まで、ピアノを演奏する全ての方に開かれたステージです。また団体でのご参加や、他楽器との共演も大歓迎。アドバイザーの先生によるトークコンサートや、事務局のオリジナル企画など、楽しい1日になること間違いありません。ピアノが大好きに、ピアノを弾ける自分も大好きになれる、そんな素敵な場所がここにあります。
ピティナ・ピアノセミナーは全国各地で年間380回以上開催されています。目からウロコの指導法に出会ったり、講師の先生の演奏に感動したり、きっと新たな発見が待っています。先生がどれだけ自分を磨いたかは、そのまま生徒さんに反映されます。学び続ける指導者であるために、ぜひセミナーに参加してみてください。
◆新入会員インタビュー | |
子どものやる気を出させるために(田澤敦子先生) | |
自分も生徒も意識が変わった(島村依公子先生) | |
コンペ参加者から指導者へ(岸田 典子先生) |
~情報を得て音楽の世界が広がった~
田澤敦子先生(指導会員、2011年9月入会、茨城県在住、50代後半)
同じくピアノ指導者で、ピティナ会員の姉から勧められたのがきっかけでした。生徒たちは楽しんでレッスンに通ってくれているのですが、「楽しいだけでは...」と思うこともありますし、上手になるためにもっと何かしてあげられることがあるのでは、という気持ちもあり入会しました。
もともとコンクールやグレード試験などは、必死でランク付けを争う閉鎖的なイメージがあり、あまり賛成ではありませんでした。また、そういったイベントには音大を目指す方が参加するものと思っていました。けれどもピティナのステップについて詳しく調べてみると、これはそういった競争するためのイベントとは全く違うな、ということが分かり、昨年・一昨年と生徒4名を参加させました。生徒たちは思っていた以上に楽しんで参加してくれたようで、「今度もまた出たい!」と言っていますね。練習は大変ですし、本番は緊張するものの、綺麗な衣装を着て大きな舞台で演奏することはやはり楽しいようです。保護者の方も、子どもが出たいと言うのであれば、と皆さん協力してくださっています。年に一度の教室の発表会もあるのですが、ステップでは段階的に学習する目安がありますし、継続表彰についても子どもたちにとっては意外に目標になるようで、「次は~回を目指して、~の会場で参加しよう」と自分たちで考えてくれるようになりました。
ピティナに入会したことで、情報を広く知ることができ、音楽の世界が広がったように感じます。引越しが多く音大時代の友人が近所にいないこともあり、指導者同士の出会いや繋がりということが以前はあまりありませんでした。ステップに生徒を参加させてまず驚いたのは、「こんなに沢山の先生が近所にいたのか!」ということでしたね。ピティナの先生は皆さん熱心に勉強されている方ばかりなので、多少気後れしてしまうこともありますが、お会いすることで刺激を受けることができます。
今教えている生徒は小学校低学年の子が多いのですが、やる気の出させ方が課題ですね。レッスンには楽しんで通ってくれるのですが、おしゃべり好きで家ではあまり練習してこない子も多いです。やれば伸びる子どもたちがどうしたらもっとピアノに向かってくれのるか、ということに今一番興味を持っています。今後はそういった指導法を勉強していきたいと思っています。
~子供たちが「音楽の楽しみ方」を知る機会に~ 島村依公子先生(指導会員、2011年4月入会、埼玉県在住、30代後半)
大学卒業後、小中学校で音楽の非常勤講師をしつつ、近所の子どもたちにピアノを教えていました。一人一人の生徒さんと深く関わっていきたいという思いから、ピアノ教室一本に絞ろうとした時に、それまで深く考えたことがなかった教えるノウハウを学びたいと思い、ピティナに出会いました。大学では声楽専攻だったこともあり、ピアノのスキルアップをしたいというのもありましたね。セミナーの内容などを見ていると、他の先生も自分と同じように悩んでいるんだな、と知ることができました。
ウェブサイトを見ただけではステップがどんなものかよく分からなかったので、生徒に勧めるために、まずは自分が体験してみようと思い参加しました。当日は大きな会場で演奏することができ、またアドバイザーの先生からは温かいメッセージをいただき、予想以上に参加して良かったと感じました。月1回発行している教室便りにそのことを書くと、生徒さんからも出てみたいという声が上がりました。
子どもたちは緊張感のある中でも楽しく参加できたようで、別の教室の同世代の子が演奏する姿を見て刺激を受けたようです。また生徒以上にご両親も、お子さんが大きな舞台でがんばっている姿を見て感動されたようですね。参加後はウェブサイトを見て次に参加する日程を調べたりと、生徒自身が目標を決めて自主的に練習するようになりました。教室の発表会は2年に1度なので、ステージに立つ機会は多いわけではないですし、またいつもと違う先生に聴いてもらう機会もなかなかありませんよね。ステップは子どもたちが観客を意識する初めての機会になったのではないでしょうか。
昨年一人の生徒がコンペに参加しました。その時は周りのレベルの高さにびっくりしましたが、一つ一つの楽曲に深く取り組んでいくことの大切さと面白さを生徒も私も実感しました。今年は3月に行われた課題曲説明会にも参加したのですが、いろいろな先生が講師としていらっしゃるので、コンペ課題曲の分析だけではなく、コンペに参加しない子の指導に使えるヒントも沢山あり、引き出しが増えたと感じました。他にもセミナーにはよく参加していますが、自分の求めていたこと、今まで誰に聞いていいのか分からなかったことをいつも教えてもらっています。
ピティナに入会して自分の意識がまず変わりましたし、子どもたちの意識も大きく変わったと思います。以前は義務感でがんばっていた子どもたちが、今は音楽の楽しみ方を知ったのではないでしょうか。またステップに参加することで、生徒だけではなく、保護者とのコミュニケーションも増えたと感じます。
時代によって変わる子どものニーズに合わせた指導をピティナでは常に先生たちが研究しているので、自分もそれにあわせて変わっていきたいと思えますね。また今年はコンペのグランミューズ部門にも参加予定なので、自分の演奏の学びも深めて、生徒の指導に生かしていきたいと思います。
ステップ、コンペ、セミナーと学びと挑戦を続ける島村先生。
前を見、感じ、吸収し続ける姿勢から、指導へ向けた熱い思いが伝わってきます。
コンペ、グランミューズ部門に参加してみませんか?
何歳になっても現在進行形で挑戦できるフィールドがあります。
参加要項請求(無料)はこちら
~指導と演奏を両立~ 岸田典子先生(指導会員、2011年3月入会、京都府、20代後半)
私はハンガリーに留学していたのですが、帰国後日本で自分のお教室を始めるにあたって、日本のピアノ教育の現状を知りたいと思い入会しました。私自身が以前コンペに参加していたこともあり、「ピティナ=コンペ」のイメージが強かったのですが、ウェブサイトを見ていると、ステップやピアノ曲事典があったりと、現在のピティナはピアノに関してのあらゆるニーズを網羅していると感じました。
先日参加した新入会員向けの交流会では、本多昌子先生のお話を伺う機会がありました。ピティナで活躍されているベテランの先生はどのような方かなと思っていたのですが、本多先生はピアノの指導に関して豊富な知識を持っていらっしゃるにも関わらず、とても気さくに接してくださり、まさに私の理想とするピアノ指導者のお姿でした。そういった憧れの先生に出会えてありがたかったですね。
2011年には1名、2012年には3名の生徒がコンペに参加しました。私がコンペに参加していた頃は、音楽の道を目指して勉強している子だけが参加している印象でしたが、最近は誰にでも門戸が開かれていて、気軽に参加できるようになったと感じました。また部門や級の種類も増え、それぞれのニーズにあった参加の仕方ができるようになったと思います。今後は大人の生徒さんにグランミューズ部門をお勧めしたいと考えています。
多様な経験を与えてくれる大人に子ども時代にどれだけ巡り合えるかということが重要だと考えているので、ピアノを通してさまざまなことにチャレンジしていただき、楽器のお稽古をするからには、長く、その楽器が人と人とを結び、精神的な成長の支えとなってくれればいいな、ということをモットーに指導をしています。また、人の目に触れて、耳で感じてもらって、初めて演奏は育っていくものだと強く伝えています。そういった意味でコンペ参加は貴重な経験になると思います。生徒に口で言うだけでは説得力がないので、私自身が演奏する姿を今後も生徒たちには積極的に見せていきたいですね。