あの大震災から1カ月──。日本全体がふさぎ込んでは、また奮い立つのを繰り返す。いまだかつてない、その繰り返しの振れ幅に翻弄され、あちこちで疲れ切った表情ばかりが見られる。
そんな中で、ピティナで復興の「のろし」をどこよりも高らかに上げたのは、他ならぬ被災地の宮城と福島だった。
ピティナ会員のたぎる想いが、困難を踏み越えて、仲間との絆を熱く分かちがたいものにしているさまを、私たちは目の当たりにしている。共通しているのは、コンペも、セミナーも、ステップも、これまでと同じように実施したい、という強い気持ちだ。
仙台地区(名取市)・福島浜通り地区など、残念ながら開催を中止した予選もあるが、仙台中央中期、後期予選などは、会場を変更して実施、喜多方予選の代替地区として会津若松地区を新たに設置した。いずれの調整も、宮城・福島のピティナ関係者が各所に奔走した結果であることは言うまでもない。最新情報はこちら
2.仙台おりひめステーション(代表:武内園子先生)
4月10日に平間百合子先生によるコンペ課題曲セミナーを開催。受講料を無料とし、約40名の参加者から、募金を集めた。講座は平間先生と生徒さんの連弾による「主よ、人の望みの喜びよ」でスタート。集まった74,550円は日本赤十字社に寄付された。平間百合子先生からのメッセージ――この震災は東北地方の方々全てが一年、二年でピアノが弾ける状況に戻れるようなものではないと感じています。自然の脅威の前には命あるだけで幸せですが、さらに、生かされた命を音楽を通して生きている喜び、命の実感につなげるために、ピアノを弾きたい!と、うずうずしている方々の支援をしてまいりたいと思います――
4.いわきステーション(代表:細渕裕子先生)
当初、6月26日に予定されていたステップの開催の代わりに、12月に同じ会場「アリオス」を予約。それでもなお、6月26日を市民の皆さんの心の癒しのために、コンサートとして実現したいという気持ちが強い。しかし強い余震も続く現在、会場の使用開始の見通しは夏くらいまで立たないという。コンサートが実現した暁には、ぜひピティナでアーティストを現地に送るなどの支援をしていきたい。細渕先生もまた、船橋4月、郡山、池田と積極的・精力的にアドバイザーをお勤めいただいている。5.郡山連絡所(代表:中野雅子先生)
3月13日に予定されていた郡山春季地区を、早くも5月3日に代替開催決定。何と、当初参加を予定していた100名のうち、8割が参加を表明した。この日、アドバイザーである伊賀あゆみ先生による、特別コンサート「音楽で心を合わせよう」も開催される(山口雅敏さんとの共演)。伊賀先生は、日本全体がいっしょに復興に向かえるよう、参加者との連弾共演コーナーを準備している。もちろん、順調に復興への歩みを始めたエリアばかりではない。
沿岸部の会員に話を聞けば、レッスンを開始するどころか、生活の中で楽器の音を鳴らすのが憚られるというような、想像を絶する状況が続く。まず必要なのは、生活の土台を建て直すことで、しかもその道のりは果てしなく長い。
しかし、宮城・福島から届くどの声にも、「ひとつ先」を強く希求する想いが響く。そして、「長い道のり」を前にしているのは、誰しも共通のことだ。
であれば、私たちひとりひとりが、宮城と福島の会員の姿に学びながら、自分にとっての「長い道のり」の、「ひとつ先」へ力強く進んで行きたい、と思うのだ。
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