5月5日(金・祝)に開催された「ツィメルマンが語る音楽の奥義」が、大盛況に終了した。前半のマスタークラスでは、ショパンのピアノ・ソナタ第2番を取り上げた(モデルピアニスト:関本昌平さん)。「最初の一音を弾いた瞬間から、『楽器を弾く』という行為から離れて、ただ作品を物語ること。聴衆は、作品の芸術的な姿に魅了されるのです」という印象的な言葉から始まった。
ソナタという「巨大な建築物」を弾くにあたり、ステージに出てから弾き始めるまでの充電時間の捉え方、「土台」となる冒頭の入り方、休符の音楽的な意味、テンポ設定、フレーズの捉え方、聴衆の耳と心理状態、楽器の差異とホールの関係など、様々な視点から、ソナタを鋭く、また大局的に捉えていく。また後半は録音技術の発達と、それによるピアニストに求められる能力の変化などが語られた。
この日会場には1,400人ほどの聴衆が集まり、ツィメルマン氏の奥深い哲学的な音楽観に、深い感銘を受けていた。
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