ピティナ・CrossGiving

ピティナ会員と語る寄付のミライ~特級クラウドファンディング 寄付者座談会

ピティナ会員と語る寄付のミライ
特級クラウドファンディング 寄付者座談会

今年も特級では特級クラウドファンディングを行っております。
特級ファイナルは全国大会の最終日ということもあり、日頃からご支援いただいている皆さまへの感謝の場という風にも考えています。

ファイナルに先立ちまして、寄付をいただいている皆さまがどのようなお気持ちで寄付してくださっているのか、またそのきっかけについて、今回は三名の先生方、柏原加奈子先生、嶋名真理先生、松永由里先生をお迎えし、福田成康専務理事を交えてお話を伺いました。

柏原加奈子先生
駿府札の辻ステーション代表
嶋名真理先生
いがCrescendoステーション代表
松永由里先生
横浜クラヴィアートステーション代表
福田成康
専務理事
川野辺雪菜
認定ファンドレイザー

インタビュアー:川野辺雪菜(認定ファンドレイザー)


先代から受け継いだ寄付という行為

まず、皆さんが人生で初めて寄付をした体験を覚えている範囲で教えていただきたいです。

私は、両親が街中の募金活動の団体や赤い羽根募金を見かけるとお金を渡してくれて募金をさせてくれていました。少額ではありますが、積極的に寄付という体験をしていたように感じます。
自発的に行ったものは、大規模災害が起きた際の支援募金もありますが、一つの団体に対してずっと寄付しているのはピティナだけです。

私は幼稚園生の頃、祖父母の家で過ごす時間が多かったのですが、祖父母が「誰かのためになることは素敵」「困っていたらお互い様だから」という精神で近所の子育て世代や困っている家庭へ作ったお惣菜や野菜を配っており、そのお手伝いをしていました。その経験から、自然と「見返りを求めず他者に分け与える」という行為が身についていったように感じます。
自分のお小遣いを使って初めてした寄付は、小学校のときに平和教育の一環として行った「平和の鐘」鉛筆の購入でした。
自分のお小遣いを使って初めてした寄付は、小学校のときに平和教育の一環として行った「平和の鐘」鉛筆の購入でした。

懐かしい!私もその鉛筆を購入しました!

私も嶋名先生同様、親が街頭で行っている保護犬などの募金活動に募金しているのを見て育ち、自分にもできることをしたいと思うようになりました。

皆さん、ご家族の背中を見て「寄付をすること」を自然に身に付けられたのですね。福田専務も普段から寄付することを意識して行動していらっしゃると思いますが、何か印象的な体験はありますか。

私ももちろん社会貢献的な姿勢は親から学んでいると思うのですが、小学4年生のときに母が街頭募金に寄付をしなかったのは、逆に印象的でしたね。なぜ寄付しないのか尋ねたら、母は「いろいろな考え方があるけれど、私はこういう瞬間的な寄付ではなく、【公園をつくる】ような寄付がしたい」と言っていました。

「長く形が残る寄付」、という意味でしょうか。

「自分の持っている資源をいかに長く効率よく社会貢献に使えるか」という視点で寄付を考える人だったんですね。実際母は、亡くなるまでの10年間節約して福田靖子賞基金の原資を貯めました。
私もお金がなかった若いころは、年に2回の「献血」という形での寄付がせいぜいだったのですが、今ではその母の教えから、寄付先のポートフォリオを組んで、効果的に自分の寄付を使ってくれる団体を選んで寄付するようにしています。

なるほど。
寄付をする人は、「自分が直面していない困難や遠い場所の人のことを想像できる」「【自分ごと】にできる範囲が広い」といった傾向があると言われますが、皆さんはまさに幼少期からそうした経験を積んでこられている印象がありますね。

感謝の気持ちを寄付で届けたい

ピティナに寄付していただくときに、どのような想いを託しておられるのかお伺いしたいです。

私は指導者賞の賞金を使ってピティナの事業に寄付できることを知ったのが、ピティナに寄付し始めたきっかけでした。ピティナを通じて様々な先生とのご縁をもらえたので、感謝の気持ちをお返ししたくて、今度は自分が若いピアニストへ向けて支援したいと思い、始めました。

自分が何かを受け取って、その相手にお返しするのが「恩返し」ですが、さらに別の誰かに感謝を繋げていくことを「恩送り」と言ったりしますね。感謝を循環させる形でご寄付いただいているのが素晴らしいなと思います。

私はピアノ科出身ではないのですが、ピティナへの入会を機に指導者としての人生を始めることができましたし、私の3人の子供たちもピティナに育てていただきました。今の自分があるのも、幸せでいられるのも本当にピティナのおかげなので、ただただ感謝の気持ちから寄付しています。

私もお二方のお話を聞いて、ピティナに入会していなかったら今の自分がどうなっているんだろうと思うと...恐ろしいですね。(笑)
指導法も非常に変わりましたし、右も左もわからない状態からコンクールなどの機会をいただき、生徒とともに私自身もたくさん成長させていただきました。
ピティナへの初めての寄付は、私も指導者賞の賞金を使った寄付だったと思いますが、自分がよく使っているピアノ曲事典がさらに発展するといいな、という気持ちで寄付しました。今でも愛用させていただいています。

皆さん、ピティナの事業に感謝してくださっているということで……福田専務、事業者冥利に尽きますね。 専務はこの寄付を事業に還元している立場になりますが、寄付を受ける側としてどのような想いでいらっしゃいますか。

寄付金をいただくということはまさに感謝の気持ちの表れでありますので、この感謝の気持ちを受け取ることが仕事のパワーの源になっています。
嶋名先生が寄付してくださったピアノ曲事典は、2002年から現編集長が始めた事業ですが、職員もこういうお話を聞いて意欲を高めると思います。

寄付金を活動資源にしているNPOなどでは、事業の受益者と寄付者が別の主体であることも多いのですが、ピティナの寄付者の多くは事業を使ってくださる方なので、感謝の循環が生まれているのが特徴的ですね。

応援したい、と思う気持ちはどこから?

現在ピティナでは、クラウドファンディングをはじめ様々な寄付メニューを設けていますが、皆さんはどんなメニューがあると「もっと応援したい!」と思えますか?

私は自分でもピティナ・ピアノステップの運営事務局であるステーションを運営していますが、最近ステップの参加者の固定化が気になっていて、新しい指導者を呼び込みたいなと思っております。現時点で会員ではない先生が良さを感じられるよう、例えばステップに出すきっかけを手助けするような制度があったらいいなとは思います。新しい指導者が参加するきっかけづくりに寄付が活用されるなら嬉しいですね。

まさになにか案を練りたいなとは思っています。きっかけがきっかけで終わらないように、また指導者の大切さを世の中に伝えられるようにどう制度を整えられるかが課題になりますね。

世の中にピアノやピティナのよさがもっと周知されたらいいなと思います。特にピティナのステージに繰り返し参加することで受けられる「継続表彰」の仕組みは大きいですね。双子の推薦入試の内申書や、長女の就職活動の履歴書に「継続表彰」のことを書いて、「一つの事を継続して頑張る力」が評価される効果を感じました。そういった形でも良さを広められたらいいなと思うので、広報活動が拡充されるなら応援したいです。

ピアノを長く学ぶことで身につけられる力は、ピアノを辞めてしまったとしても活用できることがたくさんありますよね。ピティナでもEnjoy! Pianoのページで、ピアノの経験がありながら様々な職種で活躍されている方をご紹介させていただいています。こうした広報活動は今後も拡げていきたいですね。
松永先生はいかがですか?

ピアノを習っている子どもたちに、特級ファイナルのような大舞台を生で聴けるきっかけがほしいなと思います。特に、ピアノを習っているけどそこまで熱心になれていない子どもたちにも、演奏が届いたらいいなと思います。

これまでピティナに関わりがなかった一般の人にもYouTube配信などの無料の媒体を通じて活動を広めていきたいと考えているのですが、皆さんの周りでピティナをあまり知らなかった人が応援してくれるようになったきっかけを、聞いたことはありますか。

やはりコンサートに一緒に足を運ぶことですかね...…実際にコンサートに誘って生の演奏を聴いて感動し、変わってくださったご家族がいました。

私の生徒にも、角野隼斗さんの武道館の演奏を聴いて、ピティナで育った人が大活躍されているのを実際に見ることで、ピアノへの意識が変わりました。積極的に演奏会に行ったり、ステップに参加するようになったりなど、今まで以上に真剣に取り組んでくれるようになった生徒がいました。

ライブ配信はコロナ渦がきっかけで広がりましたが、実際に生演奏を聴くことでしか得られない感情がたくさんありますよね。今回のクラウドファンディングでは、ファイナルのゲネプロ見学のコースを用意していますが、こうした生演奏を聞ける機会が子どもたちに届く仕組みは今後も必要そうですね。

寄付で感じた喜びとやりがい

最後に、「寄付」という行動を通してうれしかった体験ややりがいを感じた経験についてお伺いしたいです。

あるコンクールの立ち上げを寄付で応援した際に、支援した先の団体や先生方から感謝の言葉をもらったことです。自分の寄付が届いていることを直接感じられたときに、とても嬉しい気持ちになりました。

ピティナで育った子たちのためのコンサートを主催したときに、演奏会に出演した子供たちが「自分の頑張ってきたこと」が「人に届いた」という経験で人間的に成長できたことを感じられたときによかったなと思いましたね。
やはり演奏家は、聴衆者・スタッフ・支えてくれる人があって演奏が成り立ちますので、このことを生徒の皆さんには学んでほしいし、忘れないでほしいですね。

見返りを求めて寄付をするのではなく、自分ができることをすることで心がすがすがしくなって、人にも優しくなれる感じがしますね。花瓶の水を変えるように、人を助けることによって自分がいい気分になります。必要とされる場所にそれが届くということがやはり大切だなと思います。

本日皆さんのお話を聞いて、素晴らしい方々にピティナを支えていただいているのだなと改めて実感しました。専務はいかがでしょうか。

そうですね、3名の先生方は寄付をすることが自然になっていて、幸せがつながっているのでこの輪がますます広がるといいなと思います。
嫌なことがあった時それを取り除く努力をするより、感謝できることを見つけて頭を埋め尽くすことで日々幸せに生活できます。感謝するには、自分に影響を与えている事象が当たり前ではなく、誰かの努力でできていることが分る知識が必要です。寄付は感謝の証として行いますので、寄付することで感謝の気持ちが増幅することにもなり、自分の幸せのためにも寄付は有効だと思っています。
ピティナは、皆様に寄付したいと思って頂ける団体を目指しています。

幸せを追求する方法は様々ありますが、「寄付」を通じた喜びや幸せが選択肢の一つとして世の中に広まっていくよう、ピティナも寄付を受ける団体として活動していきたいと思います。

本日は貴重なお話をたくさんありがとうございました。


寄付者の集い

2023年度、2024年度のクラウドファンディングにご寄付いただいた皆様を対象に、「寄付者の集い」を開催いたします。

「寄付者の集い」開催のご案内
日時 2024年 8月 21日(水)
場所 サントリーホール ブルーローズ
開始時間 15:00~15:45(受付開始:14:55)
  • 開始時間は変更になる場合がございます。詳細はご参加の皆様に、追ってご連絡させていただきます。

プログラムには、皆様との交流の時間や、特別なゲストによる演奏を予定しております。皆さまとの交流の場となれば幸いです。詳細はREADYFORからのメッセージ、また下記プレスリリースをご覧ください。

皆様のご来場をお待ちしております。

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