レポート:今、「応援の輪」を広げる理由

開催レポート
寄付者の集い「ピティナの今後を考える会」

7月初旬から呼びかけを始めたコロナ禍のピティナへのご寄付に対して、約1カ月でたくさんの方が応援のお気持ちを寄せてくださいました。8月6日(木)時点で、コロナ禍の打撃へのご支援が5,256,000円/182 件、特級ファイナル開催支援基金に1,732,000 円/111 件、合計6,988,000円/293件ものご支援をいただいています。皆様の温かいご支援に、心より御礼申し上げます。

一人でも多くの寄付者に直接お礼の言葉をお届けしたい!という想いから、7月21日(火)・22日(水)・27日(月)・30日(木)の4回にわたって、寄付者を対象とした「ピティナの今後を考える会」をオンラインで開催いたしました。合計52名の寄付者が集まってくださり、それぞれ今回の寄付に託した想いや、ピティナに期待していることなどを熱く語ってくださいました。残念ながら会への出席が叶わなかった方々からも、たくさんの温かい応援メッセージを頂戴しています。

会では、ピティナの経営の現状と先々の見通しを共有し、なぜ今「応援の輪」を広げる必要があるのかを福田成康専務理事からお伝えさせていただきました。

ピティナの運営の現状

少子化高齢化が進み、子ども人口がどんどん減少する中でも、ピティナはコンクールやステップへの参加者数を伸ばし続けてきました。

この成長の要因の一つには、誰もが無料で使える「ピアノ曲事典」や、先生と生徒さんの出会いを支える無料のマッチングサービス「ピアノ教室紹介」といった、裾野を広げるための無償サービスがあると自負しています。また、コンペティションやステップのような有償サービスの中でも、審査員やアドバイザーを派遣して全国の指導者・学習者の交流を生んだり、小さなお子さんでもモチベーションをもってピアノを続けられる細かな仕組みの開発に投資してきたことで、多くの方にご入会・ご参加いただけるようになりました。

右の下のグラフは、ピティナの例年の年間収益の事業比率です。平均して、毎年およそ7割の収益が会費とコンクール事業で占められています。無償の事業や、コストのかかる事業の赤字分の多くは、会費とコンクール事業の黒字で賄って運営しています。

コロナウィルスによる打撃

ところが今年は、最も収益の多いピティナ・ピアノコンペティションのシーズンに、新型コロナウィルス感染症が直撃してしまいました。たくさんの参加者が一つの会場に集まるコンペティションは中止を余儀なくされ、コンペティションのリハーサル目的でたくさんの方が参加する全国のステップも、ほとんどが中止となりました。

概算で、コンペティションとステップだけで既に2億円の損失が出ていることになります。先の見通しが立たない中で、秋以降のイベント開催を断念する事務局も増えてきており、損失は3億円規模まで膨れ上がる可能性があります。

むこう2年間の見通し

このように大きな打撃は受けていますが、およそむこう2年間は、無償サービスやコストのかかる事業も継続しながら、団体を運営していける見通しです。

赤丸で示すとおり「何かあった時のため」の資金が、およそ7億円あります。うち1億円は基本財産、約1億円が翌年度の会費の前受け金ですので、使える資金は約5億円。仮に2~3億円規模の損失が2020~2021年度いっぱいまで続いたとしても、およそむこう2年分はこの資金で、これまでのサービスを止めることなく団体の運営を続けることができる見込みです。

ではその先、2022年度以降はどうなるのか。
コンペティションやステップ、セミナー、ピアノ曲事典、ピアノ教室紹介、数々のコンサート、その他たくさんの方にご利用いただいているサービスを、変わらず提供できるのか?
より多くのピアノ指導者・学習者に喜んでいただけるサービスを開拓していけるのか?

それはこの「なんとかなる2年間」に、いかに「応援の輪」を広げていけるかにかかっています。

誰もが困難に直面する今、私たちが広く「寄付」を呼び掛けているのは、単に金銭的な支援を求めるだけでなく、この「応援の輪」を築いていくためでもあります。
「寄付」は、「応援の気持ち」の一つの形だからです。

今できること

ピティナを応援する方法は、もちろん寄付だけではありません。

私たちが打ち出した数々のオンライン企画に、セミナー講師や審査員・アドバイザーといった立場でご協力くださった先生方。イベント運営や広報を手伝ってくださった支部・ステーションの皆様。そして、この状況でもピアノを辞めずに懸命に練習を続け、ピティナのイベントに参加してくださっている皆様。
その行動一つひとつが、私たちにとっては力強い「応援」です。その応援に支えられて、私たちはこの困難の渦中でも、恐れず様々なオンライン企画を打ち出すことができました。

3月2日・3日にコンペティションの開幕イベントとして行う予定だった課題曲説明会。2月26日に開催中止が決定しましたが、なんとか皆さんに希望を届けたい想いで、急遽本部事務局からのライブ配信でお届けすることになりました。最大の同時視聴者数が1,400人を超え、延べ閲覧者数は8600人に達しました。

その後、残念ながらピティナ・ピアノコンペティションは多くの部門で中止を余儀なくされましたが、3月に既にたくさんの子どもたちが課題曲を練習してきたことを無駄にしたくない一心で、4月代替のオンライン企画「課題曲チャレンジ」を打ち出しました。支部・ステーションの方々にご協力いただきながら説明会を126回開催し、1万組以上の方にエントリーしていただけました。

3月以降ほぼすべての地区が開催中止になってしまったステップも、ステージを楽しみにしている方々のためになにかできないかと、3月末には第一回「オンラインステップ」が誕生しました。実地のステップと異なる「アドバイザーから口頭で直接コメントをもらえる」という点が好評をいただき、オンラインでできることの可能性が拡がりました。

長期間家に閉じこもらざるを得ない子どもたちには、何かピアノや音楽につながっていられるきっかけがあった方がいいのではないか。先生たちはオンラインでできることの情報を必要としているのではないか。調査研究事業の中では連載企画「Stay at Home, Keep on Music」が始まり、子どもたちが自宅で楽しめるクラフトやぬりえをご用意した他、オンラインレッスンレポートや自粛期間中の練習の工夫をたくさんの方に取材し、情報発信を連日行いました。

その他にもたくさんの事業で「今できること」を模索し、イベントはオンライン開催に移行し、新しい企画を考え、ほとんどの事業を止めることなく走り続けてきました。
これらがすべて実現できたのは、ピティナにたくさんの応援の気持ちが届いたからです。
「今、必要とされている」という実感があったからです。
ピティナを必要としている声が届く限り、私たちはいくらでも「今できること」を探すことができます。

自分にできる応援を

今は誰もが、困難な状況にあります。新型コロナウィルスだけでなく、豪雨の被害も各地に広がり、日々の生活で精いっぱいの方がたくさんいらっしゃいます。団体に寄付をできる経済状況ではない方も当然いらっしゃるはずです。
それでも一人ひとりに、できることはあります。
ピアノや音楽が大好きな気持ちや、ピアノ教育を必要と思う気持ちがあれば、何かの形で私たちのもとに「応援」となって届きます。

「寄付」は、その一つの形です。損失額の大きさを見て、ご自身の寄付金額に恐縮される方が少なからずいらっしゃいますが、何よりもまず「応援しよう」と思ってくださることが、私たちの力になります。

今、ピティナを必要としてくださる方一人ひとりが、自分にできる応援は何かを考え、「応援の輪」に加わってくださることで、ピティナは 3 年後も 5 年後も 10 年後も、どんな困難があっても事業を止めず、新しいことを常に探し、ピアノ指導者・学習者を支える組織に成長できます。
一人でも多くの方がこの「応援の輪」に加わってくださることを、心より期待しております。
今後とも、私たちの「応援の輪」を広げるための発信にぜひご注目いただき、周りの方々へのお声かけにもお力添えいただけますと幸いです。

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