出演者インタビュー
掲載日級名お名前
2017/2/2G級[銀賞]吉原 佳奈さん

G級銀賞には今までとは全く別の嬉しさがありました!

2001年生まれ。PTNAピアノコンペティション全国決勝大会において、B級金賞、C級金賞、D級ベスト賞、E級ベスト賞、F級ベスト賞、Jr.G級銅賞、G級銀賞並びに洗足学園前田賞受賞。第1回ベーテン音楽コンクール小学1・2年生部門全国大会第1位。第10回ショパン国際ピアノコンクールin ASIA小学1・2年生部門アジア大会銀賞。第22回日本クラシック音楽コンクール小学校高学年の部全国大会第5位。第14回宝塚ベガ学生ピアノコンクール中学生部門第1位。2014年いしかわミュージックアカデミーマスタークラスに参加し、IMA奨励賞受賞、IMAライジングスターコンサートに出演。2016年すばるイブニングコンサートシリーズにおいてソロリサイタル開催。これまでに二本柳奈津子、岩本智子の各氏に師事。現在、ピアノを芹澤文美、芹澤佳司、江口文子の各氏に師事、ソルフェージュを有田可恵氏に師事。昭和音楽大学附属ピアノアートアカデミー在籍。大阪教育大学附属高等学校池田校舎1年。

第1部出演

演奏曲目
サン・サーンス=リスト編:死の舞踏 S.555

まずはじめにピアノを始めたきっかけを教えてください。

3歳になって幼稚園の通園にも慣れた頃、お友達の紹介で近所のピアノ教室に入会しました。最初は自分の意志ではなく物心がついた頃にはピアノを弾いていたという感じです。偶然にも導入指導に定評のある先生が近所に住んでいらしたことが私にとっては幸運でした。

幼いころからピアノに触れていたのですね。ピアノのどのようなところがお好きですか。

ピアノは繊細な音も力強い音も多彩に自分の感性で表現をすることができます。私は小さい頃は人前に立って何かを表現するということが苦手でしたが、当時師事していた先生の教室では人前で演奏をする機会が多くありました。当たり前のように年に何回もステージに立つ中で"表現する"という喜びを見つけることができました。ピアノによって自分自身も変わることができたと思うのでピアノを好きというよりはピアノに感謝しているというほうが正しいのかもしれません。

それは素晴らしいですね。師事されている先生方はどのような方々でしょうか。

江口文子先生には小学校5年生から師事しております。普段はいつも笑顔で楽しいお話を聞かせて下さいますが、いったんレッスンのスイッチが入るととても厳しい方です。レッスンのテンポが早く瞬時の反応を求められるため、先生の言葉を聞き逃さないよう一瞬たりとも気を抜けません。厳しいこともおっしゃいますが、どんなときでも愛情をもって接して下さるのが伝わってきます。そして私が壁にぶつかったときに"あなたなら出来る"と自信を持たせて下さいます。江口先生はピアノの技術だけでなく、ピアニストである前に人としてどうあるべきかを教えて下さいます。
芹澤文美先生には中学1年生から師事しております。私が理解できるまで根気よくいろいろな角度から導いて下さる先生です。先生自身、小柄でいらっしゃるので、同じく小柄な私には演奏面で学ぶことが多いです。迫力のある音が欲しいとき、少しの工夫で小柄な私にも思い通りの音が出せることを教えて下さいます。この夏も本当にお忙しくしていらっしゃったにもかかわらず、朝早く、そして夜遅く、時間のやりくりをして私の指導に当たって下さいました。
芹澤佳司先生にはコンクール前に曲の仕上げの段階でアドバイスをいただくことが多いのですが、解釈の面などで私が悩んでいるときも的確に問題を解決して下さいます。佳司先生のおかげで自信をもって本番に臨むことができたと思います。

ピアノとともに成長されてきた吉原さんですが、特に、レッスンに励むことで成長したと感じるのはどんな点でしょうか。

音楽系の高校ではないので、勉強とピアノの両立が大変難しいのですが、時間の使い方が上手になったのではないかと思います。とにかく集中力を保って質の高い練習を心がけています。例えば中学受験のときなどはピアノと受験勉強の両立が本当に大変だったのですが、小さい頃からピアノで養われた集中力と度胸でピアノも受験も自分の思い描いた通りの結果を得ることができました。時間のやりくりが大変なときのほうがかえって双方に良い結果を得られることが多かったように思います。また、友達と遊んでリフレッシュする時間も大切でしたので、遊びの時間を確保するためにメリハリの効いた生活を自然と身に付けることができました。

勉強とピアノの両立でお忙しい中で、練習はどのようにされているのか教えてください。

練習頻度はピアノを始めた3歳の頃から変わらず毎日しています。もちろん旅行に行っているときや体調の悪いときできませんが、元旦でも家にいるときは必ず練習します。「今日一日くらいは休んでいいかな」という気持ちを一回でも持ってしまうと、それが二回、三回と甘えにつながるので、時間は短縮せざるを得ないときでも毎日弾くということを心がけています。ただ、高校生になってピアノに費やすことができる時間の確保が大変で毎日3時間できれば良いほうです。私の年齢ではかなり短いほうだと思いますが、今の環境ではそれ以上は難しいので、"量より質"を重視しています。

練習の取り組み方に注意を払っているのですね。限られた時間でレッスンに励む中で、嬉しいと思うこと、また、逆に一番つらいと感じることは何でしょうか。

演奏会やCDで聴いた難しい曲を自分も弾けるようになったときが一番嬉しいです。ここ数年の私の課題は"とにかくレパートリーを増やすこと"でしたので、気に入った楽曲があれば積極的に取り組むようにしています。ただ音を拾うだけでなく、曲の構成を考えながら仕上げていく過程が私にとってはワクワクする楽しい時間です。
一方で、自分ひとりで練習をしているとある程度弾けるようになったところで満足してしまうことがあります。自分ではちゃんと弾けているつもりでも先生のところに持っていくと当然ダメ出しをされます。小さい頃は先生に教えてもらったとおりに弾いていればよかったのですが、今はまずこの曲を自分がどう弾きたいかを問われ、もちろん先生からアドバイスはいただくものの、作曲家が意図するものを基本的に自分で理解していかなければなりません。また、今年のG級で演奏したスクリャービンのソナタ第2番は表現が難しく、どう演奏すればよいのか最後まで悩みました。二次予選の段階ではまだ試行錯誤で、結果、一回目と二回目では全く別の表現をして二回目の二次予選で全国大会への切符を手にすることができました。こんなに曲の解釈で悩んだのは初めてで、途中出口の見えないトンネルの中にいるような状態になった時期がありました。テクニック的には問題ないのに何が悪いのか、どのように表現すればよいのか、今回G級に挑戦するにあたって自分の演奏を見失った時期が一番つらかったです。

解釈についての悩みを乗り越えての銀賞受賞だったのですね。本当におめでとうございます。コンクールはどのような気持ちで演奏されましたか。

ちょうど全国大会の日程がオリンピックと重なっていたのですが、全国大会の朝目覚めるとレスリングの吉田選手が銀メダルに終わり悔し涙を流しながらテレビのインタビューを受けていました。「負けたらどうしようと思うと試合をするのが怖かった」という話を聞いて、こんなに強くて凄い人でも本番前の少しの弱気がよくない結果をもたらすこともあるのかもしれないと思い、気持ちだけは負けないようにと、全国大会では自分の演奏に集中する事だけを心がけました。ピアノとスポーツは違うジャンルのものですが、今年のオリンピックメダリストからたくさん学ぶことが多かったです。

たしかに、一度きりの本番に臨む気持ちはとスポーツも音楽も共通するところがありますね。受賞を知った瞬間の気持ちやその後の気持ちなどをお伝えください。

今回のG級は私にとって大きなチャレンジでした。出場者がほぼ音大生ということもあるのですが、今まで受けてきた級とは全く別のもののように感じられたからです。二次予選でかなり苦労しましたので、全国大会で演奏できるだけでもう十分満足でした。まさか賞を頂けるとは思わず、来年もう一度G級を受けようと家族とも話していましたので、銀賞で名前を呼ばれた瞬間は驚きと同時に今までいただいたどんな賞よりも嬉しさがこみ上げてきました。祝賀会ではたくさんの方から祝福していただき楽しい時間を過ごすことができましたが、翌日にはG級銀賞はすでに過去のものとして、また次の目標に向かって頑張ろうと前向きな気持ちになれました。

今回の記念コンサートでは「死の舞踏S.555」を演奏されます。この曲を選ばれた理由を教えて下さい。

かなり前の話ですが、私のレッスンのすぐ後に憧れの先輩が来られていて、その時この曲をレッスンされていたのを聴いて、曲の持つ力強さとタイトルのインパクトの強さに惹かれ、いつか私も演奏してみたいと強く思いました。G級にチャレンジする前から今年の冬はこの曲を弾きたいと自分で決めていましたので、今回このような晴れやかなステージで演奏することができて光栄に思っています。

「死の舞踏S.555」を演奏される際、特に注目してほしい箇所はありますか。

今まではどちらかというと明るく軽い曲調の曲を好んで演奏することが多かったのですが、今回は今までの私のイメージを180度変えられるような選曲ということもあって、ドレスも含めて少し大人っぽく演出するつもりですので、そのあたりに注目してほしいと思います。

楽しみにしています。新しい曲調、演出に挑戦される今回の記念コンサートに臨むお気持ちを聞かせてください。

このコンサートに出演させていただくのは今回で4回目になるのですが、毎回本番前に体調を崩しているので今回はとにかく健康に注意を払って万全な状態で臨むことができれば、大好きな第一生命ホールのステージで楽しく演奏できるのではないかと思います。そして今まで私を育てて下さった先生方に感謝の気持ちを演奏で表現したいと思っています。

ありがとうございます。最後に、今後の目標を教えて下さい。

今は新しい曲に挑戦するのが楽しくて仕方ないです。今まで自分が弾いてこなかったような曲もどんどんチャレンジして自分の可能性をもっと広げていきたいと思っています。また、まだコンチェルトの経験がないので機会があればチャレンジしたいです。レパートリーを増やし、コンチェルトを経験することによって、またこの第一生命ホールのステージに戻ってこられるよう、これからも頑張っていきたいと思います。

Youtube - 決勝での演奏

チケット
  • 2017/03/20(月・祝)
  • 第1部 13:00~開演/第2部 16:30~開演
  • 【会員・学生】各部(自由席/指定席):3,000円
  • 【一般】各部(自由席/指定席):3,500円
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