出演者インタビュー
掲載日級名お名前
G級太田 糸音さん

親元を離れ、新たな環境で向き合った「自分」と「音楽」

おおた しおん◎2000年生まれ。 2007年~2015年 ピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会において、A1.B.D.E級ベスト賞、C級銅賞、F級金賞、Jr.G級、G級銀賞、2台ピアノコンチェルトA部門第1位受賞。2009年 ピティナの推薦によりランラン氏選抜による公開レッスン受講。2010年 第64回全日本学生音楽コンクールピアノ部門小学校の部全国大会第2位。
2011年 日本クラシック音楽コンクール小学校高学年女子の部全国大会第1位グランプリ。中之島音楽祭にてリサイタル。2013年 第17回浜松国際ピアノアカデミーコンクール第5位、モストプロミシングアーティスト賞受賞。中村紘子氏のご推薦により佐川文庫にてリサイタル。第67回全日本学生音楽コンクールピアノ部門中学校の部全国大会第1位併せて野村賞、井口愛子賞、福田靖子賞、音楽奨励賞、泉州キワニス賞受賞。2014年 すばるホールにて最年少でリサイタル。2015年 NHK-FM『リサイタルノヴァ』に出演。 第19回浜松国際ピアノアカデミーコンクール第5位。大阪フィルハーモニー交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、大阪交響団、ニューフィルハーモニック大阪 と協奏曲を共演。2013年度よりヤマハ音楽振興会音楽奨学支援奨学生。これまでにピアノを植田味香子、半澤佑果、酒井有彩の各氏に、現在、鈴木弘尚、武田真理、石井克典の各氏に師事。東京音楽大学付属高等学校ピアノ演奏家コース・エクセレンス1年に在学中。特別特待奨学生。

第2部出演

演奏曲目
ショパン:バラード 第4番 へ短調 Op.52

高校に入ってから、ピアノとの向き合い方に変化はありましたか?

高校に入学し、親元を離れて生活を始めたので、色々なことを自分で決めたり、責任を持つようになりました。本番に向けて自分で取り組み、また舞台上では詰めの甘いところを見せない演奏をすることを意識するようになりました。

親御さんの元を離れたことによって、見えてきた部分があるのですね。昨年のインタビューを拝見して、「コンクールの課題曲を選ぶ際、自分に足りない部分を鍛えることを意識している」とありましたが、今年はどの様に選曲されましたか?

昨年は技術面を鍛える選曲でした。今年は技術面だけでなく、その曲の内容をアピールできる演奏を勉強したいと思いました。例えば、メンデルスゾーン作曲の幻想ソナタでは、シンプルなだけに、何かが足りない、ただ歌うだけでは何かが違うと思い、自分で考えて練習に取り組みました。

より曲の深い部分を自分で追究される様になったのですね。具体的にはどの様な練習をされましたか?

ただ弾くだけでは無く、ストーリーを考えたり、景色を写真等で見たりしました。始めは海の底の深いイメージが浮かび、途中からはお花畑とか。今までは大まかに曲を捉えていたのですが、音楽は和声が常に変化していくので、それは何かが変化しているのだと思い、1拍単位で捉えるようになりました。するとセリフが聴こえてくるような気がして、ちょっとした叫びや嘆きを呟いてみたりしていました。

和声の変化に何かがあると感じたのですね。二次予選へ向けてどのような練習をされましたか?

毎日が時間との戦いで必死だったので、何をした、ということはありません。その限られた時間の中で、1曲ごとの練習よりは、全体をまとめることを意識しました。今は高校の寮に入っており、これまで親がやってくれていた家事や買い物を自分でやるようになったので、その分練習時間は減ってしまったけれど、短い時間の中でどのように効率良くやるかということを勉強できました。

今までとは違う環境の中で色々なことを模索されたのですね。

はい、1次から2次、2次から決勝大会へ向かっていく中で、自分の考えが目まぐるしく変化していくのが分かりました。そして、今までよりも楽譜と向き合う時間が増え、「自分はどうしたいか」と自分に問いかけるようになりました。その結果、180度考え方が変わりました。親元を離れて、ふるさとを想ったり、本当に辛く不安な時もありましたが、あえて親に頼らず、自分だけで考えて自分に問いかける大切さを知ることが出来ました。

孤独な戦いだからこそ見えてきた部分があったのですね。

はい、同時に先生方の支えがありました。師事している先生方はそれぞれ、全く違うタイプの方々なのですが、三人共本当に「この先生にご指導を受けることができて良かった」と思っています。偉大であり、神様みたいなんです。先生として人間として、音楽も全て尊敬していて、私もそうなりたいと思います。

本当に先生方を尊敬しておられるのですね。全国大会の演奏はいかがでしたか?

実は、お世話になった先生のお一人が2次予選後にお亡くなりになられたのです。その中で本番を迎えたのですが、演奏中にその先生の顔が浮かんできました。自分でも驚いたのですが、20?30分の演奏の中で今までに出逢った人たちの顔が次々と浮かんできました。私はその方々のお陰で、今この舞台の上で演奏しているんだという思いがこみ上げてきて、会場の空気が自分のものになったのを感じました。

先生方からのアドバイスで印象に残っている言葉はありますか?

鈴木弘尚先生からいただいた「レッスンでは即座に反応して弾く。でも普段は自分流にして消化しなさい」という言葉です。先生方からいただく言葉はとても深く、時に厳しい言葉もありますが、それは全て私の人生に向けられているのだと、嬉しく思います。

太田さんは今年は2台コンチェルトも併願されましたが、ソロとの併願は大変ではありませんでしたか?

セミナーを聴講した際、「2台ピアノをやりたい!」と思いました。そして当時、モーツァルトの音楽、生涯を勉強したいとも思っていたので挑戦することに決めました。限られた時間で合わせをしていたので不安もありましたが、モーツァルトの生涯を勉強することによって、ウィーンの風景が見えてきたり、先生に伴奏をして頂き、アドヴァイスを頂けたりと、面白かったです。

2台ピアノにより、新たに吸収出来たものがあるのですね。 2台ピアノコンチェルトでの金賞、G級銀賞受賞を知ってどの様に思いましたか?

とにかく安心しました。新たな環境の中で自分で模索しながらやってきたので、これで本当に良かったのか分からないけれど、少なくとも「自分は間違っていなかったのだ」と思えました。そして今年のコンクールは、肉体的な疲れは少しありましたが、精神的な満足感があり、ちょっとしたスリルが楽しい!とも思えるようになりました。

受賞、おめでとうございます!入賞者記念コンサートではショパンのバラード4番を演奏されますが、どの様な思いで選曲されたのですか?

小学6年生の時に憧れの方の演奏を聴き、私も弾きたいと思っていました。

当日はどの様な演奏をしたいですか?

実際に今弾いてみて、やっぱり良い曲だと思います。これまでに沢山の方がこの曲を弾いていますが、私らしい演奏をしたいです。納得がいかなくても、その時の演奏が私の演奏なので、演奏させていただけることに感謝して弾きたいと思います。

日々新たなものを吸収し、全てのものを音にして、追究していく糸音さんの演奏を心から楽しみにしています。 最後に今後に向けての抱負を教えて下さい。

沢山のジャンルの曲を勉強したいです。楽しみでもあり不安もありますが、今はこの先の自分の為に、色々な経験をして吸収していきたいです。それから、全曲演奏会や、外国で邦人作品を演奏したり、室内楽もやってみたいです。

Youtube - 決勝での演奏

チケット
  • 2016/03/21(月・祝)
    第1部 13:00~開演/2部 17:30~開演
  • 【会員・学生】各部:3,000円 通し券:5,000円
  • 【一般】各部:3,500円 通し券:6,000円
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