グランミューズ部門
- ラフマニノフ:プレリュード ト長調 Op.32-5
- ラフマニノフ:プレリュード 嬰ト短調 Op.32-12
コンペには今回で3度目の挑戦で、初めての入賞となりました。振り返っていかがだったでしょうか?
自分自身をはじめ、周りの人は誰も私がピティナの決勝大会に行けるとは思っていなかったので、入賞という結果には大変驚きましたし、今まで続けてきたことが無駄ではなかったと感じました。普段は山奥に住んでいるため刺激の少ない毎日ですが、コンペでは職業に関わらず素晴らしい演奏を追求されている方がたくさんいることがわかり、嬉しかったのと同時に勇気をいただいた気がします。
普段は指導者として多くの生徒さんを教えていらっしゃいますね。ご自身でもコンペに出場されるようになったのはなぜですか?
指導を続ける上で、生徒さんに対して良いアドバイスができるようになるためには、まず自分自身が勉強して知識や実力を身につけていく必要があると考えています。そのため、演奏家としてというよりは、あくまでも生徒さんのために勉強を続けてもっと良いお手本を示せるようにならなくては、という使命感を持ってコンペに出場するようになりました。
先生の生徒さんに対してはどんな指導を心がけているのでしょうか?
日頃から、人生を通してピアノを楽しめる「生涯現役ピアニスト」になって欲しいと思って指導しています。例え伸び悩むことがあっても、自分自身や周りの方を豊かにするためにピアノを一生の財産として続けられるような、またいくつになっても好きな曲を自由に弾けるような生徒さんを育てたいなと思っています。コンペにはそのお手本となってくれる方々がたくさんいたため、出場した生徒にとっても刺激になったのではと思っています。
コンペに続いて今回のコンサートでもラフマニノフの前奏曲を演奏されますが、来場者の皆様に向けて聴いていただきたいポイントはありますか?
昨年の2月に、北極圏まで足を運んでオーロラを観測する機会がありました。4日間の観測期間を経てようやくオーロラを目にした時は本当に感動しましたが、それをきっかけに北の国の作曲家に大きな興味を持つようになりました。ラフマニノフの作品には、凍てつく寒さや、見渡す限りの雪景色、厳しい自然との共存といったイメージを抱いており、普段生活している高山の自然環境と共通する部分もあります。中でもこの前奏曲はまさにあのオーロラを表現したような曲だと感じていて、コンサートでは天から光が降り注ぐような幻想的な雰囲気を表現したいなと思っています。
これからの目標にしていることを教えてください。
生徒の良きお手本となれるよう、これからも一緒にコンペへの出場を続けたいと思っています。もちろん、入賞することだけを目的とはせず、コンペに出場することでお友達を作ったり、日本全国からいらっしゃる皆さんの演奏を聴いたりすることは、自分にとっても生徒にとっても大きな励みになると考えています。将来的には、地元を背負ってゆけるようなピアニストを輩出するのが夢ですね。