- ヒンデミット:ピアノ・ソナタ 第3番 第1,2,4楽章
昨年初めてピティナのコンペに挑戦され、見事A2カテゴリーで1位を受賞されました。今回のコンペを振り返っていかがだったでしょうか?
このたびは本当にありがとうございます。表彰式で名前を呼ばれた時はとても驚きました。というのも、予選から続く多くのハイレベルな演奏に触れ、「自分などとても...」と思っていたからです。とはいえ、そのような状況の中で精一杯自分と闘い、強い気持ちで音楽に取り組めた充実感は、何よりの糧として残っていくと感じ、心から感謝しています。
初めてのコンペには、どんな心境で出場したのですか?
人前での演奏や指導をするというお仕事は、自分にとっても教わることや得られることが多く充足したものですが、反面常に自己鍛錬の積み重ねが必要でもあります。年齢や場を重ねた自分をどこまで試せるのか、興味を持っていたところグランミューズ部門の存在を知りました。A1,A2のように目的に応じてカテゴリーが分けられていたことで、20代や30代の時とはまた一味違う大人の演奏にとても刺激を受け、人生と共に長く音楽の勉強を続けることの深い意味合いを、改めて考えさせられました。
練習にはどのように取り組んできたのでしょうか?
学生の頃ほど練習時間はとれませんし、あまり遅くまで練習できない環境でもあったので、レッスンを終えた後無理をお願いし、よく友人のお宅で遅くまで練習させて頂いていました。日常生活との折り合いにも苦労したため、僅かな空き時間を見つけては練習に充てていました。ただ、そのような制約があったことで、寧ろ効率の良い練習法を考えさせられたり、逆に集中できたりと良い工夫に転換できたと思います。これは決して一人でできたことではなく、ご指導下さった渡辺泉先生をはじめ、見守ってくれた仲間や心を支えてくれた人の存在、家族の温かい励ましと応援あってのことでした。
入賞者記念コンサートの曲目は、どのように選曲したのでしょうか?
選曲には少し悩みましたが、やはり大好きなヒンデミットを思い切り演奏させて頂こうと思いました。コンペでは演奏しなかった、ソナタ第3番の終楽章を演奏いたしますが、独特の和声ほか、グレン・グールドをして「現代の数少ない真のフーガの名手」といわしめるその手法が詰まった作品ですので、独自の世界観を魅力的に表現できるよう、近づいていけたらと思います。
コンサートへの抱負をお願いいたします!
ヒンデミットの作品を魅力的に弾きたいというプレッシャーはありますが、それがひとときの良い音楽の時間となるよう願いを込め、喜びをもって臨みたいと思います。
これからの目標にしていることはなんでしょうか。
数年前から細々と続けているジャズの勉強は、クラシックの勉強にも大変深く通じ、役立っているので、今後も併せて続け、何か新たな視点に結びつけることができたら、と考えています。どのような分野でも、学ぶことに近道はなく、終わりのない道が広がっているものですが、良い時も悪い時も、そのことに希望をもち、楽しみ歩んでいけたらと思います。