[公開録音]ピアノ連弾で味わう『ブラームスの交響曲』Vol.2(2021年2月26日)

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2021/01/07
公開録音コンサート
  • ピアノ連弾で味わう
    『ブラームスの交響曲』Vol.2
  • 2021.226日(金)
    18:00 開演(17:30開場)
  • urakabe_shinji.jpg 江沢茂敏
  • 大井 駿(pf.) 江沢 茂敏(pf.)
  • 東音ホールアクセス
  • 入場料:3,000
  • ・後日、ピティナYouTubeチャンネルにて配信を予定しております。
  • ・感染症対策の一環として定員15名といたします。
  • 新型コロナウィルス感染症対策 をご確認の上、お申込みください。
Program
  • シューベルト:創作主題による8つの変奏曲 D 813 作品35 変イ長調
  • ブラームス:交響曲第2番 作品73(ピアノ連弾版)
Message

 今回の演奏会は、ブラームスの交響曲第2番をメインとし、合わせてシューベルトの「創作主題による8つの変奏曲」という作品をお送りいたします。シューベルトとブラームス...生きていた時代こそ被っていないものの、ブラームスはシューベルトから多くの影響を受けており、今回演奏させていただくブラームスの交響曲第2番にも、シューベルトの片鱗のようなものも垣間見ることができます。

 シューベルトはブラームスのお気に入りの作曲家の一人で、ブラームス自身、演奏会にて非常に多くのシューベルトの作品を演奏しました。さらに、シューベルトの作品を整理、校訂し、当時演奏される機会が少なかったシューベルトの評価に尽力しました。特に、「3つのピアノ小品 D946」は、ブラームスによって発見・出版されたシューベルトの作品の筆頭です。現在シューベルトがここまで演奏されるようになったことも、ブラームスのおかげといって過言ではないのです。

 ブラームスの作品の中でも交響曲第2番は、軽いタッチで書かれた作品で、曲全体を通して、シューベルト的な息の長いメロディーが何度も顔を出します。それぞれの楽章を見ても豊かな性格を持つこの曲ですが、特にシューベルトを思わせるのは第1楽章と第3楽章でしょう。

 まず第1楽章ですが、アルペンホルンを模した第一主題に続く、第二主題。この主題は、チェロによって演奏されますが、ブラームスが生前に何度も研究したシューベルトの弦楽五重奏曲第1楽章の第二主題からの影響が顕著にみられます。そして第3楽章。シューベルトは、オーストリアの民族舞踊であるレントラーをたくさん書き残しましたが、ブラームスのこの楽章はレントラーをベースに書かれています。枚挙にいとまがありませんが、このようにブラームスの交響曲第2番には、シューベルトが顔を覗かせているような部分が多くみられるのです。
長調と短調が頻繁に入れ替わり、物思いにふけるような曲想の第2楽章、そして自らの喜ばしい気持ちを抑えきれないかのような第4楽章などの幅広いコントラストも聴きどころの一つです。

さて、ブラームスの交響曲第2番について詳しくみてみましょう。

・交響曲第2番 ニ長調 作品73

『この作品は、ただただ青い空、泉のざわめき、太陽の輝き、そして涼しげな緑の木陰そのものだ...』

 この言葉は、ブラームスの友人で名外科医のテオドール・ビルロートが、交響曲第2番を聴いて評した言葉です。21年かけて交響曲第1番を書き終えた翌年1877年の夏、オーストリアのリゾート地であるペルチャッハで過ごしていたブラームスは、交響曲第2番に着手し、4ヶ月という短期間で作曲されました。元々ピアノ連弾版が先に出版される予定でしたが、ブラームスが細部にこだわったため、オーケストラ譜と一緒に出版されました。

 ブラームス自身、交響曲第1番のことを「これは愛すべき曲じゃないんだよ」と述べていたのに対し、交響曲第2番では、夏のアルプスの自然で過ごし、溢れるインスピレーションが抑えられないことを友人に宛てています。作曲中、楽譜の出版社への手紙に、「今書いている交響曲第2番は...みんなが到底考えられないほど暗い曲だよ。僕もこんなに暗い曲は今まで書いたことがない。」とわざとウソを書いて、びっくりさせてやろうという余裕があったくらいです。

 このように、ユーモア溢れるやりとりの中で書かれたブラームスの交響曲第2番ですが、今回はシューベルトの自作主題の変奏曲とカップリングして演奏させていただきます。こちらの作品もブラームスの交響曲第2番と同様、旅先で書かれた作品です。

・シューベルト:自作主題の変奏曲 変イ長調 D.813

 1824年夏、シューベルトは元々ピアノを教えていた姉妹に招かれ、ハンガリーのツェリス(現在はスロバキア南部)という小さな街にいました。その期間、なんと5ヶ月。かなり長い間滞在したのです。この姉妹は、元々シューベルトがピアノを教えていた生徒だったのですが、どうやらこの生徒はシューベルトが熱を上げていた女性だったと言われています。

この曲は、直後にすぐ同地で初演されたそうで、シューベルト自身が「かなり大きな拍手を浴びたよ」と友人に書き送っています。行進曲風の主題が、さまざまな変容を繰り広げますが、思いもよらないような変わりぶりを見せる変奏も。「さすが、シューベルト」と、感嘆の声をあげずにはいられない曲です。

Profile
大井 駿(Pf.)

東京都出身。幼少期を鳥取で過ごす。パリ市立音楽院ピアノ科、ザルツブルク・モーツァルテウム大学ピアノ科・指揮科卒。同大学大学院、ミュンヘン国立音楽演劇大学でピアノ、指揮、古楽の3科を専攻、研究。2018年度ヤマハ音楽奨学支援制度奨学生。2019年よりユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー管弦楽団鍵盤楽器奏者。ピアノを迫昭嘉、ジャック・ルヴィエ、アンドレアス・グロートホイゼン、指揮をブルーノ・ヴァイル、イオン・マリン、古楽をラインハルト・ゲーベル、チェンバロとフォルテピアノをクリスティーネ・ショルンスハイムの各氏に師事。指揮者、ソリストとしてヨーロッパのオーケストラと共演を重ねる。音楽之友社WebマガジンONTOMO、ヤマハ音楽振興会Web広報誌などのメディアにて独自連載を受け持つ。

江沢 茂敏(Pf.)

東京生まれ。都立芸術高校卒業後、桐朋学園大学に入学。第35回ピティナ・ピアノコンペティションG級金賞。併せて東京都知事賞、読売新聞社賞、王子ホール賞、ヒノキ賞、洗足学園前田賞受賞。第33回霧島国際音楽祭に奨学生として参加。霧島国際音楽祭賞受賞。第1回せんがわピアノオーディション最優秀賞受賞。第3回桐朋ピアノコンペティション第1位。第81回日本音楽コンクールピアノ部門第3位。桐朋学園大学表参道シリーズ、フレッシュアーティスツfromヨコスカ等にてリサイタルを開催。練木繁夫、ミハイル・ヴォスクレセンスキー、ミッシェル・べロフ、アレクサンダー・コブリン、パスカル・ドヴァイヨン、ディーナ・ヨッフェ、エリソ・ヴィルサラーゼ各氏のレッスンを受講。これまでに、二宮裕子、大野眞嗣各氏に師事。2014,2015年度ロームミュージックファンデーション奨学生。現在ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院ゾリステン修士課程に在籍。ソロ、連弾をアンドレアス・グロートホイゼン、室内楽をクレメンス・ハーゲンに師事。

◆新型コロナウィルス感染症対策ご協力のお願い◆ 当日はマスク着用でのご来場をお願いいたします。受付にて検温・消毒を行います。目安として37.5℃以上等の熱がある場合や、ご体調がすぐれない場合、ご入場をお断りさせていただく可能性があります。対策へのご協力のほどよろしくお願いいたします。

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