会場:すばるホール(大阪府富田林市)
出演:柏木千裕(ピアノ)
第47回目のピアニストは大阪府立夕陽丘高等学校音楽科2年生の柏木千裕さんです。
柏木さんのプログラムはハイドンの「ピアノソナタXVI:50第1楽章」で始まりました。軽やかに弾むような音色がまるで春の訪れを告げているようでした。
続いては、ショパンの「練習曲Op.10-8」。右手は美しく高音部をかき鳴らし、左手は特徴的なリズムを刻みながら、最後まで丁寧にリズムを保った演奏でした。
そして、次はラフマニノフの「ピアノソナタ第2番第1楽章」。力強い序奏で始まると、不安と期待が激しく交錯するかのような曲想をダイナミックに表現してくださいました。
後半はショパンの作品が並びました。まずは、「練習曲Op.25-11」。溜息のようにゆったりとはじまったかと思うと、枯葉が舞うような高音と、風圧をあらわすかのような低音の響きが印象的でした。
続いては「スケルツォ第3番」。勢いよく、そして小気味よく音が刻まれていきます。途中、下行する音の粒は煌めく清流のようでした。
そして、最後は「バラード第1番」。祈るかのように優しく歌いだしたかと思うと、ドラマティックな展開に演奏にも加速力が加わっているようでした。
柏木さんは、ハイドンで聴かせてくださった柔らかい音色から、ショパンで聴かせてくださった剛健な音色まで幅広い音色をお持ちです。今日の経験を糧に、今後の成長が楽しみなピアニストです。
レポート◎辻野文崇(すばるホール・富田林すばるステーション)
写真撮影◎西村則晃(すばるホール)