昨年、通算200回を超えた「公開録音コンサート」シリーズは今年の春も多くの公演が予定されています。「ピアノ曲事典で聴けない曲」を収録するのが目的ですので、回を重ねるごとに、珍しい曲がプログラムに載ります。知られていない曲はつまらない曲でしょうか?いえいえ。ピアノ音楽の世界はそんなに薄っぺらいものではありません。そして、最近の公開録音コンサートは、趣向を凝らしたテーマとプログラムが続いていますから、いらして頂けたなら、多くの新しい学びがあることは間違いありません。公開録音はアットホームな会場で行われており、気軽にいらして頂けるシリーズでもあります。今回はコンサートご来場へ「あと一歩」踏み出して頂けるようなご紹介と、既に数多く公開されているYouTube動画からの「学び方」をご提案してみたいと思います。
- 2019年3月8日(金)
- 入場料:後払い方式
- 会場: 東音ホール
- ご予約
- 2019年3月26日(火)
- 入場料:後払い方式
- 会場: 東音ホール
- ご予約
- 後払い方式は、終演後に感動の度合いに応じてお好きな金額を決めていただく方法です。心からの無理のない金額でよいのですが、毎回の平均金額は2,000円ほどです。あくまでご参考までとお考えくださいませ。
200回を超える公開録音で収録された演奏音源は2000以上にのぼります。すべての動画から何らかの学びを引き出すことができるはずですが、ここではいくつかのYouTube動画を少しだけピックアップしてご紹介します。
公開録音コンサート・通算200回記念で収録されたブルグミュラーの演奏です。すべての音楽には様々なアプローチがあって然るべきですが、現時点における一つの決定版といっても良いように思います。テーマも演奏も、赤松先生の気迫が伝わる素晴らしいコンサートでした。
「知られていないものはよくないもの」というのは思い込みに過ぎないと金澤さんは言います。たとえばこのグレゴアールの「祈り」は金澤さんが演奏するまで100年以上、弾かれることが無かったかもしれませんが、その音楽からは美しい風景が見えてこないでしょうか。
クラヴィコードによる演奏です。か細い音とも評されることがあるクラヴィコードですが、武久さんの演奏は音楽をする喜びに溢れています。ピアノ演奏にも活かせるヒントを、ぜひ引き出して頂きたいと思います。こちらはプロによる編集で、動画としての品質も良好です。
最新の音楽研究や演奏と指導の現場では、時に「良い」とされるものが異なるかもしれません。それ自体は当然のことですが、自分の属する分野の流儀だけを押し付け合うのではなく、少しずつでもお互いのことを知っていくことが、音楽文化をより豊かなものにするのではないでしょうか。そのような交流を促すことは公開録音コンサートおよびピアノ曲事典、そしてピティナの使命でもあると考えています。(公開録音コンサート担当/ピティナ・ピアノ曲事典編集長)