後援:日本アルバン・ベルク協会
- プレリュード Con moto(1949.11.15)
- ソナタ(4楽章)(1949.8.28)
- プレリュード Moderato(1948.10.15)[初演]
- ノヴェレッテ Andante(1948.7.11)
- インテルメッツォ Allegro(1949.3.7)
- ペルソナ(1948.12.19)
作曲家乾春男(1929~49)は、日本近代音楽史における伝説的存在である。20歳のクリスマス・イヴに多摩川に身投げして自死した。そして一般にはほとんど忘れられたが、代表作となった《ペルソナ》(1949)には、藤井一興と入川舜による2種類のCDまで存在する。東京音楽学校作曲家に在学していたとはいえ、すでにほとんど独学で作曲することができた乾の作品には、まごうかたなき独自の美の世界が確立されている。その年の11月1日、日本現代音楽協会の第1回現代音楽試演会で演奏されたデビュー作《ピアノ・ソナタ》は、「現代音楽を生まれながらに知る天才」と絶賛されたという。これら2作のほか、2曲の《プレリュード》、《ノヴェレッテ》、《インテルメッツォ》も含め、乾のピアノ作品のほぼ全貌が初めてヴェールを脱ぐ。3月15日は奇しくも乾の90年目の誕生日にあたる。この日のピアニスト樋口紀美子は乾の姪にあたり、解説をする樋口隆一(音楽学者・指揮者)は乾の甥にほかならない。「乾春男伝説」へのひとつの回答が期待できそうだ。
6歳より母の手ほどきでピアノを始める。藤田晴子、田辺緑、岡部守弘、永井進、神西敦子、K.ヘルヴィッヒ、H.E.リーベンザーム、G.アゴスティ、 H.C. ステファンスカ、W.プランケンハイム、デイノラ・ヴァルジの各氏に師事。1974年渡独。エッセン国立音楽大学、ベルリン芸術大学、ザールブリュッケン同立音楽大学演奏家コース卒業。1977年、イタリアのフィナーレ・リグレ国際ピアノコンクールにて3位入賞。以来、ドイツ、スイス、イタリア各地で数多くのリサイタルを行う。1980年スイスのルガノ国際ピアノコンクール「スケルツォ特別賞」。1981年以来一時帰国しては東京にて15回のピアノリサイタルを開催。「音楽芸術」「音楽の友」「ムジカノーヴァ」「ショパン」各誌で高い評価を得る。1985年東京交響楽団とラフマニノフの協奏曲第2番を共演。1993年10月にはマーラー"大地の歌"ピアノ版を邦人ステージ初演し、「音楽の友」のコンサート・ベストテンにノミネートされるなど絶賛を博す。1988年よりベルリンのフィルハーモニー、カンマームジークザールを中心に9回のリサイタル(ハンス・アードラー主催)で成功を収め、ベルリン・ピアノ界の常連としての地位を確立した。1993年の演奏会はベルリン最大有力紙「デア・ターゲス・シュピーゲル」の批評欄で「微笑む理性」と絶賛された。1994年9月、イタリアのシチリア島におけるイプラ ・ グランプリ国際ピアノコンクールでプロフェッショナル・ピアニスト部門入賞。1997年リスト・プログラムでCDデビュー、好評を博す。ピアノ教育者としては、ドイツ青少年コンクール、ベルリンとハンブルクのスタインウェイ・ピアノコンクール、ケーテンのバッハ・ビアノコンクールなどで常に上位入賞者、オーケストラとの再度にわたる共演者を出すなど異例の成功を収め、高い評価と注目を集めている。ベルリン教会音楽大学ピアノ科講師、ベルリン市立音楽学校ピアノ科および室内楽科講師などを歴任。ピティナ・ピアノコンペティション、ベルリン・スタインウェイ・ピアノコンクール審査員。2005年よりドイツ音楽芸術家連盟ベルリン正会員。2007年7月、33年のドイツ滞在を終えて帰国。2008年6月、浜離宮朝日ホールでの帰国記念リサイタルを機に、オーケストラとの協演、日本各地でコンクールの審査、講演、公開レッスン、演奏活動を活発に展開している。昭和音楽大学非常勤講師。2012年帰国後初のCD「ドビュッシー 12のエチュード全曲」、2014年ショパンプログラムによる「ノアンの思い出」、2017年「ショパン練習曲集作品10、夜想曲選」をリリース。「CDジャーナル」「レコード芸術」など各誌で絶賛を博す。
1946年、東京生まれ。音楽学者、指揮者。慶應義塾大学大学院博士課程在学中にDAAD奨学生としてドイツ留学。『新バッハ全集』カンタータ巻の校訂でテュービンゲン大学哲学博士。明治学院名誉教授。明治学院バッハ・アカデミー芸術監督。元国際音楽学会(IMS)副会長。京都音楽賞研究評論部門賞、辻荘一賞、テオドル・ベルヒェム賞。オーストリア学術芸術功労十字章。『バッハ』(新潮文庫)、『バッハの風景』(小学館)、アーノンクール著『古楽とはなにか』、ノヴァーク著『ブルックナー研究』、など著訳書多数。バッハ《マタイ受難曲》、フォーレ《レクイエム》、ベートーヴェン《ミサ・ソレムニス》などCD多数。
コンサート後に、好きな額を当日お配りする封筒にいれて頂きます。そのお金は演奏者ならびにピティナ・ピアノ曲事典への寄付金として大切に使わせて頂きます。規定の計算方法により過半(60%~場合によって全額)を演奏家にお渡しし、残りは本企画の調律費等に充てます。