● 演奏曲目：モーツァルト ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 第１楽章

Ｑ. この入賞者コンサートはオーケストラとの協演ですが、 それに臨まれるモチベーションを伺えますでしょうか。また、楽曲の聴きどころがあれば、お教えいただければ幸いです

Ａ. 今回、オーケストラと初めて共演します。ソロで弾く時とは違う難しさを感じていますが、沢山CDを聴いたり、イメージを膨らませることで、コンチェルトを演奏する事がとても楽しみになりました。
この曲（ピアノ協奏曲第23番）は、モーツァルトの気品さに満ちており、聴いていて気持ちが落ち着く出だしの部分が特に魅力的です。私も長調で始まる出だしの音色と旋律に心を打たれ、是非この曲を演奏したいと選曲しました。
草原に降り注ぐ太陽のような音色で、明るく軽快に演奏出来るよう頑張ります。

● 演奏曲目：ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18 第3楽章

Ｑ. この度演奏されるラフマニノフの協奏曲は、大原さんにとってどのようなものでしょうか。お聞かせください。

Ａ. 作曲家の書いた曲を演奏する際、曲のイメージを自分自身の置かれた境遇や心境と重ね合わせながら表現される方は多いと思います。あまりに有名になったためか、頻繁に演奏されるこのラフマニノフの２番の協奏曲ですが、私の場合もその例に漏れません。ラフマニノフにとって出世作と呼ばれているように、この曲は未来へ向けて志向しようとする爆発的なエネルギーとパワーを秘めているように感じられます。そして、全てを抱擁して突き進むような"ポジティブ"な前進性を聴いていただく方々にどれほど伝える ことができるか、ということをモチベーションにして演奏に励みたいと思います。

● 演奏曲目：モーツァルト ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271「ジュノム」第1楽章

Ｑ. 昨夏に特級グランプリを受賞後、このコンサートが入賞者コンサートとしては最後の舞台となると思います。オーケストラとの協演ですが、どのようなモチベーションをお持ちですか

A. オーケストラと一緒に演奏するのは特級のファイナル以来です。協奏曲ということでソリストとオーケストラという関係性はありますが、僕が理想としたいのは、その壁を越えた一つの大きなアンサンブルとなれるような演奏です。室内楽と比べてしまうとリハーサルが少ないことや、何よりオーケストラは大人数のため、実現するのはなかなか難しいですが、出来た時は何にも代え難い一体感があるのでそのような演奏が出来るように臨みたいと思っています。

Ｑ. 片山さんは現代音楽を率先して扱われたり、ご自身も作曲されるとのことですが、そんな片山さんが見るモーツァルトを、今のご自身の見方で教えていただければ幸いです

Ａ. モーツァルトは純粋に好きな音楽家です。厳密に言うとここ2～3年で好きになりました(笑)。ただ純粋に好きなのでどこがというのは上手く言葉に出来ないのですが、敢えて言うと転調の妙とか非和声音が気持ち良いです(わかりづらいかもしれませんが...笑) 。僕は昨年の特級ファイナルでラヴェルの協奏曲、今回はモーツァルトを演奏します。一見すると国も時代も違い共通点を見つけられなさそうですが、ラヴェルはピアノ協奏曲を作曲した際、「モーツァルトやサン=サーンスの精神を持っている。」と語りました。この言葉は西洋音楽の歴史は一本の線で繋がっている事を認識出来ますし、それほど影響力の大きい音楽家と言えます。今後もモーツァルトは様々な編成でアンサンブルできたらと思っています。