富山県初のピティナ学校クラスコンサートは、中田穂波先生を
大阪からお迎えして、黒部市立生地小学校の3階音楽室で
行われました。生地小学校は音楽会で合唱と合奏の本番を
終えたばかり。市内の大ホールで夏休み以来の猛練習の
成果を披露し、音楽熱さめやらぬ中でのクラスコンサートに
なりました。
子供達は階段教室に腰掛けて、中田先生のお話を聞きました。
「ピアノの音はどうやって鳴るか知ってる?」
リコーダーや太鼓など身近な楽器をひきあいに出しつつ、
ピアノの発音原理と内部構造について分かりやすく説明されます。
子供達はヤマハC7の周りに集まり、ピアノの中に頭を突っ込んで、中田先生の指差す先を確認しました。
中田先生との距離がぐっと近くなり、緊張もほぐれてきたところで、「さあ!私と連弾してくれる人!」と、4人5手連弾となりました。子供達が人差し指でドを弾くのに合わせて、先生は様々な和音をつけてゆきます。「ドだけなのに、いろんな響きや色がついて、すごいなあ」。
いよいよ、中田先生の演奏です。
ベートーヴェン『エリーゼのために』
リスト『愛の夢』
ガーシュイン『3つのプレリュードより第1番』
演奏がはじまると、子供達は水を打ったように静まり、ピアノの音に体じゅうの神経を
集中させたようです。
子供達に後で演奏について感想を聞いてみました。
「音がきれいだった。ペダルを踏んだら音の世界が広がったみたいだった」
「リストの曲は本当に夢を見ているような気持ちになった」
「ガーシュインがかっこよかった。どんな人なのか、もっと知りたくなった」
「中田先生は普通の人ではないと思った」
「音楽室が大きくなったような気がした」
子供達との共演は『校歌』と今月の歌『歌よ、ありがとう』。
生地小学校では日頃から腹筋を鍛えながら発声練習をしているそうです。
小学生の美しい歌声に、中田先生も伴奏をしていて気持ちよかったとのこと。
思いがけない素晴らしい共演となり、ステーションのスタッフ一同感激しました。
最後にラヴェルのボレロを、中田先生のピアノと子供達の
打楽器でという楽しいアンサンブルとなりました。
これは小学校の先生からの
「他の楽器の曲をピアノで聴いてみたい」というリクエストに
中田先生が応えてくださったものです。
さらに共演のおまけつき。
カスタネット、タンバリン、小太鼓、シンバル、大太鼓。
徐々に楽器が足され、音量も増大していきます。
ボレロのリズムを全員が刻み、クライマックスを迎えました。
中田先生の素晴らしい演奏と分かりやすくてチャーミングな
トーク、中田先生と子供達との楽しい交流に、45分の授業は
あっというまに終わりました。
生地小学校の福田校長先生は富山県と縁の深いロシア沿岸のウラジオストクに滞在されたことがあるそうです。
中田先生はサンクトペテルブルグに留学されていたことから、ロシアについてお話がはずみました。
当日配布されたプログラムの裏表紙には、ヨーロッパの地図が
プリントされていました。日本における西洋音楽の需要は、
明治以後の国をあげた学校教育に原点があります。生地、富山、ロシア、ヨーロッパ、そして日本。
プログラムの地図を確認しながら、日本の音楽教育がたどってきた長い歴史に思いを馳せつつ、
音楽が子供達の将来に夢や希望を与えてくれることを願いました。
中田先生のピアノが、子供達の身体や心のどこかにいつまでも残ってくれますように。
今回の学校クラスコンサートにご協力くださいました関係各位に深く感謝申し上げます。
♪この事業は平成21年度郵便事業株式会社年賀寄付金の助成を受けて実施いたしました。