関西初となった当かつらぎステーション主催の学校クラスコンサートは、今年で7回目となったピアノステップの翌日、アドバイザーとしてお迎えしたデュオ「ドゥオール」のお二人(藤井隆史先生、白水芳枝先生)によるものでした。
早朝、1時間目より訪ね、リハーサルの後、2時間目から4年生3クラスを対象に3公演して頂きました。
市長さんや教育長さんなど多くの来賓の方々に見守られる中、まずは連弾による華やかで軽やかな、モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲から始まりました。オペラについて子供達に分かりやすい説明の後、プログラムの裏表紙に載せられた世界地図を見ながら、ドイツ、オーストリア、ハンガリーへと興味をそそられ、ブラームスのハンガリー舞曲第5番。私の中では、ブダペストの街の情景と共にオーケストラが聞こえていました。 その後、それぞれのソロで、リストの「ため息」、ドビュッシーの「花火」、フランスへと音楽の旅は続きます。ここでは、(ため息とは、むしろ憧れのような・・・とか、花火は、内面的で繊細な感じ・・・とか)子供達に分かりやすい言葉で、曲に付けられたタイトルのイメージを膨らませた後、聴かせることにより、漠然としたものではなく、具体的で焦点がはっきりし、例え子供達にはまだ聴いたことのない曲も親しみを持って伝わるように思いました。
そして、気分を換え、藤井先生が「これで僕達の自己紹介は終ったから、今度は君達が音楽で自己紹介してね!」と、グッと皆を近づける言葉に、児童達はサッサと教科書を取り出し、お二人の軽快な伴奏に乗り、「ともだちシンドバッド」を元気よく声高らかに歌ってくれました。
続いて、しっとりと美しい伴奏に乗り「オーラリー」では、2部に分かれてリコーダーを気持ちよく演奏してくれたのが微笑ましく印象的でした。この時は、市長さんも校長先生も大人たち誰もが、あどけない純粋な子供達の姿に始終にこやかに見守ってらっしゃるのが感動的でした。
ぐいぐい聴衆との距離も縮まったあと、今度はアメリカへ飛びます。クラムの「天界の力学」という内部演奏を用いた現代曲。天体へと興味を抱かせ、まるで教室のピアノが雄大な宇宙のステーションであるかのような想像力に満ちた迫力ある演奏で、ピアノという楽器に対する新しい発見や可能性を感じながら、皆が始終目を丸くし見入っていました。
最後は、ジャズの発祥の地、やはりアメリカの作曲家ガーシュインの3つのプレリュードより1番を乗りよく、カッコよく、締め括られました。ジャスト45分、まさにお見事なプレゼンテーションです。お二人の演奏は、どの曲も息がピッタリでバランスよく、それでいて自由で、しかも聴き手と一緒に呼吸ができるんです。サッカー選手もいいけれど、ピアニストもカッコいいな!と思った男の子もきっといたかもしれません。
お二人は演奏だけではなく、トークやそこに込められたメッセージは、大変素晴らしく、これから色んな可能性がいっぱいある子供達の、何事にも「頑張る心」を応援するものであって、それはまた、忘れかけていた私達大人の胸にもしっかり響くものでありました。
このような感動をこれからもできるだけ多くの子供達に届けられることを心より願っています。 (PTNAかつらぎステーション:岡田一美)
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