第39回:横浜市立もえぎ野小学校 2006年6月8日(木)

文字サイズ: |
2006/06/08

6月8日(木)横浜市立もえぎ野小学校を訪問した、関春絵さん(ピアノ)と渡邊あきさん(クラリネット)。二人でペアを組んで5校目となる今回、明るく息の合った演奏とトークを披露した。



ここ、もえぎ野小学校は、元サッカー日本代表の森岡隆三選手の母校でもあり、「普段から芸術・文化への関心が高い」と音楽の先生は仰る。児童の中にもピアノや楽器を習っている子が多く、上の5年生にはヴァイオリニストとしてコンサート活動をしている子もいるという。この日の学校クラスコンサートにも、何名か保護者の方が見学にみえていた。

さて、1時間目のチャイムが鳴った!いよいよコンサートの始まりである。この日のプログラムは、ショパン「子犬のワルツ」、ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」、ヴェルディの「アイーダ」、クラリネットの楽器構造を生かした「インマークライナー」、そして最後に「エーデルワイス」を児童のリコーダーと合奏、という親しみやすい曲が並ぶ。

周知の通り、このクラスコンサートが通常のホールでの演奏会と大きく違う点は、ピアノの近くに寄って演奏が聴けることである。関さんが「ピアノに近寄ってみて!」というと、「え、いいの?」とびっくりしながらも、わーっと走って駆け寄る児童たち。これまで見たことのないピアノ内部の構造や、ピアノの下で鳴り響く音を聴いて、好奇心が刺激されたようだ。

関さん:「じゃあ、これから『子犬のワルツ』を弾きますね。これはショパンの恋人ジョルジュ・サンドが飼っていた子犬が、ある動きをしているのを見て、ショパンが可愛いと思って作曲したもの。どんな動きか想像しながら聞いてね。(演奏)・・・どんな様子を表していると思う?」

児童の一人:「慌ててる」、「じゃれてるのかな?」、「寝てて、夢の中で走っている」、「はしゃいでる」

関さん:「そうだね、犬が自分のしっぽを追いかけている様子を表しているんです。途中で少しゆっくりになる所は、疲れて寝ちゃった感じですね」


次は、ドビュッシーの『亜麻色の髪の乙女』。まずルノアールの絵を見せて、「亜麻色って何色かな?」と問いかける関さん。初めてみる金髪の女の子の絵に、「なんだか、人形みたい!」と叫ぶ男の子も。この幻想的で魅惑的な音を、児童たちはどう感じただろうか。感想を聞いてみると、「しとやか」、「さらさら流れる感じ」、「音が光って聴こえる」など、とても綺麗な表現で曲の感想を述べてくれた。美しい音楽には、子どもから美しい言葉を引き出す力があるのだ、と思わず実感した。

さて、クラリネットが加わると、空気ががらりと変わる。今度は情熱的なヴェルディ「アイーダ」と、陽気な「インマークライナー」の演奏だ。「アイーダ」はサッカーの試合で入場行進に使われることがあるが、本来は凱旋の行進曲。その威風堂々とした演奏に、小柄なクラリネットから繰り出される音の雄大さを知ったのではないだろうか。
そしてインマークライナーはご存知の通り、クラリネットを分解しながら演奏するという、楽器の特性を生かしたパフォーマンスが人気。前半のピアノ演奏で楽器の面白さを知った児童たちは、さらにその驚きを増してゆく。どんどん小さく小さくなり、最後のマウスピースだけで吹く個所になると、「えーー!!」と音楽室が割れるくらいの歓声が。作曲したシュライナーさんも、「狙い通り!」と微笑んでいるのではないだろうか・・・?



最後はクラス全員によるリコーダーで、「エーデルワイス」の大合奏と合唱。息の合った演奏で、最後を締めくくった。


さてその後、好奇心を大いに刺激された児童の皆さんより、多くの質問が発せられた。Q&Aの一部をご紹介しよう。

Q:クラリネットは、最後(マウスピースのみ)は一つの音だけしか出ないんですか?
A:いいところに気づいたね。リコーダーも同じですけど、音が出てくる穴のふさぎ方を変えると、音が変わるんですよ。

Q:マウスピースは、何でできてるの?紙でも音がちゃんと鳴りますか?
A:紙でできているものだと、ちゃんと鳴りません。フシギだね。これは竹の一種、葦(アシ)でできています。

Q:クラリネットは何種類あるんですか?
A:皆が持っているリコーダーくらいの大きさのものから、座って弾かなくてはいけないものまで、12種類もあります。

その他、「クラリネットは息が苦しくなりますか?」「ピアノはどうして叩くと音が出るんですか?」「ピアノはどう移動させるんですか?」「ピアノとクラリネットの値段はいくらですか?」などの質問が飛び出した。

このクラスコンサートを機に、さらに音楽好きな子が増えることを願ってやまない。
(レポート◎菅野)


これはすごい!と思いました

小犬のワルツは、給食の時たまに流れるので、流れるたびに思い出します。(4年1組)

>ピアノとクラリネットのコンビがよかったと思います。ぼくたちのリコーダーも負けないようにがんばります。(4年1組)

ピアノはペダルをふむと音がかわるとわかりました。クラリネットにリードをつけないと、音が出ないこともわかって楽しかったです。またきてください。(4年1組)

関さんのこの前の小犬のワルツすごかったですね。ぼくはあまりピアノがすごいと感じたことがありません。けれど、これはすごい!と思いました。(4年1組)

クラリネットでの『インマークライナー』は、何が小さくなるか楽しみでした。そうしたら、クラリネットを分かいしていったので、ビックリしました。私はピアノを習っているので、これからも楽しみたいです。(4年2組)


一生懸命やってくれてありがとうございました

ぼくはグランドマーチが気に入りました。でも、日本代表が負けてくやしいです。(4年2組)

小犬のワルツの曲で、本当に小犬が動きまわったり、はしゃいでいる様子、また自分のしっぽをおっている様子が感じ取れました。(4年3組)

すごくきれいでした。いっしょにエーデルワイスを歌ったりリコーダーをふけてとてもうれしかったです。(4年3組)

一生けん命やってくれてありがとうございました。(4年2組)

ピアノをひいている所を間近に見れてとてもよかったです。(4年3組)

グランドピアノの下に入れたのも初めてです。ピアノのみりょくやクラリネットのいい所を教えてくれてありがとうございます。(4年3組)

『亜麻色の髪の乙女』を聞いていると、心がほんわかして気持ちがよかったです。(4年3組)

ぼくは、質問でどうやってグランドピアノをうごかすのか、という質問をして、こうやってはこんだりするんだなぁ?と思いました。(4年2組)

ぼくは、日本代表の行進曲が一番心に残りました。(4年2組)


保護者より

娘はピアノを習っているのですが、「子犬のワルツ」がとても好きで、次は発表会で弾きたいと言っています。私は以前幼稚園で勤めていて、このように子どもの前で弾くことがあったのですが、今日は私自身、子どもと一緒に発見することが多くありました。

いつもは一緒に演奏会に行っても息子は寝てしまうことが多かったのですが、今日は息つく間もなく、音楽に壁を感じずに、心から楽しむことができました。

音楽の先生より

過日は、すばらしいコンサートをありがとうございました。
演奏の美しさに加えて、子どもたちの反応を見ながらの心をこめてのお話に、子どもたちも大変満足しておりました。
これからのますますのご活躍をお祈りしています。
本当にありがとうございました。

演奏者

♪ ピアノ 関 春絵(せき はるえ)
横浜市在住。6才よりピアノを始める。桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ科卒業。同大学研究科にて研鑽を積む。 第45回全日本学生音楽コンクール東京大会中学校の部第2位。第22回ピティナ・ピアノコンペティション特級の部グランプリ。併せて審査員特別賞他を受賞。また、伴奏者として読売新人演奏会、演連コンサート等に出演、日墺文化協会フレッシュコンサートにて最優秀共演者賞受賞。これまでに東京ニューシティ管弦楽団、日本フィルハーモニー交響楽団と共演。 現在演奏活動の傍ら、後進の指導も行なっている。 これまでに狩野美紀子、深沢亮子、上野久子の各氏に師事。
♪ クラリネット 渡邊 あき(わたなべ あき)
横浜市出身。10歳よりクラリネットを始める。第11回かながわ音楽コンクール管楽器部門にて総合第2位。受賞者演奏会にて神奈川フィルハーモニー管弦楽団と協演。桐朋学園大学卒業演奏会、ヤマハ主催管楽器新人演奏会、第71回横浜新人演奏会に出演。第5回日本クラリネットコンクール入選。桐朋学園大学音楽学部研究科を修了後、ウィーン音楽大学に学ぶ。ウィーン音楽セミナー主催Dichler=Satoコンクール第1位。ルーマニアにて国立オラーディアフィルハーモニー管弦楽団、オーストリアにてハンガリーのゲオーフィルハーモニー管弦楽団と協演。2002年第71回日本音楽コンクール第3位。同年CD『W.A.Mozart』を制作。小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトに参加。2004年日本に帰国。現在、ソロ・室内楽・指導など各地で幅広く活動。

プログラム

1.ショパン:小犬のワルツ(ピアノ)
2.ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女(ピアノ)
3.ヴェルディ:『アイーダ』よりグランドマーチ(クラリネット)
4.シュライナー:インマークライナー(クラリネット)
【児童との共演】
5.ロジャース:エーデルワイス(リコーダー&歌)

協力:横浜市立もえぎ野小学校/後援:横浜市教育委員会/主催・問合:ピティナ学校クラスコンサート係

【GoogleAdsense】
ホーム > ピアノコンサート > ニュース > > 第39回:横浜市立も...