記念すべき第30回目の開催となったのは、北本市立中丸小学校。昨年度に引き続き、2年目の実施で、また新しい4年生と出会った。今回はピアノの久保はるなさんと、クラリネットの小坂真紀さんが演奏。ピアノやクラリネットをちょっと体験してみて、「むずかしいんだ~」ということも実感。
●フランスの花火ってどんな花火?
|
まず『クラリネット・ポルカ』の演奏で挨拶。この曲はポーランドの民謡からできた踊りの音楽。次に弾くショパンもポーランドの人。 「ポーランドってどこかな...?」
久保さんは、世界地図を持ってみんなの席を回る。「えーと、ヨーロッパでしょ。このへんかな...あっ、あった!」
|
みなに囲まれて『黒鍵』を弾いた久保さんは、「この右手、この黒いところしか弾いていないんだけど、みんなにもできます。この黒いところを順番にひいてみると、最後に弾いたようになるでしょう?やりたい人!」というと、「はーい!」とたくさんの手があがる。久保さんはその中から何人か選んでピアノの前に並べ、『黒鍵』の最後のフレーズを一緒に弾いてみる。「弾けた!」と一緒に弾けた喜びは大きい。他の子も一生懸命に友だちの挑戦を見ている。
次の曲は"花火"がテーマ。「みんな、夏になると花火大会とかあるけど、見に行く?」「行くー。」「花火の音って、どんな音がする?」と聞くと、「ひゅ~っ、どーん!」「ばちばちばち...とか。」
「そうだね、色んな音がするよね。どーんってあがる時の音もあるし、きらきらきら...っておりてくる時の感じもあるよね。これから弾く曲は、フランスの作曲家のドビュッシーが作った『花火』という曲だから、フランスの花火ってどんな感じなのか、聴きながらイメージしてみてね。」と。勢いのある所、さかんに火花を散らしている様子、グリッサンドや音色の変化も駆使して花火の様子を表現すると、吸い込まれるようにみんな覗き込んでいた。
●クラリネットの音が出ない!?
小坂さんは、クラリネットを分解しながら説明。吹き口の所にリードをつけて初めて音が出ることを説明。「この竹のような薄い葦でできたリードに、息をふーっって吹きかけて、バタバタバタバタッってふるわせて、その振動で音が出るんですよ。」と目の前でリードをつけてみせる。
「このクラリネット、吹いてみたい人ー?」と言うと、「えっ、いいの!?」という顔ながらも、「はい!はい!」と男の子からも女の子からも手が挙がる。代表で選ばれた子に、 準備してきた予備の吹き口をつけてあげて、 持ち方を教え、まず「吹いてごらん」と渡してみる。
「ふぅーっ。」...出ない。「もっと息をリードに吹きつけるように、勢いよくフーッ!って吹いてごらん。」と小坂さんがアドバイスするが、なかなかちゃんと音は出ない。友だちの「がんばれー!」という声に、「よーしっ!」と全身で息を送り込んだ子が何とか音が出た。
友だちががんばってもなかなか音が出ないのを見て、「軽々と吹いてるみたいだけど、音を出すだけでそんなに大変なんだー!」とおどろく。体験した子に、「ねぇねぇ、どうだった?重かった?難しかった?」と聞いている。実際にやってみると、改めて「すごいことしてるんだな~」と感じる。そんなすごい演奏家と、最後には校歌と『子どもの世界』を歌って共演。とても元気に歌ってくれた。
演奏者
東京藝術大学音楽学部卒業、同大学院音楽研究科修士課程を首席にて修了。現在埼玉県立大宮光陵高等学校音楽科非常勤講師。1991年全日本学生音楽コンクールピアノ部門東京大会中学校の部第1位。1992年第3回埼玉ピアノコンクールD部門金賞。1998年彩の国新進音楽家オーディション合格。第9回やちよ音楽コンクール第1位。1999年第23回ピティナ・ピアノコンペティション特級銀賞。2000年ショパン全曲演奏会に出演。現在ソロ、アンサンブル等活動を行うとともに、後進の指導にもあたっている。これまでに、水野ゆみ、堀江孝子、播本三恵子、故ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ、植田克己の各氏に師事。
福岡県北九州市生まれ。武蔵野音楽大学器楽学科卒業。
2000年 第3回彩の国新進音楽家オーディション(管楽器部門)合格。
これまでにクラリネットを山本正治、木幡仁清の両氏に師事。
W・フックス、C・ジュフレディの各氏のマスタークラス、公開レッスンを受講。
現在、埼玉県立芸術総合高等学校非常勤講師。
プログラム
ポーランド民謡「クラリネット・ポルカ」(クラリネット)
ショパン「黒鍵」(ピアノ)
シュライナー「だんだん小さく」(クラリネット)
ドビュッシー「花火」(ピアノ)
北本市立中丸小学校校歌(合唱)
シャーマン兄弟「子どもの世界」(合唱)