第25回:横浜市立あざみ野第二小学校 2006年3月6日(月)・22日(水)

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2006/03/22

3月にはいよいよ横浜市での学校クラスコンサートがスタートした。演奏は、横浜市在住のピアニスト・関春絵さん(1999特級グランプリ)と、同じく横浜市在住のクラリネット奏者・渡邊あきさん。初回は関さんの母校・あざみ野第二小学校で開催された。


幻想即興曲はアイス×荒川?

「みなさん、こんにちは!」と挨拶をした関さん。「みんな、ピアノってどのくらいの重さがあるかわかる?」「1トン!」「1トンはないなぁ。だいたいこのピアノで250キロくらいかな。私のおうちにもこのくらいのピアノがあるんだけれど、自分のピアノを背負って電車に乗ってくるわけにいかないでしょ?だから私たちピアニストはいつも、初めてのピアノに会って『こんにちは、はじめまして、よろしくお願いします。』と言って出会うんですよ。」とお話。今日のピアノとはどんなお話ができるでしょうか。

まずはそのピアノの周りにみんなを集めてピアノのお話。「これから弾く『幻想即興曲』は、みんな知ってる?」「知ってる!荒川!」「そうそう。荒川選手がオリンピックで使った曲だよね。今日はそれをみんなの前で弾いてみたいと思います。」というとみんなわくわく。「ピアノは、右手と左手が別々のことをするのだけれど、この曲では右手と左手で別々のリズムを弾きます。けっこう大変なんだよ。みんなもやってみる?」と、まわりに集まった子どもたちを2つにわける。

「それじゃあ、こちら半分の人たちは、3文字の好きな言葉を選んでください。」「アイス!アイスが食べたい。」「じゃあ私が手をたたく間に"アイス、アイス..."と言ってね。せーの。」「アイス、アイス...」「残りの人たちは4文字の言葉。」「荒川!」「そうだね!せーの。」「アラカワ、アラカワ...」「じゃあ一緒に」「アイス、アイス...」「アラカワ、アラカワ...」と大合唱が始まった。「はい、ありがとう。これを私は右手と左手でやります。左手が"アイス"のリズム、右手が"アラカワ"」と弾いてみせる。そして『幻想即興曲』を通して演奏。分解して見せてくれた右手と左手が一体になって、なめらかに鍵盤の上を走る様子を「うぉーすごい。」と見つめる。


昼間にうとうと...のトロイメライ

次に弾くのは『トロイメライ』。「"トロイメライ"は、ドイツ語で"白昼夢"という言葉です。夢なんだけれど、夜にぐっすり見る夢ではなくて、例えばみんなが授業を受けながらちょっとぼーっとしちゃって、「あー、おなかすいたなー、今日の給食は何だろうなぁ。」とか考えること、ない?」「あるある!」「そういう時のような感じです。」「うん、それならわかるな。」と子どもたち。

「この曲には、このメロディが何度も何度も出てきます。」とテーマのメロディを弾いてみる。「これが全部で何回出てくるか、数えてみてね。」静かな響きに耳を傾けるため、今度はピアノのまわりに座って聴いてみる。関さんが『トロイメライ』を弾き始めると、さっきまではしゃいでいた子たちはしーんとなって耳をすます。一生懸命指折り数えている子も。 「さて、何回だったかな?5回だったと思う人ー。6回だと思った人?」と尋ねるとみんな手を上げ、「やった!」と喜ぶ。「ちょっとあれ?と思うような所もあったけれど、みんなよく聴いていたね。」と関さんも正解率にびっくり。


どうやって箱に入っていたでしょう?

クラリネットの渡邊さんは、クラリネットを持って登場。「私は、クラリネットをこの箱に入れて持ってきました。」「えー、楽器よりちっちゃいよ!」「そう。だから、このクラリネットを分解して持ち歩くのですが、さあ一体どのようにして入っていたのでしょうか?それを、今から演奏しながらこの箱の中にしまっていきたいと思います。」「演奏しながら?」「そう。よーく見ていてね。」

そして箱をみんなの前に置き、『インマークライナー』の演奏を始めた。曲にあわせて1つずつ部品をはずし、その箱の中にしまっていく。最後まで終わると、渡邊さんはぱたんと箱を閉めて、「はい、こうやって全部しまえました!」と言うと「すごーい!本当に演奏しながらしまえちゃった!」とおどろく。箱を開けてみんなの席をぐるりと回る。どんな風にしまわれたのか、覗き込んで確かめる。「ほんとだ!」

もう一度組み立て、次は『ユモレスク』を演奏。「この曲は、チェコの国のドヴォルザークという作曲家が、アメリカに住んでいたんだけれど、ふるさとのチェコに一時帰国をした時に、"なんてこの国はいいんだろう!"と思って作った曲です。そんなあたたかい音色を聴いてください。」と渡邊さん。やさしく、また時々物悲しく響くのを体で感じた。


母校で校歌を

最後には合唱で共演。ここの学校の卒業生である関さんは、母校の校歌をなつかしそうに伴奏した。生徒たちは終わってからも、「どうやって穴を押さえてるの?」「どうやったらピアノうまくなる?」「ぼくもピアノ弾きたい!」と、集まってきた。



演奏者

♪ ピアノ 関 春絵(せき はるえ)
横浜市在住。6才よりピアノを始める。桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ科卒業。同大学研究科にて研鑽を積む。 第45回全日本学生音楽コンクール東京大会中学校の部第2位。第22回ピティナ・ピアノコンペティション特級の部グランプリ。併せて審査員特別賞他を受賞。また、伴奏者として読売新人演奏会、演連コンサート等に出演、日墺文化協会フレッシュコンサートにて最優秀共演者賞受賞。これまでに東京ニューシティ管弦楽団、日本フィルハーモニー交響楽団と共演。 現在演奏活動の傍ら、後進の指導も行なっている。 これまでに狩野美紀子、深沢亮子、上野久子の各氏に師事。
♪ クラリネット 渡邊 あき(わたなべ あき)
横浜市出身。10歳よりクラリネットを始める。第11回かながわ音楽コンクール管楽器部門にて総合第2位。受賞者演奏会にて神奈川フィルハーモニー管弦楽団と協演。桐朋学園大学卒業演奏会、ヤマハ主催管楽器新人演奏会、第71回横浜新人演奏会に出演。第5回日本クラリネットコンクール入選。桐朋学園大学音楽学部研究科を修了後、ウィーン音楽大学に学ぶ。ウィーン音楽セミナー主催Dichler=Satoコンクール第1位。ルーマニアにて国立オラーディアフィルハーモニー管弦楽団、オーストリアにてハンガリーのゲオーフィルハーモニー管弦楽団と協演。2002年第71回日本音楽コンクール第3位。同年CD『W.A.Mozart』を制作。小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトに参加。2004年日本に帰国。現在、ソロ・室内楽・指導など各地で幅広く活動。

プログラム

1.ショパン:幻想即興曲(ピアノ)
2.シューマン:トロイメライ(ピアノ)
3.シュライナー:インマー・クライナー(クラリネット)
4.ドヴォルザーク:ユモレスク(クラリネット)
【生徒さんとの共演】
6.あざみの第二小学校校歌(生徒さんと合唱共演)
7.ひろい世界へ(生徒さんと合唱共演)

協力: 横浜市立あざみ野第二小学校/後援:横浜市教育委員会/主催・問合:ピティナ学校クラスコンサート係

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