ピアニストの関春絵さんとクラリネットの渡邊あきさんは、初回に続けて翌日には青葉台小学校で2回目のクラスコンサート。『トルコ行進曲』でみんなに参加してもらったり、リコーダーとクラリネットを比べてみたり、生徒の指揮にあわせたりと、生徒と一体になったコンサートとなった。
●トルコ行進曲で行進しよう!
みんなにピアノの近くに寄ってもらった関さんは、ペダルや鍵盤を動かして「ほら、どこが動いた?」とピアノの中の動きに注目させる。そしてモーツァルトの『トルコ行進曲』を演奏。「この曲では、みんなにある所で参加してもらいたいと思います。このメロディが出てきたら、みんなもあわせて行進してね。それ以外のところは止まって。できる?」「うん!」
関さんが『トルコ行進曲』を演奏し出すと、その軽やかな指の動きに「うわーっ」とため息のような声をもらす。そして、自分たちの出番は今か今かと耳をそばだてる。いざ出番!の時には嬉しそうに手をたたきながら行進。フレーズが終わるとはっとなってやめる。結構高度なはずだが、何度か出てくるうちに"もうすぐかな..."と行進の準備する生徒たち。音楽に耳を傾けるだけでなく、目の前の演奏者の息遣いや雰囲気からも感じ取っているのだろうか。
一転して『トロイメライ』では、ちょっと離れたり、ピアノの下にもぐったりして聴いてみる。関さんは弾き終わるとピアノの下を覗き込み、「どうだった?私、ピアノの下にもぐって聴いたことないから、どんな音がしたか教えて?」と話しかける。
◆ けんばんが88個もあるなんておどろきました。私は始め30個だと思っていたけど、実際は3倍だったなんておどろきました。
◆ 『トルコ行進曲』では強弱もすごいし、目をつぶってもひいていたのが、とてもすごいです。(4年1組)
◆ 初めてピアノの板みたいなのを上に上げてそのピアノの中を見ました。思ったより細かかかったです。2曲目はピアノの下で聞いていました。ピアノの下で聞くとひびきました。(4年3組)
◆ 私は今日関さんのピアノの演奏をきいて、とても気持ちがこもっていたのが分かったので、とてもピアノが好きなんだなと思いました。(4年3組)
◆ 『トルコ行進曲』がとてもとても、おもしろく、おどりたくて、ムズムズしてしまいました。(4年1組)
●リコーダーとどこが違う?
クラリネットが出てくると、「リコーダーに似てる。」と、楽器の仕組みや吹き方に興味が行く。「クラリネットにはいくつ穴があるんですか?」という質問に、「みんなのリコーダーにはいくつ穴がある?」「えーと。。1,2,3,4...」と一緒に数えてみる。
1つずつ分解していくインマークライナーには、みんなびっくり!「いくつに分解されたでしょうか?」「5つ!ぼくたちのは、2つしかわかれないのに。」「それが実は、もう1つ分かれるのです。」とリードをはずして見せると、さらにびっくり。自分たちも真似して分解して吹いてみるが、上だけで吹いてみる友だちを見て、「じゃあ下は音は出ないのかなぁ?」と下の部分だけで吹いてみる子も。なかなかの発想力。
『ユモレスク』では、「これは故郷を想って作った曲なので、のどかでやさしい感じのする曲ですが、途中で一度、暗くなるところがでてきます。そしてまた、明るい雰囲気に戻ります。それがどこだか、聴いてみてくださいね。」と言って演奏すると、最初はきれいなメロディにゆったりとした顔で聴き入っていた子たちも、暗い部分に来ると、「あっ、ここだね!」「あっ、戻った。」と静かに友だちと顔を見合わせる。
◆ 本物のクラリネットは初めて見ました。一番面白かったのは、ふき口に竹をつけないと音がでない事です。実際にやって、息の音しか聞こえなくて、笑いそうになりました。(4年3組)
◆ まさかクラリネットを吹いている時にはずすとは思いませんでした。(4年)
◆ クラリネットは、リコーダーのようにそのままケースに入れて持ち運ぶと思っていました。(4年1組)
◆ クラリネットの曲で一番心に残ったのは『ユモレスク』です。ピアノでは聞いたことがあるけど、クラリネットの方が思い浮かべる風景にとってもあいました。私のお気に入りの曲の1つになりました。(4年1組)
◆ リコーダーだったらすぐに音が出なくなってしまうのに、クラリネットだとずっと音が出ました。2個目も3個目もふけました。4個目はさすがにだめかな、と思ったら4つ目も軽々できました。まだその光景が頭の中に残っています。(4年3組)
●プロの人と一緒にやるのは百倍うれしい
生徒さんとの共演、合唱と合奏では、それぞれ生徒が指揮者についた。みんながリコーダーや木琴、鉄琴、ドラム、トライアングルなどを準備している間に、ピアニストは指揮者とうちあわせ。先生も音楽室中をまわりながらリコーダーや木琴で即興で参加した。
最後には質問やリクエストコーナー。「ドラえもんを弾いて!」のリクエストに、「うーん、こんな感じだったかなぁ?」と関さんが弾いてみると、「そうそう!」と大喜び。「ピアノやクラリネットを始めたきっかけは?」など、色々な質問が飛んだ。
終わった後は、2人にサインをねだったり話しに来たり、「ぼくも弾ける!」と嬉しそうにピアノを弾いてきいてもらったりとにぎやか。最初のクラスの子が最後のクラスの時にまた会いに来て、急いでお手紙を届けてくれたりした。
◆ 最後にリクエストと質問タイムがあり、その時に、関さんのピアノを始めたきっかけがわかって、納得しました。「小学1年生の時、友だちがやっていて、はじめた」というのを聞いて、「私もそうだな。」と感じました。(4年3組)
◆ リクエストでは「ドラえもんをやって。」と言うのを聞き、私は「そんなどたんばに言われてもひけるのかな。」とドキドキしました。そしてピアノをひきはじめた時、「どたんばに言われてもひけるってすごいな。」と思いました。(4年3組)
◆ 「道」の時、私は鉄琴をやっていたのですが、ちょっぴり失敗してしまいました。でも、プロの人と一緒にやる方が百倍もうれしかったので、あまり気にしませんでした。(4年3組)
◆ とてもこのコンサートを楽しみにしていました。コンサート当日、ぼくはランランと学校に来て、4時間目になるのをウキウキしながら、時間がたつのを待ちました。そして、モーツァルトの『トルコ行進曲』は、体を動かしながらきき、ピアノの音はすてきでした。(4年3組)
◆ 握手までしてもらって、手を洗うのが、すごくいやでした。手がバネのようで、びーっくりしました。(4年1組)
◆ 来年の4年生にも聞かせてあげてください。(4年3組)
演奏者
横浜市在住。6才よりピアノを始める。桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ科卒業。同大学研究科にて研鑽を積む。 第45回全日本学生音楽コンクール東京大会中学校の部第2位。第22回ピティナ・ピアノコンペティション特級の部グランプリ。併せて審査員特別賞他を受賞。また、伴奏者として読売新人演奏会、演連コンサート等に出演、日墺文化協会フレッシュコンサートにて最優秀共演者賞受賞。これまでに東京ニューシティ管弦楽団、日本フィルハーモニー交響楽団と共演。 現在演奏活動の傍ら、後進の指導も行なっている。 これまでに狩野美紀子、深沢亮子、上野久子の各氏に師事。
横浜市出身。10歳よりクラリネットを始める。第11回かながわ音楽コンクール管楽器部門にて総合第2位。受賞者演奏会にて神奈川フィルハーモニー管弦楽団と協演。桐朋学園大学卒業演奏会、ヤマハ主催管楽器新人演奏会、第71回横浜新人演奏会に出演。第5回日本クラリネットコンクール入選。桐朋学園大学音楽学部研究科を修了後、ウィーン音楽大学に学ぶ。ウィーン音楽セミナー主催Dichler=Satoコンクール第1位。ルーマニアにて国立オラーディアフィルハーモニー管弦楽団、オーストリアにてハンガリーのゲオーフィルハーモニー管弦楽団と協演。2002年第71回日本音楽コンクール第3位。同年CD『W.A.Mozart』を制作。小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトに参加。2004年日本に帰国。現在、ソロ・室内楽・指導など各地で幅広く活動。
プログラム
1.モーツァルト:トルコ行進曲(ピアノ)
2.シューマン:トロイメライ(ピアノ)
3.ドヴォルザーク:ユモレスク(クラリネット)
4.シュライナー:インマー・クライナー(クラリネット)
【生徒さんとの共演】
6.北村俊彦「道」(合奏)
7.白い道(合唱)