第11回:西東京市立向台小学校 2005年12月19日(月)

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2005/12/19

西東京市2校目は、向台小学校の6年生。学校の取り組みで、「生き方」についての勉強として、地域の専門家たちのお話を聞く機会を年に何度か設けている。演奏に加え、今回はコンサート後に生徒さんたちと、ピアニストの西川潤子さんとヴァイオリニストの植村菜穂さんとの対話の時間が設けられた。


書き込みのたくさんした楽譜を見せて

今回は6年生ということもあり、演奏やピアノについての話も、鍵盤が88個といっても、実は世界には88以上の鍵盤のあるピアノもあることや、最初に弾いたショパンの「幻想即興曲」が、日本でも30?50年くらい前の映画『お嬢さん乾杯』(木下恵介監督1949)や『戦争と人間』 (山本薩夫監督1970)で印象的な曲として使われていたことなどの話にまで至った。

写真提供・ウエストタウンズ

また、西川さん自身がずっと使ってきた、色鉛筆でたくさん書き込みのしてある楽譜を実際に見せると、「何でそんなにたくさんの色で書かれているの?」「最初は鉛筆で書いていたのだけれど、真っ黒になってしまったので、7色くらい使って書き込みをしていって、ほら、裏にまでしみてしまっているでしょう。」と、話は尽きない。 そんな話をしながら演奏に入った幻想即興曲では、ピアノの周りで聴き入っていた生徒たちは、終わった後も「うわーっ、すごいー!」と、歓声と拍手が鳴り止まない。

生徒さんと共演の合唱曲では、卒業式で実際に伴奏をする生徒さんが西川さんのピアノの譜めくりを担当したり、休み時間に、西川さんにピアノを聞いてもらって教えてもらったり、植村さんが持ってきてくれたもう一挺のヴァイオリンで持ち方や弾き方を習ったりと、たくさんの交流が生まれた。

大変なことは多い、けれど楽器を続けていることが幸せ

お話の時間には、生徒たちから様々な質問が。中には、「今までに、ピアノやヴァイオリンが嫌になったことは、ありますか?どういう時につらいと思いましたか?」などという質問も寄せられた。

ヴァイオリンの植村さんは、「私たちは音楽家ですが、もちろん、家族のことなど、やらなければならないことがたくさんあります。どちらも、自分にとっては大事なことです。そういうことをやりながら、自分のヴァイオリンを練習する時間を確保すること、自分のための時間を作ることが大変。」と語る。

ピアノの西川さんは「昔、やってもやっても上手くならなくて、どうしようもなくつらくなる時がありましたが、そういう時を乗り越えられたのは、ピアノを弾くことが本当に好きで、幸せに感じたからです。」とお話をする。

みな、あんなに弾けてすごいのに、悩んで悩んで、でも好きだからやっているんだ、ということがわかって、驚きを新たにしたようだ。後日、生徒さんたちからの感想文が届いた。生の音楽家の演奏と声を目の前で聞いたことで、音楽の不思議、将来のことなど、みな様々なことを感じ取ったようだ。


続けることって、大切。プロも普通の小学生も同じだね。~向台小6年生の感想より~

小さいころからやってきて、ヴァイオリンを手ばなせなくて、プロになれたというのは、すぐあきらめないで、ずーっとやっていれば、いいこともあるということだと思いました。

ヴァイオリンというのは、あまり身近なものでなかったので、今回みたいな機会があって良かったです。一番びっくりしたのは、音の強弱、音色の出し方です。左手の指を少し動かすだけで音色が変わったり、右手の捧の動かし方で、強弱が決まったりしておどろきました。

二人とも、ピアノやヴァイオリンをやめたくなったことがあっても、きちんと続けていたから、偉いと思いました。私も、ピアノをやっていたことがあって、よく「もうやめたいー!」と思ったこともありました。でも、弾けた時はとても嬉しいから、その気持ちはわかります。それは、普通の小学生も、プロのピアニストやヴァイオリニストも、同じなのかなあと思いました。

西川さんが最初に弾いて下さったショパンは、手と心が分離しているのかと思う程手が早くて、私は西川さんの手を、吸いつけられたように見ていました。人間ができる事ではないと思ったぐらいすごかったです。でもそれも、なきながら必死で練習したからだということが、後のお話でとてもよく分かりました。努力すれば何でもできるんだなと思いました。

自分で終わってからヴァイオリンをひいて思ったけれど、左手の指を少しずつ動かして、右手に持った弓で、ヴァイオリンをひくのは、練習しないとひけないというのは、自分でひいてみて感じました。ぼくは、もっと色々な人のピアノやヴァイオリンの弾き方を見てみたいと思いました。

私もたくさん練習して、誰にも負けないものを持ちたい!

ぼくは、ヴァイオリンが好きです。あの弾いた時のきれいな音色はたまりません。 そのヴァイオリンを近くで聞くことができたのだから、ぼくは感激です。「アイネクライネナハトムジーク 第1楽章」の迫力があるけれど、冷静さもあるような音色は忘れられません。ぼくは、二人が来てくれた時から、音楽にちょっと興味を持ちました。二人とも、これからも音色をひびきわたらせてください。

私は、水泳と、バドミントンをやっているんですけれど、西川さんと植村さんが言っていたように、たくさん練習して、誰にも負けない物を持ちたいです。

私は、音楽が大好きで、将来、音楽の仕事につきたいと思っています。お二人の音楽を聞き、その気持ちが高まりました。譜めくりをさせていただき、どのようにひいているか、どのぐらい楽譜を見ているか、などがわかり、うれしかったです。二時間目がおわったあと、私のピアノを指導して下さった西川さん、ヴァイオリンをさわらせて下さった植村さん、本当にありがとうございました。お二人がひいて下さった曲は、まだ耳に残っています。

植村さんのヴァイオリンは、指をふるわせると人によって音がちがうから、自分の音がつくれるそうなので、また何かの機会があれば、自分の音をつくってみたいです。

私はピアノを4才からやっています。西川さんがピアノを弾くと、目に見えないほどのスピードで手が動いていたので、鳥肌が立ってしまいました。将来このように手を動かすような曲を弾けたらいいなと思いました。 将来の夢について私は、いろいろ悩んでいて困っていたけれど、このコンサートを聞いて勇気づけられたなと思いました。とても感動し、最初中断しようかなと思っていたピアノも、もう少しやろうかなと思いました。生で演奏を見たり聞いたりして、よかったです。


演奏者

♪ ピアノ 西川 潤子(にしかわ じゅんこ)
西東京市在住。桐朋女子高等学校音楽科を首席で卒業後、桐朋学園大学音楽学部卒業。1998年ピティナ・ピアノコンペティション特級金賞受賞など、国内外の多数のコンクールで優勝。モスクワのチャイコフスキー記念モスクワ音楽院大ホールにて、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番を演奏。併せてCD録音を行いアメリカで発売。国内のみならずオーストリア(ザルツブルグ)・ウルグアイ・フィリピン・イタリア・アメリカ・香港・シンガポールなど世界各国でソロ・室内楽・オーケストラとの共演で活躍し高い評価を得ている。 「西川潤子のピアノ日記」
♪ヴァイオリン 植村 菜穂(うえむら なほ)
桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園ソリストディプロマコース修了。文化庁芸術家在外研修員としてウィーン国立音楽大学留学。日本音楽コンクール第2位。シューベルト20世紀音楽国際コンクールデュオ部門優勝。併せて20世紀音楽最優秀演奏賞受賞。東京シティフィルハーモニック管弦楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団と共演。カザルスホール、紀尾井ホールなど各地のリサイタルに出演。サイトウキネンオーケストラに参加。桐朋学園子供のための音楽教室講師。

プログラム

ショパン「幻想即興曲(ピアノ)
モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」(ヴァイオリン)
ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」(ピアノ)
「旅立ちの日に」(合唱)
「広い世界へ」(合唱)
「きよしこの夜~アメージンググレイス~愛の喜び~アヴェマリア」(ピアノ&ヴァイオリン)

協力: 東京都西東京市立向台小学校/後援:西東京市教育委員会/主催・問合先:学校クラスコンサート係
◎ウェストタウンズ1月号p6「まちネタ 世界的音楽家の演奏を目の前で体感!」で紹介されました

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