第7回:文京区立昭和小学校 2005年11月22日(火)

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2005/11/22

第6回目の学校クラスコンサートは、東京都・文京区立昭和小学校。
佐藤展子さん(ピアノ)と春澤真由美さん(クラリネット)の演奏と、それぞれのクラスの生徒たちの元気よいアドリブとで、1クラスずつ個性の光るクラスコンサートが行われた。

ビデオを見てみよう(WMV 3分6秒)

ピアノの色んなところを見てみよう

「さて、問題です。」ピアノの周りに生徒たちを集めた佐藤さんは、生徒たちの目を見ながら問い掛ける。
「ピアノの鍵盤の数は?」「部品は全部でどのくらい?」「こんな風にふたがあけるのは何のため?」
生徒たちは、鍵盤を見たり、弦を見たり、ふたを見たり、下にもぐって見たり、色々なところをのぞき込む。

「ぼくは、ピアノの中を見るのがはじめてでした。なんで音が出るのかというと、けんばんをおして、音がはねかえって聞こえるなんて、すごいと思いました。」

続いて弾いてみせる『小犬のワルツ』では、教えてもらったばかりの"部品"が、どのように動いて響いているのか、確かめてみる。

「ピアノの『小犬のワルツ』では、タカタカタカタカと"ハンマー"というのが動いていた」のを観察したり、ピアノのふたと弦との間に紙をかざしてみて、「音は振動で伝わるって言ったから、紙がふるえるかな?」と実験したり、「指がとてもはやくて目で追いつけなかった」「あの指のはやさは絶対誰にも真似できないと思う!」など、ピアニストの動きに注目したりと、それぞれだ。

ドビュッシーの『月の光』の時には、「近くで聴いてもいいし、遠くで聴いてもきれいだよ。」と佐藤さんが投げかけると、近くに残る子と遠くへ座りに行く子が約半数ずつ、そして遠くで聴いてみてまた近くに来て...と、自由に行き来して確かめる子もいた。

「小さい頃からピアノを習っていたけれど、そんなにすごかったのは知りませんでした。」などと、ピアノに親しんでいた子にとっても、衝撃だったようだ。


クラリネットとリコーダーとはどこが違うの?

「みんなのリコーダーの仲間」と紹介されたクラリネット。でも、春澤さんの奏でる音楽は、音もなめらかで、音域も音色も豊か。さらに、5つに分解しても演奏し続けられるなんて、びっくり!

「何で、リコーダーとクラリネットは同じ仲間なのに、リコーダーはこれだけしか長さも穴もなくて、クラリネットはそんなボタンがいっぱいついているんですか?」と、率直な疑問をぶつける。

春澤さんは、5つにわかれたクラリネットの部品について、「ここは、樽に似ているから樽と言います。」「マウスピースは、実はこの葦の部分がくっつかないと、音が出ないんです。」とお話。

「みんなのリコーダーはドレミファソラシドレミ、しか出ないと思うけれど、クラリネットは、その上と下と、こんなに多くの音が出せます。」と、一番低音から高音まで音階を吹いてみせる。 「うわーっ、すごいー!」と歓声。「こんなに長くて穴がいっぱいあると、手が届かないから、こうやってキーを使って届かない所もおさえられるんです。」と、丁寧に教える。

わーっと声をあげても、演奏が始まると、その集中力もすごい。シュライナーの『インマー・クライナー』や『クラリネット・ポルカ』では、「曲につられて、足をとんとんしてしまいました。」と言う子や、「クラリネットの大きさがリコーダーの2倍くらいだったのが、リコーダーより小さくなってびっくりした。」「もう音が出ないと思ったらまだ吹いていてびっくりした。」「最後から2番目の『プー』という音が、とてもおもしろい。」などと、目の付け所も鋭い。

リコーダーで『茶色の小びん』、歌で『トゥモロー』をみんなで演奏した後、「ありがとうございました!」と御礼の花束が。

「私もピアノを習っているので、小犬のワルツを弾きたい」
「私は歌が大好きですが、楽器は苦手です。でも、佐藤さんと春澤さんの楽器の音色を聞いていると、全く違う楽器を使っているようでした。」
「佐藤さんと春澤さんのコンビネーションは最高でした。佐藤さんと春澤さんの音楽は"楽器をとても好き"ということがよくわかりました。」
「佐藤さんや春澤さんの演奏は、私たちも、楽器も、喜んでいます。」
「どの曲もきいているうちに背中がピンとたつようなすばらしい演奏でした。」 などのすてきな感想も。


まだまだここからが勝負!

コンサートは終了したものの、二人の音楽に刺激された子どもたちは、熱気が覚めやらない。「何か質問ありますか?」というと、「いつ頃になったら、そんな曲が弾けるんですか?」など、次から次へと質問が飛んでくる。

さらに、「何か一緒にやりたいもの、ある?」と言うと、「マツケンサンバ!」と大盛り上がり。いつの間にかまわりに寄せていた木琴やティンパニー、エレクトーンなどをごろごろと引っ張り出してきて、「これ、一緒にやって!」とスタンバイ。

実はこの曲、11月始めに学習発表会で4年生全体で披露したもの。1クラスだから、欠けている楽器もあるけれど、そこは他の楽器や真似で代用。音楽の先生の指揮で、リコーダー、タンバリン、木琴、エレクトーン、ティンパニーなどが、一斉に大合奏。振りつきで、ばしっと決める。とても楽しそうな様子に、ピアノとクラリネットも即興で参加!


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お手紙には、「『マツケンサンバ』は、ノリノリで合奏して、とっても楽しくて、心に残りました」
「『マツケンサンバ』の途中で踊っていたのがこの僕です。」
「おまけの『マツケンサンバ』も、◎をいただけましたか?」
「よかった、ここで木琴をできるなんて、と思った」
なども書かれていた。
受け入れるだけでなく、自分たちの中にある"音楽"が刺激され、爆発する!子どもたちのそんなエネルギーあふれる一日だった。


演奏者紹介

♪ ピアノ 佐藤 展子(さとう のりこ)
東京音楽大学付属高校、同大学ピアノ演奏家コースを経て、2002年同大学院修士課程修了。在学中、特待生奨学金を得る。
1997年モーツァルテウム音楽院サマーアカデミーに奨学金を得て参加、A.ヤシンスキ氏に師事。
1998年彩の国埼玉新進音楽家オーディションに合格。マラソンコンサートに出演。 2000年卒業演奏会、讀賣新人演奏会に出演。東京音楽大学シンフォニーオーケストラと共演。英国王立音楽院に奨学金を得て短期留学、C.ベンソン氏に師事。
2001年ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ受賞。
2002年沼尻竜典氏指揮・日本フィルハーモニー交響楽団と共演。越谷、ヤマハ銀座店にてリサイタル開催。 2005年越谷市にてリサイタル開催
♪ クラリネット 春澤 真由美(はるさわ まゆみ)
国立音楽大学卒業。中学・高校と全日本吹奏楽コンクール、全日本アンサンブルコンテスト全国大会で3年連続金賞等数々受賞。
1989年、ベルギーで開催されたプレ・ユーロ・ジャパンの演奏旅行に参加。1997年、1999年、2000年、パリ・オペラ座のスーパーソリスト、J.F.ヴェルディエ氏のフランス夏期講習会に参加。 2000年、第5回日本クラリネットコンクール入賞。同年、彩の国アーティスト・デビューコンサートに出演。現在、小・中学校でのリサイタルや吹奏楽指導、またソリストとして活動中。

プログラム

○ショパン「小犬のワルツ」(ピアノ)
○ドビュッシー「月の光」(ピアノ)
○シュライナー「インマー・クライナー」(クラリネット)
○サン=サーンス『動物の謝肉祭』より「白鳥」(クラリネット)
○ウィンナー「茶色の小びん」(リコーダー)
○チャールズ・ストラウス「トゥモロー」(合唱)

協力: 東京都文京区立昭和小学校/後援:文京区教育委員会/主催・問合先:学校クラスコンサート係


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