第6回:西東京市立東伏見小学校 2005年11月21日(月)

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2005/11/21

いよいよ西東京市での第1回目クラスコンサートがスタートした。西東京市在住の西川潤子さん(1998年特級金賞)が、地元西東京市内の小学校へ演奏に出向く。最初の学校は、東伏見小学校の4年生。共演は、ヴァイオリニストの植村菜穂さん。


西東京市のピアニストが、西東京市の子どもたちへ

西川潤子さんは幼少の頃から西東京市内の学校に通い、現在も活動の拠点は西東京市。西東京市坂口市長の訪問を経て、西東京市内の小学校で継続的に学校クラスコンサートを展開する、その記念すべき第1校目の舞台は、ここ東伏見小学校の音楽室となった。

東伏見小学校の4年生3クラスの生徒たちは、この日が来るのを楽しみに、そして一緒に演奏できる曲を一生懸命練習し、期待をふくらませて待っていた。

そんな子どもたちに西川さんが、子どもの頃から駅前のアイスアリーナへスケートをしに来ていたこと、毎年近くの稲荷神社へ初詣に来ていることなどをお話すると、「そうなの~~」と驚きの声。「こんなすごいピアニストが私たちの近くにいたなんて、びっくりで、うれしい!」ともらす。

「私たちピアニストは、「楽しい!」とか「悲しい~」とか、たくさんの想いを感じながら、曲を弾いています。でも、「私今悲しいんです」と言いながら弾くことはできないでしょう?だから私たちピアニストはピアノの音を通じて、一生懸命表現しようとしています。そういう想いを、ぜひ感じながら聴いてください。」とコンサートをスタートさせた。

まずは、「悲しみ」を表した、ベートーヴェンの「悲愴 第1楽章」。話をしている時のやわらかい感じの西川さんが「悲愴」を弾き出すと、その壮絶な迫力と変貌ぶりに生徒たちは「ピアノを弾いている時と話している時は別人のように見えた」とびっくり。

今度は全く雰囲気を変えて、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」を演奏。
「亜麻色って、どんな色?」と、教室の中で"亜麻色"を探す。「そんな色の長い髪の少女が、草の上で笑ったりひばりと一緒に歌ったりというお話の曲です。みんなのまわりの西東京市には、まだたくさん自然が残っているので、想像できますよね。」と、遠い異国の少女のお話を、なるべく生徒たちの身近なものにひきつけて想像をふくらませる。うって変わって穏やかな光が差し込むような演奏に、みんなうっとりと聴き入る、素敵な瞬間であった。


ヴァイオリンで舞踏会の雰囲気を

今回はヴァイオリンと共演。植村菜穂さんは、「モーツァルトさんは、こういう楽しい音楽ではしゃぐのが大好きでした。」と『アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク』を演奏。「あっ、聴いたことある。」と、間近で見る弓さばきと指の動きにくいいるように見つめる。「テレビやCDで聴いたことがあるけれど、ピアノとヴァイオリンが合うとすごくきれいで、知っている音楽と違う気がした。」と子どもたち。

ヴァイオリンでの2曲目は、クライスラーの『愛の喜び』。息ぴったりの2人の演奏から繰り広げられる華やかな音楽。「ウィーンの舞踏会で、みんなで楽しくワルツを踊っている雰囲気をイメージしてみてください。」と演奏を始めると、自然と手でワルツのリズムをきざんだりする姿も見られた。「聴いていると踊りだしたくなった!」との声も。

植村さんは、子どもたちのためにもう1挺ヴァイオリンを持ってきてくれていた。「終わった後に、弾いてみたい人は弾いていいからね。」という言葉に、たくさんの子どもが、「弾いてみたい」と近づいていき、挟み方や弦の動かし方を教わった。


ぼくたちの声よ届け!

今度は、自分たちの出番!当日は、久石譲の「君をのせて」を歌で、J.S.バッハ「主よ人の望みの喜びよ」をリコーダーでと、2曲を共演。「私も宮崎アニメが大好きでした。」という西川さんの伴奏と、植村さんがきれいなオブリガートをつけて、みんなの「君をのせて」のきれいな二部合唱をさらに彩る。

この曲はみんな大好きらしく、コンサートの最後に「もう一度『君をのせて』を歌いたい!やって!」と、もう一回、さらに大きな声で熱唱した。その真剣な歌う姿勢には、西川さんも「演奏しながら胸がいっぱいになって涙ぐんでしまいました。」と語るほど。

かけつけてくださった西東京市・坂口市長も「ブラボー!」と声をかけた。


ピアニストって大変!?

最後には、西川さんはピアノの周りにみんなを集めて、ピアノについて、色々と質問を投げかけた。

「鍵盤の数って、いくつあるかわかる?」
「ピアノの重さってどのくらいだと思う?」
「最近地震が多いけれど、地震の時ってピアノの下に隠れていいのかな?」

ペダルの役割につてもお話。「一番右のペダルは、このように音をのばして響かせるため。左のペダルは、亜麻色の髪の乙女のように、ちょっと音色を変えたい時に使います。ほら、ピアノの中が、ゴトっと動いたでしょう?」「本当だ!鍵盤も動いた!弾いている最中に鍵盤が動いたら、1個音を間違えちゃったりしないの!?」などと、なるほど、と思うような質問も。

「では、ペダルは3本、足は2本。3本とも踏みたい時には、どうしているんでしょう?」と、足を横に向けて同時に踏んでみせる。「ピアニストって、舞台の上で優雅に弾いているようで、実はドレスの下はこんな風にがんばって足も使って、全身で弾いているんです。結構大変でしょう?」と。「ピアニストって、手だけでなくて足も使うんだ...!」と生徒たちも目を丸くする。

そしてみんなが周りを囲む中、ショパンの『幻想即興曲』を演奏。めったに近くで見られないピアニストの動きを、真剣に見つめる。流れるような指と腕の動きに、思わずピアノの横で自分も弾く真似を始める男の子もいた。

生徒たちからは、「ヴァイオリンの弓が馬の毛で出来ているのは何で?」「首の所にずっと挟んでいて、あざができませんか?痛くありませんか?」「どのくらい練習すればそんなにうまくなれるのですか?」などと、質問もいっぱい。

当日は、ラジオのエフエム西東京、ケーブルテレビのJ:COM東京、都西タイムスなどの取材も入っていて、終了後も生徒たちは、「すごく早いのに上手に弾けててすごかった」「1つ1つの音楽が、心がこめられているのがわかった」「あんなに素早く腕を交差したりしてすごい」「自分の市にこんなすごいピアニストがいることにびっくり。自分もああいうふうになりたい。」などと覚めやらぬ感想を述べていた。

◎プログラム

ベートーヴェン「悲愴 第1楽章」(ピアノ)
モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク(ヴァイオリン)
ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」(ピアノ)
久石譲「君をのせて」(合唱)
J.S.バッハ「主よ人の望みの喜びよ」(合唱)
クライスラー「愛の喜び」(ヴァイオリン)
ショパン「幻想即興曲(ピアノ)

メディア報道

・西東京市ホームページ
 トップページ、「市内のできごと」に写真入りで掲載
エフエム西東京
 11/21 19:00~「まち情報84.2」内ニュース(4分)
 11/26 「ふるさと一週間」(8分)
J:COM東京
 12/4~12/10 「タマロクトTV」内
・都西タイムス

関連ページ

・西川潤子さんのブログ「西川潤子のピアノ日記」
・東興通信での西川潤子さんの記事

演奏者

♪ ピアノ 西川 潤子(にしかわ じゅんこ)
西東京市在住。桐朋女子高等学校音楽科を首席で卒業後、桐朋学園大学音楽学部卒業。1998年ピティナ・ピアノコンペティション特級金賞受賞など、国内外の多数のコンクールで優勝。モスクワのチャイコフスキー記念モスクワ音楽院大ホールにて、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番を演奏。併せてCD録音を行いアメリカで発売。国内のみならずオーストリア(ザルツブルグ)・ウルグアイ・フィリピン・ イタリア・アメリカ・香港・シンガポールなど世界各国でソロ・室内楽・オーケストラとの共演で活躍し高い評価を得ている。
♪ヴァイオリン 植村 菜穂(うえむら なほ)
桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園ソリストディプロマコース修了。文化庁芸術家在外研修員としてウィーン国立音楽大学留学。日本音楽コンクール第2位。シューベルト20世紀音楽国際コンクールデュオ部門優勝。併せて20世紀音楽最優秀演奏賞受賞。東京シティフィルハーモニック管弦楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団と共演。カザルスホール、紀尾井ホールなど各地のリサイタルに出演。サイトウキネンオーケストラに参加。桐朋学園子供のための音楽教室講師。
協力: 東京都西東京市立東伏見小学校/後援:西東京市教育委員会/協賛:共立ラインサービス株式会社/主催:学校クラスコンサート係

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