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ピアノがある生活を続ける限り欠かせないのが定期的な調律と、調律師さんとの関わりです。ピアノは複雑な楽器であるせいか「演奏する人」と「調律する人」がわりとはっきり分かれています。しかしそれが「普通」になってからの歴史はせいぜい100年程度。そもそも楽器の調律(チューニング)はふつう演奏者自身が行います。ピアノと同じ鍵盤楽器でも、チェンバロや初期のピアノ等を演奏する人は、調律の技術を持っていることがほとんどです。楽器演奏の歴史や、他の楽器の常識から見れば、調律を「知らない」ことの方が不自然だ、というのは言い過ぎでしょうか。
この記事ではピティナでは一般社団法人 日本ピアノ調律師協会と協力して開催する、二つのイベントをご紹介します。調律に関わるアンケートにもご回答いただき、「ピアノと調律」のこれからを、ご一緒に考えて下さい。
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昨年4月に「音色の正体」と題して開催し、好評だったイベントの第二弾です。
実は「音色の正体」は「倍音」という一言で表すことができます。しかしこの答えで調律師の多くが明確なイメージを持てる一方、ピアノを演奏する多くの方々にとってイメージしやすいかと言うと、そうでもなさそうです。調律師さんとピアノ弾き。お互いのことを知っていくには、共通の言葉を使ってコミュニケーションを取るのが近道です。「倍音」の物理的な現れ方や、ピアノの整備状態による差異など、相互理解につなげるための多くのアイデアが語られる会でした。
「音色=倍音」に続く、今年のキーワードは「タッチ」です。この言葉について深く考える過程では、グランドとアプライトの構造の違いによるタッチの変え方、適切なピアノの調整方法といった「実践的」な内容も語られることになる予定です。学生料金も設定してあります。若いピアノ弾きの方、趣味でピアノを弾くor聴く方のご参加も大歓迎です。ピアニストの白石先生によるピアノ演奏もあり、「ピアニストによるアプライトとグランドの弾き比べ」とその場でのコメントが得られる珍しい試みも予定しています。
- 日時
- 4月11日(木)10:30~12:30(開場 10:00)
- 場所
- 新宿文化センター 3Fホール
- 講師
- ピアニスト:白石光隆
調律師:齋藤 翔太(株式会社 松尾楽器商会 技術部) - 受講料
- ピティナ会員 3,000円/一般 3,500円
- 共催
- 一般社団法人日本ピアノ調律師協会 関東支部
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東京藝術大学、大学院を修了。ジュリアード音楽院へ進む。リンカーンセンターでジュリアード・オーケストラと協演。1992年帰国。1994年第63回日本音楽コンクール声楽部門木下賞(共演)受賞。一般財団法人地域創造の公共ホール音楽活性化事業などの活動では全国を巡り、子どもたちへの教育プログラムにも積極的に取り組む他、後進の指導やさまざまなコンクールの審査員も務める。毎年定期的に東京で開催するソロリサイタルは2018年で31回を数える。現在、東京藝術大学、お茶の水女子大学非常勤講師。
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アポロ調律芸術院、JMG(株)を経て修理及び調律、調整や整音の技術を学び、現職。現在全国主要ホール等でコンサート調律、保守点検業務、オーバーホール修理等の実務に従事している。
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ちょっとしたトラブルなら自分で直してしまえる!?ピアノの仕組みに興味が増せば、日々の練習がより楽しくなるかも?レクチャー&プチ調律体験できる企画。好評なら東京以外でも企画します。
- 日時
- 6月10日(月)10:30~(開場 10:00)
- 場所
- 東音ホール(東京・巣鴨 ピティナ本部事務局内)
- 講師
- 鶴田 圭寿
- 受講料
- 2,500円(会員)一般3,000円
- 協力
- 一般社団法人日本ピアノ調律師協会
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日本ピアノ調律師協会会員。 一級ピアノ調律技能士。 ピアノテクニシャンズギルドRPT。
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4月11日のイベントに先立ってアンケートを実施します。「タッチ」という言葉が「気になる」とお感じになられている先生方、ピアノを弾く方々、どなたでもご回答いただける内容です。ぜひご協力をお願いいたします。
- 締切
- 2019年3月31日
- 内容
- ~調律と「タッチ」の関係について~
「調律」について知ることはピアノ指導や演奏の向上に直結するはず。「調律」に関わる企画は今後も続けて行きますので、ぜひご意見・ご要望をお寄せくださいませ。