2019年2月14日(木)にカワイ表参道コンサートサロンパウゼにて先生をお招きし、「スオミ・ピアノ・スクール -監修者・ピアニスト舘野泉氏を迎えて-」を開催いたしました。
初めに久保春代先生より、「スオミ」の生まれたフィンランドの教育についてのお話がありました。
自然のきびしいフィンランドでは、助け合いの精神や自然に対しての謙虚さ、長い冬を乗り切るためにいつも先のことを考えて生活をする、つまり長い目で物事を見るということが求められます。そのことが教育にも反映されているそうです。
この教本が舘野泉先生によって日本に紹介されたのはもう30年ほど前になります。たくさんの新しい教本が毎年生まれていますが、どんなに時代が変わっても立ち戻るべき根本的なことがこの「スオミ」にはおさえられているとのことです。
この後、"音楽への旅立ち"からテキストを1ページずつめくり、演奏を交えながら解説されました。
また巻が進むにつれて、らせん階段のように少しずつむずかしいことを勉強していくようにできている例として、『即興演奏』の課題では「おや、いろいろなおとがきこえますね」、「ゆめのくにぐにへ」、「犬の夢」を、『現代音楽』では「うちゅう」、「きり」、「薄明り」(12音技法)が取り上げられました。他のテキストには見られない「スオミ」ならではの作品、久保先生の素敵な演奏でその魅力がより伝わってきました。また『脱力』についても各巻のイラストが描かれたページが紹介されました。「絵があったら通りすぎるわけにはいきませんね。」とおっしゃったように、大切なことが繰り返し身につけられるようになっているようです。
後半はいよいよ舘野先生にご登場いただき、久保先生との対談となりました。
舘野先生がなぜ「スオミ」を日本に紹介しようと思われたのかという久保先生のご質問に「僕は教則本というものを子どもの時にやったことがなくて、つまらないものだと思っていたんですよ(笑) そしたらこのスオミを見ると、子どもと先生が話し合って音楽の道を開いていくようにできている。選択肢が広がる本だと思ったわけです。」とお答えくださいました。
スオミが大切にしている「脱力」については、高校に進まれた頃、身体までガチガチになってしまった時期があったとのこと。運良く高2の時にコハンスキー先生にレッスンを受けることになり、それまで身体が縛られていたのが魔法がとけるように生き返った感じがして嬉しかったというエピソードをお話し下さいました。
最後に「サムライ」(光永浩一郎作曲)と「赤とんぼ」(山田耕筰作曲、梶谷修編曲)を演奏して下さいました。心の底までしみわたる素晴らしい演奏に会場は深い感動に包まれ、セミナーが終了いたしました。