文・山本美芽(音楽ライター)
日時 2018年12月6日(木)
会場 日暮里サニーホール コンサートサロン
第2回「テクニック」?ドレミファソだけで簡単に高度なテクニックが身についてしまうそのワケは?
故・永瀬まゆみ先生のお嬢様で、現在指導者として活躍中の永瀬礼佳先生。10月の第1回「楽典」に続き、第2回「テクニック」についてのセミナーが行われました。
テキストは、永瀬まゆみ先生の著書「ドレミファソではじめる かんたん!すごい!さきどり!ピアノテクニックの本」(ヤマハミュージックメディア)。
「かんたん」とは、五線譜や玉の音符はいっさいなしでドレミファソのカタカナを使った文字譜を使うこと。「すごい!」は、簡単なことを入り口に、高度なことを応用発展していくこと。「さきどり!」は、教則本の進度に関係なく、初期から必要最低限のテクニックを入れていくことを指しているそうです。
導入期には、音符が読めないなかで、指も動かさなければなりません。ここで音符が読めるようになるのを待っていると時間がもったいないし、弾き方に変な癖がついてしまう。だったらドレミファソのカタカナの文字譜を読ませてながら、どんどん指を動かし、脱力やタッチの基礎をまず教えてしまおう。さらに、5指ポジションの大事な動きと伴奏形の基本をまず徹底的に教えるわけです。
楽典の回でも感じたことですが、たとえばノンレガートで「うで」「ゆび」の2種類があるというように用語を簡単にして、要点を絞って早くから前倒しで教えて変な癖がつかないようにし、繰り返しながらしっかりと定着させてくのが、永瀬先生のメソードの特徴です。近年あちこちで聞くスケール・カデンツ・アルペジオの前倒しについてもお話があり、テキストの後半について学びました。
先取りする、前倒し。できるならやった方が良いに決まっているけれど、では具体的に何を先取りし、何を前倒しすればいいのか? ここを永瀬まゆみ先生が苦心して考えられたのだなと推測します。そこをお嬢様の礼佳先生がご自分なりに消化、実践しているお話しということで、これから限られたレッスン時間で生徒に確かな力をつけていくために、ぜひとも知っておきたいメソッドです。
今後のセミナー予定は、東京日暮里で2/7導入期セミナー、4月以降定期的な勉強会開催予定。
また、2/14岡崎、春頃大阪でセミナーが開催されます。
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やまもと・みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめる。ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続ける。中村菊子「レッスンのハンドブック」の中で一部を取材執筆、呉暁「練習しないで上達する」において文章作成などを担当し、多くのピアノ教本の著者・訳者に直接取材した経験を持つ。 2006年―2010年の間、夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。カリフォルニア州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」(春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。 2012年よりピアノを多喜靖美氏に師事。室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。2015年より「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを全国で行う。あわせて指導者向けの「ライティングセミナー」、参加者が実際に弾き合いながら学ぶ「ひきあいセミナー」なども開催中。オフィシャルサイト http://www.mimeyama.com
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