【実施レポ】永瀬礼佳 導入期指導法セミナー「かんたん!すごい!さきどり!の楽典&テクニック」-入会からたった2年で音大入試過去問を解き、1年余りでテクニックを全て習得-

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2018/10/22
永瀬礼佳 導入期指導法セミナー「かんたん!すごい!さきどり!の楽典&テクニック」-入会からたった2年で音大入試過去問を解き、1年余りでテクニックを全て習得
文・山本美芽(音楽ライター)

日時 2018年10月18日(木)
会場 日暮里サニーホール コンサートサロン

永瀬まゆみ先生のお嬢様で、現在指導者として活躍中の永瀬礼佳先生。
音楽大学入試の内容を楽典を幼児の導入から2年で教えていて、ピティナA2級の課題曲が出たときに、生徒さんがみんな自分でざっと譜読みして曲を決めているそうです。にわかには信じられず、いったいどういうことなのかと思いながら受講しました。

まず、礼佳先生の指導法は、まゆみ先生がつくりあげた指導法を受け継ぎ、自分なりに消化したうえで試した成果ということです。「私が生徒たちを全国大会に送れているのも、生徒たち全員のレベルが高いとステップで評価をいただけるのも、母の指導法があるからなんです。だからどうしてもこの方法を広めたい」と礼佳先生。

まず大切なのは、ピアノを弾くために必要なことを分野に分けて先取り指導していくこと。この日はそのなかでも楽典について具体的に2年間でどのように進めていくのか、2年間にわたる楽典指導の手書きのノートを、資料として配布して説明くださいました。

資料を見ると、線と間の区別からはじまり、関係調の内容まで教えるのです。こんな高度なことをと思いましたが、礼佳先生が子供に教えるときの説明の口調を聴いていると、「難しい」と思っているのは、「楽典=音大入試準備」であった過去の先入観ではないのか、という気がしてきました。

たとえば調や並行調といった用語は難しいけれど、それがいったい何なのかは、たとえば家族の誰と誰といった説明に置き換えれば幼児でもわかるのかもしれない。礼佳先生の生徒さんはみんなわかっているそうです。聞けば聞くほど、さまざまなリサーチにもとづいたシンプルで効果的な指導。根拠のない過ぎた時代の先入観を、まゆみ先生、礼佳先生の工夫とアイデアと実績でいったんリセットしたい衝動に駆られました。

ピアノを弾くために覚えなければいけないことをなるべく早くマスターさせて、表現や解釈に集中させたい。指導者ならば誰もが願うことです。この日は「楽典」についてのお話でしたが、今後、その教育法の全貌を引き続き追いかけていきたいと思います。




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山本美芽

やまもと・みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめる。ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続ける。中村菊子「レッスンのハンドブック」の中で一部を取材執筆、呉暁「練習しないで上達する」において文章作成などを担当し、多くのピアノ教本の著者・訳者に直接取材した経験を持つ。  2006年―2010年の間、夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。カリフォルニア州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」(春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。  2012年よりピアノを多喜靖美氏に師事。室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。2015年より「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを全国で行う。あわせて指導者向けの「ライティングセミナー」、参加者が実際に弾き合いながら学ぶ「ひきあいセミナー」なども開催中。オフィシャルサイト http://www.mimeyama.com
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