2018年9月27日(木)にスガナミ楽器(株) 経堂店 ミュージックホールにて川上 昌裕先生をお招きし、「もう止まらない!カプースチンに首ったけ!まるわかり講座 -"らしさ"を表現する秘訣と指導法-」を開催いたしました。
近年、国際コンクールで演奏されることが増えたカプースチン。クラシックとジャズを融合した独特の作風はどのように表現したらよいのか?"24の前奏曲Op.53"、"8つの演奏会用エチュードOp.40"、"ソナチネOp.100"と人気曲をご紹介いただきました。
カプースチンは1937年ウクライナに生まれ、モスクワ音楽院でピアノを学んでおりました。カプースチンの音楽はクラシック音楽をきっちり学んだ上で、ビックバンドジャズの要素を取り入れたこれまでにない作風です。本講座ではまず、ジャズの名演奏家の音源を聴き、歴史をたどりました。ジャズ演奏家は同じ曲でもまるでちがう演奏をするのです。
即興演奏を楽しむことがジャズならば、カプースチンの作品は即興演奏がありません。ジャズっぽい選び抜いた音と緻密な構成で独自の音楽を作り上げているのです。
カプースチンは自身もピアニストとして、10度音程を同時に弾くことができるようで自演CDでは曲調がかなり早いものもありますが、ゆっくり弾いても曲になるそうです。
24の前奏曲はスウィングやオフビート(裏拍)などわかりやすいジャズの要素がとりこまれています。8つの演奏会用エチュードはラテンやサンバのリズムやブルーススケールを取り入れるなど技巧的な楽曲が多く、難易度が高めと感じました。24のソナチネは7度音程で弾けるので小さな手の方におすすめの曲です。川上先生はカプースチンと実際にお会いし、楽譜の校訂や演奏活動をされている第1人者として、カプースチンとの出会いや楽曲の裏話(カプースチンの作品難易度チェック)や、川上先生のお弟子さんのお話などここでしか聴けないようなお話しと演奏が盛りだくさんでした。
カプースチンの楽曲は、今後ベートーヴェンやモーツァルトなどと同様にずっと残っていく名曲ばかりです。講座終了後はCDや川上先生の新刊書籍「カプースチン -ピアノ音楽の新たな扉を開く-」を手に取り、新たな音楽に出会った受講者の皆さんの熱心な質問等もあり、2時間があっという間に過ぎていきました。
川上先生、貴重なお話と素晴らしい演奏ありがとうございました。