2018年7月20日(金)に山野楽器 仙台店8階 イベントスペースにて林 苑子先生をお招きし、「ヒダリテジョウズ「左手上手」になりませんか?」を開催いたしました。
林先生の新セミナーが仙台にてスタートです!今までにない左手に特化した講座に、暑い中夏休み直前にもかかわらず多くの先生方がお集まりくださいました。
会場のピアノは、左手を見えやすくするため逆に置き、左手の特徴をそれぞれ机の上で再認識するため紙鍵盤も用意するなど、準備は万端です。
一般的には利き手ではない「左手」の特徴を理解するところから講座は始まります。
ピアノに座り両手を構えると、誰でも左手は右手に比べて、ひじの位置が低くなりがち。ひじが下がると、小指や手のひらが傾き、指が垂直に入りにくい。紙鍵盤を使って机の上で実体験です。
指は鍵盤のどのあたりにあることが望ましいのか。黒鍵を使うポジションの場合、例えばDEFや、Des,Es等のポジションで「どんぐりころころ」などを移調し弾く場合、どの指が鍵盤の奥の黒鍵の谷間にあり、どの指とどの指が開いているのか等を、受講者全員で紙鍵盤で体験し、一本づつ確認しフォームをチェックします。手や指のどこをどう意識すると直しやすいのかなど、具体的にお話しくださいます。
ピアノ学習の始めから、手のフォームをしっかり作ること。楽譜を見るだけでなく、ピアノと手をよく見る事が大切。解剖の本などを見せ、また色々なポジションの手の形を実際絵に書いてみるなど、生徒が手に興味を持つようレッスンで始めから意識付けしていく事の大切さをお話になりました。
練習も左手からやるのが望ましく、「左手コーナー」を作るなど、初期からそれが当たり前になるように指導する事が大切とのこと。
続いて、ピアノを弾く際のからだの使い方へと話は進みます。左半身、右半身、背中、かかと、丹田。
肘の裏、手の裏側をよく見て、「裏」を意識することが肝心とのこと。
「バーナム」を左手に特化しての一曲づつのレッスンポイントをご説明。さらに、4期における左手の役割、例えば、バロックの舞曲は左手は足、古典のアルベルティバスの弾き方の極意、左手を別な楽器に例えた弾き方など、話はどんどん発展します。今年のコンペの課題曲における左手の練習の仕方も詳しく丁寧に伝授。
なんと、二刀流の宮本武蔵の「五輪書」にまで話は及びました。
脳科学的にも、非利き手を使うことで、脳が活性化するだけでなく、同時に利き手の能力も高まるというデータがあるそうです。
最後は、スクリャービンの「左手のための小品」をお弾きくださり、講座は終わりました。今だ演奏活動を続けていらっしゃる林先生の左手の素晴らしい演奏に一同大変感銘を受け、全てはここに繋がるのかと納得した次第です。
「左手」というシンプルなテーマから、こんなにも多岐に渡った考察の可能性があることを教えていただきました。