2018年7月16日(月)にスガナミ楽器(株) 経堂店内ホールにて野本 由紀夫先生をお招きし、「モーツァルト 新原典版の世界「ピアノ・ソナタ KV331」新校訂版各社比較」を開催いたしました。
2014年9月、ハンガリー国立セーチェーニ図書館で、世界を驚かす大発見がありました。これまで自筆譜が見つかっていなかったモーツァルトピアノ・ソナタKV331の第1、第2楽章の自筆譜の一部が見つかったのです。この発見により、従来長きに渡り出版されてきた楽譜との大きな違いが明らかになったのです。
これを受けてモーツァルト『ピアノ・ソナタKV331』(ピース版)は、2015年よりヘンレ版、ウィーン原典版、ベーレンライター版、ペータース版の順に新校訂版が出版され、より作曲者の意図に近い楽譜になっていきました。
今回の講座では、私たちが弾いてきた楽譜とどのような違いがあるのかを検証していきました。今まで長調だったところが短調だったり、同じみのソナタの楽曲のフレージングについても、ここで切る?と、驚きと発見が満載でした。
また、同じ最新の原典版でも校訂者の研究結果や出版社の編集方針によって楽譜への表し方が異なっており、曲の表現が大きく変わっていました。各社のこだわりなどが感じられ、興味深く聴講されていたのが印象的でした。
200年以上親しまれているモーツァルトの楽曲ですが、長い年月の中で研究され作曲者の意図とはちがう演奏表現が一般的になっていくという歴史の長さを感じました。自分ならではの演奏を作り上げるために、版による違いがどこからくるのかを理解しているとより深い演奏になっていくのではと思いました。
野本先生、楽しいお話をありがとうございました。