【実施レポ】ロシア奏法によるピアノ教本『はじめの一歩』実践セミナー(喜多村知子先生)

文字サイズ: |
2018/05/29
ロシア奏法によるピアノ教本『はじめの一歩』実践セミナー
喜多村知子
180517kitamura_1.jpg

2018年5月17日(木)カワイ横浜「プラージュ」にて、喜多村知子先生をお招きし、「ロシア奏法によるピアノ教本『はじめの一歩』実践セミナー」が開催されました。

喜多村先生はこの教本の訳者、村手静子先生からロシア奏法を学ばれました。 この日は実践セミナーでしたので4人が体験者として喜多村先生から手取り足取りレッスンを受けました。
教本の概要ですが、1巻が3の指の1音から始まり2,3,4の指、重音、すべての指でノンレガート。2巻が2音スラー、3巻が3音4音レガートの曲です。この教本が出版された時は1本の指でのノン・レガートを徹底した教本と大変驚きましたが、私もこの日体験させていただきその意味が理解できました。

180517kitamura_2.jpg

まず1巻最初は3の指で1音を弾きますが上手く重さを乗せることができません。手の支えがあり置くタッチで、指先に腕全体の重さがかけられるようにします。重さで弾いた音は無理なく遠くに飛んで良い響きがします。叩いた音(叩いているつもりは無いのですが)との違いは音を聴いた瞬間に分かりましたが、何曲も体験していくうちに音を出す瞬間に分かるようになってきました。

腕の重みが分かる方法として、床に座り1本指で弾く、背もたれ付き椅子を少し後ろに下げ背中をつけ寄りかかり腕を伸ばして1本指で弾く、弾いた後立ち上がるなどを教わりましたが、確かに腕の重さでとても良い響きがしました。

さらに、指は固めずしなやかに、手の甲は弾力のあるバネを利かせて、胸筋で弾くなども教えていただきましたが、言葉だけでは誤解が生じそうです。バネといっても小さな生徒さんによく見られる腕や手首を振るのとは違い、ほんの少しの動きと脱力、手全体で弾き手首は折れないそうです。

180517kitamura_3.jpg

以下、体験者と聴講者の一言です。

体験者より
●自分の体の使い方の癖、改善点、出したい音をイメージして、響を聴くことを教えていただきました。
●実際に先生に手をもってもらい、音を出し、経験に勝るものはない!実感です。
●1音の美しさ、1音の難しさを感じました。奏者と聞き手が受けとる音の違いも聴き比べられ、耳の大切さを痛感しました。早速レッスンで高校生と弾き比べをしてみました。聞き手の方が分かりやすい、音がポンと飛ぶ音の美しさを体験しました。短い時間の学びでしたが多くの気づきのあるセミナーでした。

聴講者より
●座る位置、姿勢、腕や手首の使い方をちょっと変えるだけで、音がすっきりと美しくなることに驚きました。何気なく出している音を腕全体の重さが指先にかかることを意識すること、そしてその音に耳を傾けることで1音1音が美しい音楽に変わっていくように聴こえました。

180517kitamura_4.jpg

ロシアではピアノのレッスンは小1からこの教本を使い、その担当の先生は50代以上のベテラン教師だそうです。最初から美しい1音を教えるのですから忍耐力がなければなりません。
導入期から聴ける耳を作ることがいかに大切か、とても考えさせられたセミナーでした。 喜多村先生をお招きしたのは3回目になりますが、この教本が出版されてからは初めてでした。音が少ない分、レッスンで変化していく様子がとても分かりやすかったです。音の多い難しい曲ばかり弾くのではなく、このような教本に立ち返り美しい音を出すというレッスンの必要性も感じました。

喜多村先生、とても丁寧にご指導いただきありがとうございました。

Rep: 横浜バスティン研究会 木村ちづる
 

【GoogleAdsense】
ホーム > ピアノセミナー > ニュース > 02レポート> 【実施レポ】ロシア奏...