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- 佐々木邦雄先生(作曲家)&佐々木恵子先生(ピアノ指導者) (2018年4月18日(水):開催)
- コンペティション課題曲の演奏力を最大限アップさせる手法 ~初・中級(A〜C級)までの演奏に必要な音楽表現力~
今年度のワークショップがスタートしました。バラエティ豊かな内容が好評を呼び、昨年より受講者を増して、賑やかに9年目を迎えました。
第一回はご夫婦でご活躍されている作曲家の佐々木邦雄先生とピアノ指導者の佐々木恵子先生にお越しいただきました。案内役のファシリテーターはメディア委員長の武田真理先生です。
初回の少し緊張した雰囲気の中、邦雄先生の「たくさん動いて体験するワークショップにしよう!」という元気なお声かけから始まりました。
音が少なくて曲も短い。そんなA2.A1級の課題曲をどうしたら輝かせる事が出来るのか。コンペティションの課題曲から3曲が取り上げられました。配られた資料には邦雄先生の書かれた連弾パートの楽譜が載せられています。作曲家である邦雄先生ならではの指導法が展開されます。ここではそのうちの2曲をご紹介します。
左右の手を交代しながら一つのメロディーを演奏するこの曲。邦雄先生は「全てがメロディーなのか。そうでない場所を作ったらそこは2声になるのではないか。」と問いかけます。どの音をメロディーに選ぶかによって弾き方が変わるので、それが個性へと繋がっていく。その個性こそが曲を輝かせるポイントになるのだとおっしゃいます。
解説の間、受講生は恵子先生のピアノに合わせて膝の上でエアピアノをしたり、邦雄先生と一緒に指揮者になったりと大忙し!
恵子先生が生徒役となっての連弾では、邦雄先生が伴奏を弾きながらメロディーを歌って、音楽の方向性を伝えます。まだ音楽理論のわからない幼い生徒さんに、一緒に演奏して体感してもらうのです。ダイナミックになったこぶたのマーチ。クライマックスには邦雄先生の豚の鳴き真似が入り、会場から思わず笑いが起きます。「一緒にやって一緒に楽しまないと」とおっしゃる邦雄先生の日頃のレッスン風景が見えてくるようです。
ここでは受講生の一人が生徒役として課題曲を演奏し、恵子先生のレッスン方式でアドバイスを受けました。曲の冒頭で出てくる短2度の和音。魔女の不気味さを感じるこの和音でこの曲が決まると言ってもよいと恵子先生はおっしゃいます。メロディーは和音の上の音?それとも下の音?上下の音を両手で弾き分けて、音量を変えてみます。どこをメロディーに選ぶかで、色々な魔女が出来上がっていくのです。
このセミナーでは、A級課題曲をじっくりと解説していただきました。邦雄先生曰く、A級で出来たことがB級に活かされていき、その後の級にも繋がっていくのだそうです。基礎を積み重ねていく事の大切さを感じます。
A級の解説後はB級バロックからL.モーツァルト《ポロネーズ》とC級ロマンからグリーグ《ワルツOp.38-7》を恵子先生のレッスン形式で、曲の雰囲気に合わせた音の選び方、跳躍の際の間の取り方など、実演しながらポイントをご指導いただきました。
邦雄先生はインベンションに合わせて弾くための連弾パートを、全15曲分書かれています。ここでは4人の受講生が連弾付きの楽譜から1パートずつ受け持ってアンサンブルで演奏しました。4声になったインベンションは、室内楽を聞いているように豊かな調和でありながら、あちらこちらからメロディーが聴こえてくる感覚が面白い。アンサンブルから多声部に耳を慣らしておく事は3声4声への準備にも良いかもしれません。
楽しいと体験する事で、音楽が好きになるのだと邦雄先生はおっしゃいます。私自身もこのワークショップで、先生ご夫妻のユニークなトークとお人柄に引き込まれて、とても楽しい学びの時間をいただきました。あっという間に会場の緊張も解けて、終始笑顔の溢れるワークショップとなりました。
ここで学んだメロディー探しや表現方法。納得のいく解釈と素敵なアレンジの連弾譜という道しるべをいただいて、今後のレッスンでどんどん活用していけそうです。
こちらの講座は「音楽総合力UPワークショップ2018」のeラーニングコースでご覧いただけます。eラーニングコースは随時受け入れており、途中からでも2018年度すべての講座のご視聴が可能です!
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