2018年3月8日(木)銀座山野楽器本店7階イベントスペースJamSpotにて、多喜靖美先生による『コンペ課題曲で学ぼう!遊ぼう!』の講座が開催されました。
鍵盤ハーモニカ奏者の菅谷詩織先生とチェリストの西牧佳奈子先生の演奏協力のもと、今年度コンペ課題曲の中から19曲を三人の先生方がトリオやデュオ、そして受講生も参加してピアノ4人4手・鍵盤ハーモニカ3台とピアノ等々、元の曲を変えないアレンジをして下さり、その楽曲を通してピアノという楽器の魅力を広げ楽しむ講座で、大変学び多き時間となりました。
多喜先生の全てを優しく包み込むようなまろやかなピアノ、一音一音魂の込められた菅谷先生の音色、語りかけるような深く豊かなチェロ。先生方の演奏は楽曲の世界観がよりくっきりと表れ、立体的で美しく融和したアンサンブルアレンジにうっとりと酔いしれ感動しました。鍵盤ハーモニカや4人4手では受講生も参加し、他の奏者の音色を聴くことやバランスを感じることの難しさを体感し、また調和の美しさと喜びも味わいました。
多喜先生の『ブルグミュラー25の練習曲 100のレッスン・レシピ アンサンブル譜付』(東音企画)の中のアレンジ曲も披露して下さり、各声部がお話しているかのように色鮮やかなブルグミュラーの魅力を堪能しましたので、生徒たちに伝えるためにもう一度熟読したいと思います。導入の曲であっても和声で彩ってあげることで音楽の波をより感じることができ、一気に音楽が豊かになる実践も聴かせて頂きました。
「ピアノは一人アンサンブルが可能な楽器です」と多喜先生は仰っています。なんて素敵な表現なのでしょう。生徒と一緒に各声部の質感と調和のイメージを膨らませ、音域に合った響かせ方を研究することで感性はさらに磨かれるでしょうし、レッスンで鍵盤ハーモニカとのアンサンブルを体験したら、楽しい!ぐっと素敵な曲になった!と目を輝かせ笑顔いっぱいになるだろう、生徒たちの姿が目に浮かびます。
多喜先生の深い考察を聴講し、先生方の生き生きとした音楽に触れ、受講生たちのアンサンブル体験を通し、ピアノ奏者・指導者としてもっと視野を広げ自身が豊かになることの大切さを教えて頂いたように感じます。新たな視点から音楽を深めるきっかけを下さいました多喜先生に心から感謝致します。ありがとうございました。